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ふつう学級の魔法の話(その1)
《初めての魔法》
初めての魔法は知ちゃんと30人の子どもたちから教わった。
あの一年の間、知ちゃんが一言もしゃべらなかったという記憶が私にはない。
4歳の子どもたちはみんな「声」と「動き」と「表情」と「いること」でしゃべりまくっていた。
知ちゃんは静かな子ではあったが、他の子どもたちと違うところは一つもなかった。
ただの4歳の子どもの一人だった。
それが「魔法」の世界だったと知るのは、何十年も後のこと。
私にはないと思っていた、子ども期の幸せを取り戻すことができたのは、あの子たちの魔法のおかげだった。
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