さきちゃんのこと(その4)
「ダウン症」という言葉の灯り(Ⅱ)
2月、国会に行く準備をしているとき、2008年の要望書が出てきた。
《…卒業式の日にも行き場が決まらず、風邪で体調を崩しながら、前日病院で点滴を受けての受験でした。どうしても高校生になりたい。高校で勉強したい、という強い意思と意欲と、高校生活への希望を持って受験に臨んだのです。16名募集で、受験したのは一人でしたが、不合格という結果でした。》
□
メグさんの顔が浮かび、これを書いた時の感情がよみがえる。
私たちは、不合格になったときには、子どもを連れて校長に理由を聞きに行く。
一次は定員オーバーでの不合格だった。校長は、メグさんに声をかけた。「がんばったね。残念だったね。また次がんばってください」。メグさんはその言葉を聞き「はい」と答えた。
二次募集も定員オーバーで不合格だった。教頭は、メグさんに声をかけた。「申し訳ないが不合格とさせていただいた。メグさんがんばったね」。メグさんは「残念です。ごめんなさい」と答えた。
最後の追加募集。16人の募集でただ1人受検したメグさんが不合格にされた。
どうして不合格なのか説明を求めると、遠藤校長は言った。
「本人に理解できますか?」
それまでメグさんは、たとえ不合格にされても、先生に対してまっすぐに顔をあげ答えていたが、その時は顔を上げなかった。
□
その3年前、ナミちゃん親子も同じ状況で、最後の追加募集を受けるかどうか迷いながら、ある高校を訪問した。
そこで出会った福島校長という人は、見学に訪れた親子にこう語りかけた。
「どうぞおかけ下さい。大変な努力をされましたね。…定員が割れている場合、点数だけでは合否を決めないですよ。ナミさんが今まで生きてきたことと、努力してきた心を、我々は見ていくのです。」
もちろん、ナミちゃんは合格した(^^)v
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定員内不合格の理由は「障害ではありません」と県教委は言う。「点数ではありません」と言う。
その通りだと思うときがある。定員内不合格の理由は、「校長の人間性」だ。
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そんなもので、子どもの15歳、16歳、17歳という大切な一年が、簡単に奪われる「入試制度」は間違っている。
メグさんは、心折れかけた母親の手を引っ張り、高校をあきらめなかった。翌年、合格。
サキちゃんとゆうきくんのことを書いて、「ダウン症」という言葉を思い出してから、次々と浮かぶ子どもたちの記憶が止まらない。メグさんもナミさんも「ダウン症」であることが、「定員内不合格」の理由だった。
でも、メグさんもナミさんもゆうきくんも高校生になった。次こそ、さきちゃんの番だね。
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