この子たちが自信を持って成長していく日々をたのしみ、
大人になっていくことに希望を持って、子どもの時間を楽しむために。
「好き」と「イヤ」を大事にしたい。
「うれしい」を「たのしい」を、大事にしたい。
「こわい」、「不安」を、大事にしたい。
「はっきり」を、「なんとなく」を大事にしたい。
話を聞いてもらうこと。
感情をありのままに受けとめあうことを大事にしたい。
その時々の年齢で、「これができなきゃいけない」、とか、
「3歳なのに」、「5歳なのに」、「10歳なのに」…と、
比べるまなざしとは別の、
自分だけを見つめてくれるまなざしと、
聴いてくれる、うなずいてくれる、受けとめてくれる人の存在が、
どんなにうれしいことか。
まだこの世に不慣れな子どもたちにとって、
「本人の意思」などと迫っても、
はじめからうまく答えられるわけもない。
やりたいこととやれること、なりたいものとなれるもの、
そんなことを「見当もつかない」ことが、夢見るチカラのはじまりだから。
揺れる思い、迷う思い、を大好きな人に聞いてもらうことで、
ひとつひとつ自分の本当の気持ちに、夢見る自分の思いに目覚めていく。
大好きな人が、自分の揺れる思いを聴いてくれることで、
自分がほんとうはどうしたいのか、見えてくることもある。
それはいつも言葉での表現とは限らない。
言葉より前に、勝負はついている。
だまって、ひざに座る。
となりにしゃがんで見上げている。
一緒に寝転んでいる。
振り向くと、そこにいる。
ただ、繰り返しあそぶこと。ただいっしょにいること。
その空気のなかで、子どもは声を出していいかどうか、
言葉をかたどっていいかどうか、それを言葉の前の会話で決めている。
「ちゃんと言いなさい、口があるでしょ。」
そう言われることが一番イヤと、感じてくれる人でなければ、
話せないことがある。
そんなことを聴いてくれる人は、この世にはいないと、
間違って信じてしまった子どもに、
そうではないよと、言ってあげられる大人に、私はなりたかった。
それには、どうしたらなれるのか。
何を勉強すればなれるのか。
そうじゃないよ。あなたが思っているほど、
この世の人間は捨てたもんじゃないよ。
素敵な人はいっぱいいる。
その人に会えないまま、
人を信じることを捨ててしまうのはもったいないよ。
せっかく、信じる力をもって生まれてきたのに。
そう、伝えることができる。
生まれたときから、待っているいるたくさんのめぐり合う人への、
信じる力を、まっすぐに自分で確かめて、
自分で自分に水をあげながら、育っていく力が君たちにはあるんだと。
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