※(E)からのつづきです。
『わたしのからだよ!』教則本
(はじめに)
☆ ☆ ☆
しかし、性的虐待に対する知識を持ち、
防止教育を受けた子どもは、そういう状況にあっても
気持ちの上で一人ではありません。
自分を大切に思っている子ども、
人の行動をみきわめる訓練や、人と人とのつながりについて、
自分が学んだことに「あわない」行為を
拒否する訓練をつんだ子ども、
そういった子どもたちは、性的虐待の状況にあったとき、
いままで学んだ知識を活用するでしょう。
自信をもって、そういったからだのふれあいを拒絶できるし、
これは「特別な秘密」なのだという
加害者の強要をはねつけることも、
防止教育を受けていない子どもに比べて、
きちんとできるでしょう。
しかも、こういう子どもは起こったことを
だれかに話すものです。
【ジェニー・ハートロッシ著 木犀社 600円】
☆ ☆ ☆
こういう子どもは、
起こったことをだれかに話すものです。
「こういう子ども」とは、単に、
「こういう能力のある子ども」
「こういう知識のある子ども」という意味ではありません。
どんなときでも自分の味方だと
思える大人がそばにいる子ども。
それが、「こういう子ども」の正しい意味だと言えます。
自分の身に起こったこと。
自分の身体と心で感じたこと。
それが、たとえ嫌なことでも、
恥ずかしいと感じられることでも、
ちゃんと聞いてくれて、受けとめてくれて、
そして自分を助けてくれる、
そういう基本的な安心感を持てている子どものことです。
「王様は何も着ていらっしゃらないよ」
障害児の場合、どうしたら「できる」か。
どうすれば「伸びるか」が、教育の話の中心になります。
普通学級にいる障害児に対して、
「分からない授業を受けさせるのはかわいそう」
「いるだけでいいのか?」と言われることがよくあります。
「ひらがなも書けないままでいいのか」
「教えれば、自分の名前だけでも書けるようになるのに」
「なんにもできないままでいいのか?」
でも、それは話のすり替えです。
私たちが、すべての子どもに、
まず準備してあげたい学校は、
たとえ、どんなにがんばっても、
ひらがなが覚えられなくても、
たしざんが覚えられなくても、
テストの点が0点のままでも、
どんなときでも自分の味方だと思える
友だちと大人がそばにいることを、
伝えるための場所です。
「ぼくはともだちをつくりたい。
そして きゅうしょくをたべたり、あそんだり、
べんきょうしたい、なかよくなりたい。
ぼくは にんげんだ。
なきむしだけど つよくなって あるきたい。」
6歳の子どもの、そんな思いを、
すべての子どもに、まず無条件でかなえてあげる場所です。
☆ ☆ ☆
『わたしのものがたりよ!』教則本(はじめに)
しかし、子どもを分けること、に対する知識を持ち、
「0点でも高校へ」につながる
「障害児排除防止教育」を受けた子どもは、
そういう状況にあっても、気持ちの上で一人ではありません。
みんなのようにテストの点が取れなくても、
みんなと同じようにできないことがあっても、
一緒に学校生活を送ってきた子ども、
障害があることで分けられたり、
遠慮させられることを当然と思わずにこれた子ども、
安心できる友だちがいて、信頼できる先生と出会い、
人と人とのつながりについて十分に信じることのできる子ども、
そういった子どもたちは、高校入試という大きな壁を前にしても、
堂々と立ち向かうことができます。
漢字が読めないことは、恥ずかしいことではない。
数学の計算ができないことは、悪いことではない。
たとえ、試験で不合格になっても、
「もう一回、試験がんばる」と
まっすぐに前に向かう力を持っています。
「普通高校をあきらめて、高等部にいけばいいのに」
という社会の強要をはねつけ、
たとえ浪人生活を送ることになっても、
「みんなと同じ、高校生になりたい」という
自分の夢に向かって、まっすぐに
手をのばす力を身につけています。
(つづく)
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