ワニなつノート

《この社会は「入試」を利用して15歳の子に何をしているか?》(その2)


《この社会は「入試」を利用して15歳の子に何をしているか?》(その2)



《希望者全入の提言1》

今から24年前。高校進学率が96.7%に達したころ、中学の校長先生たちが「希望者全入」の提言したことがある。私たちではない。親でも子どもでも、議員でもない。「全日本中学校長会」。

そこでの提言。

(その1)「1学区1校の小学区制で、希望者全員を入学させる。高校内に多様な授業、コース、講座があり、生徒は自由に選択する。」

(その2)「1学区複数の中学区制で、希望者全員入学。各高校は出願者全員をいったん仮入学させ、1学期終了後、全員に進路変更の機会を与える。」


このことは1996年(平成8年)6月15日の毎日新聞が大きく取り上げている。


連載記事【教育不信Ⅱ ポスト偏差値の模索】
《「全員入学」苦渋の提言》《中学校長会受験指導に戸惑い》

全国の中学の校長たちが、「希望者全入」にするしか、すべての生徒の「進路保障」を実現できないと、24年前にははっきりと分かっていたことなのだ。


だから、「中高一貫校」が実現し、「無償化」が実現し、「単位制高校」などの新しい形が実現してきた。その結果が99%の進学率だ。


では、1%の子どもは?

誰も助けない1%の子どもは?



《希望者全入の提言2》

その次の提言は、21年前。

今度は、中央教育審議会。

私たちではない。親でも子どもでも、議員でもない。「中央教育審議会」。


読売新聞の見出しは、「中教審「高校全入」答申へ」だった。


《中央教育審議会(文相の諮問機関)は五日までに、高校入試で成績が一定のレベルに達しない受験生を不合格にする「適格者主義」を改めるよう提言する方針を固めた。
年内にもまとめる答申に盛り込まれる見通し。
進学率が97%に上るなか、高校を「事実上すべての国民が学べる教育機関」と位置づけ、学ぶ意欲や適性があれば、入学を認めるべきだとの考え。
各都道府県の高校入試に影響を与えることは必至で、文部省では早ければ来春の入試から、全国の「定員内不合格」が大幅に減ると見ている。》(1999年9月6日)



《1%の子どもを捨てる国》

ところが、21世紀になり、「高校無償化」法も「中高一貫校」法も実現したが、希望者全入は忘れられたまま。99%で語られる「進学率」。

「高校に行きたいのに行けない子?」

「今の時代、そんな子がいるの?」

「誰も知らない」

2020年のいまも、相変わらず「定員内不合格」によって、子どもが切り捨てられている。

心ある中学の教師は、「その先」がないことを知りながら、中学生との3年間を過ごさなければならない。

1%が捨てられることを知りながら、「教育」という仕事を行う。

15歳になったら、この国の「教育」は、その子を捨てるのだ。

どんなに「席」があり余っていても、1%の子どもには「学び資格はない」と、切り捨てる国。



《高校義務化を求める》


私たちは、高校義務化(希望者全入)を求める。

中高一貫校と無償化が実現し、進学率は99%で語られる時代。

1%の子どもを「定員内不合格」にする制度が「公平・公正」であることは不可能だ。

いまやセーフティネットのない入試制度を続けることは、人道上許されない大人のいじめと化した。

全体の1%だけに学ぶ機会を制限する制度に、いかなる正義も平等もない。
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