明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

心の断捨離

2017-06-21 19:00:00 | 今日の話題
最近思うのだが、人生の残りの時間が少なくなってきた。と言ってもまだ15年位は残っているとは思うが、それでも人生の5分の4程は過ぎているので、そろそろ終わりに近づいているのは間違いない。それで少ない時間を無駄にしないで済む方法を考えてみた。それは、まず本当に好きなことをする時間を多くすることだ。これは「やっていて楽しいこと」ではなくて、後から振り返って「自分の為になったと思えること」である。この差は大きい。まぁ死んじゃえば同じなんだけど、「それを言っちゃあ、お終いよ」ってね。取り敢えず生きてる間に如何に人生を楽しむかって話であるから、何かをやってる最中ではなくて夜中に酒を飲みながら「俺の人生はいい人生だったのかどうなのか」などと、ふと我に返って自問自答した時を想定している。出来たら何かやってる最中に死んじゃうのがベストだけど、死ぬ前って案外ベッドで独りで寝ているわけだから、どうしてもこのようなシチュエーションになり易いとも言えるわけだ。それで、死ぬ前に練習しておくのも悪くないな、と思ったわけです。

部屋の中の物を必要最小限にする、というのは病気をしてたまたま実現できたが、生活しているとどうしても細々としたつまらない物が増えてくる。しかし私は最近は次々と増えるこの手の物は「無慈悲に捨てる」ことにしている。物を大事にする文化だとか、作った人に感謝する暖かい気持ちだとか、日本人の生活の美しい習慣だとか、正直言って「どーでもいい」のだ。そんなことを言っていると、見事にゴミ屋敷が出来上がって自分の処理能力を超えてしまう。特に一番の悪は「思い出」である。私は過去の色々な楽しい思い出の数々は、「頭に入っている分だけ」と今回で決めた。写真や日記など見ればあれこれ思い出すに決まっているが、すでに忘れていたことを思い出して懐かしさにしばし陶然とする時間は、結局なにをどうするでもなく、過ぎ去りし過去に膠着しているだけであり、何も未来に生み出さない時間である。だから覚えていない過去は、そのまま忘れるべし!

というわけで、すべては文字通り「今を生きる」ことに集中することにした。捨ててしまおうと思った物が実はすごく役に立ったりする事があるが、その時は構わずにまた買うことにする、金はあるのだ。何だか金に困ってないことを自慢しているように聞こえるかもしれないが、別に贅沢をするわけでもなく酒も少々飲むだけで実に慎ましく生きている。必要な物を最低限買うだけで足りる生活であれば、平均的日本人の生活であろう。私は結婚しなかったので、生活は自分のことだけを考えればよかった。今は両親も鬼籍にはいってしまい思い残すこともないので、金銭的にも時間的にも随分と楽をしている。病気はあったが、まだ何とか一人で生きていけるのは不幸中の幸いであった。それで今度は命は一度全部捨てたものとして、すべてを新しく生きて見たくなったのである。

それで、まず読書の幅を狭くすることにした。本は好きである。しかし何でも興味を持って片っ端から読む、というエネルギーに溢れた時代はとっくに過ぎて、今はもう本に向かって30分と経たずに目や身体が疲れてくるようになった。文庫本一冊読むのに一週間もかかってしまっては、何か手を打たなければと考えるのも当然である。広範囲な知識を身につけようとするのは若い時だけの特権であり、歳を取ったら目的をしっかり持ち、ピンポイントでターゲットを絞り込むことが肝心だと思うに至った。そこで読書を次の3点に絞った。

1 3世紀に倭国大乱があり、謎の4世紀・倭の五王の5世紀を経て、神武東征に始まる大和日本の誕生までの古代史、継体天皇・蘇我氏・乙巳の変から壬申の乱、そして桓武天皇までの奈良朝、それらの「歴史の真実を知る」こと。

2 伊勢物語に始まり古今集・新古今集と続く和歌の伝統と、定家や西行などの当時の人物像を心ゆくまで味わうこと。


3 奈良近郊の、万葉集や古今集などの和歌に描かれた歌枕を、自転車でポタリングしながら自分もその生活の中に入っていって一緒に人生を歩むこと。そしてたまに気に入った喫茶店があればそこに入り、何するでもなくぼんやりとコーヒーを飲みながらブログを書くこと。

以上3っつである。これ以外は、一切やらないと決めた。もちろん、ゴルフやピアノやテレビの二時間ドラマに一喜一憂することは、暇な時間を過ごすのに便利な方法である。NBAやツール・ド・フランスやチャンピオンズリーグも重要なイベントだ。だがこの3っつの事以外は、全部「どーでもいい暇潰し」なのである。すっきりした。

で問題は「いつ始めるか?」である。病気してから2年間どうも意欲が湧かなかったが、最近ようやく「ふつふつ」とやる気が出てきたのだ。何か本を読もうとする自信や気合いは、こういう「全てがすっきりした瞬間」から猛然と生まれてくるものらしい。新しい一歩、取り敢えず「古今集」をポケットに入れた。次からは電子書籍にチャレンジして、万葉集に始まる八大集を、縦横無尽に検索できる幸せを満喫してみたい。









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