サンカ人の生活様式を端的に表わす言葉に『一所不住、一畝不耕』なるものがあ
る。言いかえれば「非定往、非所有」という思想である。国家の支配・締めつけを
拒否し、搾取と収奪から自由になるということは、同時に
身に受けることである。その恪印を焼きつけられてなお、所詮権力が作ったシバリに過ぎぬと
歯牙にもかけず、それより価値あるもの・守りものを守り通すものとして「自然
とともに生きる漂泊人・自由入」の道を選んだ。その核となる思想が「無」なの
である。ものの無いことに苦しむのではない。むしろなにも持とうとしない無なの
だ。この「無」に対しては、支配・束縛の入り込む余地はない。ゆえにすべての呪
縛からの解放がある。そしてただ自然とともに在る。
つづく
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