人生修行の旅

「笑って、野垂れ死ぬ!!」
そのために、この人生をどう生きて、この命を何に使うか?人生一度きりの生き方を実験中!!

エベレストBC6泊7日の旅 ⑨変わるものと変わらないもの

2014年06月21日 | 
 2014年5月11日

込み合う空港。

大量の荷物。ここではお先にどうぞは禁物だ。



ジェットコースターのような滑走路に飛行機がくるのを待つばかり。

5台目にやっと私が乗る飛行機が轟音ともにやってきた。





カトマンズに戻ると、違和感が残る。

何だろう?この違和感。

変わるものと変わらないもの。

私が変わって、カトマンズの街並みが変わらないのか?

私が変わらず、カトマンズの街並みが変わったのか?



夜にダルマ先生とのんびりとご飯を食べた。

大臣と打ち合わせ等をしているところを尋ねると、「チャンスの中にはいる」とのこと。

だけど、政治の世界はいつ政権が変わるか分からない。

そして、何かを進めようとすると、必ず反対・邪魔をする人が出てくる。

レボリューショニストとして、生きていくためには強い心とクールな頭が必要だと話してくれた。

出逢ってから7年。

不思議な縁だけど、ゼロからこうして何かができて、広がっているのを私も間近で見れていることが嬉しかった。

ダルマ先生の次のビジョンは、CWCNというストリートチルドレンの施設の庭に大きなホールを作り、

そこで人々が柔道やその他のスポーツ大会をできるようにすることだった。

そのために、アクションも少しずつではあるが行っている。

有言実行する人は、小さくてもいいから行動にうつし、前に進んでいく。


空港の送迎に始まり、諸々の手配、そして食事のご馳走…

何から何までお世話になりっぱなしだ。

感謝しか出てこない。


ダルマ先生との夕ご飯後に、タメル地区の路上に一人でビールとつまみを買って段差に座りこむ。

ホームレスの人々、ストリートチルドレン、犬・・・

私も一緒に同化してクラクションが鳴り響く喧噪の風景を眺める。

横で少年たちが、空腹を紛らわすためかシンナーをやっている。

シンナーが身体にいいとか悪いとか以前にそうしないとやってられないというのが彼らの心情だろう。

もう一つ段差を降りて、地べたに腰を下ろした。

そろそろ思考が停止してきた・・・
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エベレストBC6泊7日の旅 ⑧来世の夢が今世の夢へ

2014年06月21日 | 
 2014年5月10日

久々に頭が痛くない寝起きだ。

酸素があるって素晴らしいと身をもって感じる2740m地点。

ちょっと身体を動かすたびに全身に筋肉痛が走る。

3日間の修行は想像以上に身体に与えている。

優しい日光と鳥たちの自由な声、川の元気なせせらぎ、

それらを聴きながら、朝の5時半から外で胡坐をかいて日記を書く。

KAZIさんが私を呼んだ。

ロッジの敷地内にある奥の隅々まで丁寧に手入れの行き届いた菜園と家畜たちを紹介してくれた。





野菜や果物は以前に日本人の方が来て、作り方を教えてくれたそうだ。しかも、個人でやってきて、教えてくれたと話してくれた。

そして、この辺りの方達はその日本人にとても感謝している。

心がほっこり温まるストーリーだ。

それにしてもKAZIさんのロッジは、他のロッジに比べて明らかにきれいで丁寧だ。

細かいところまで目が行き届く日本人のような性質を併せ持っている。

ちなみに私は、細かいところまで目が行き届かない旅人気質を持っている。

ふいに、見上げると古びた家が断崖絶壁の中腹の洞窟にある。




昔のラマ(修行僧)が、あそこに籠って修行したそうだ。

修行・・・その言葉(英語を私なりに解釈)が私を興奮させる。

kAZIさんに行ってもいいか聞くと、

「Maybe possible」この意味は、普通ならば多分難しいと捉えるのが賢い選択だ。

もちろん私はGo up!!



古びた家に着き、なぜラマはこんな不便な場所で一人で修行したのか?



目を閉じて、感じてみる・・・



私なりの答えが出た。

「変態で変わり者だから」

どっかから声がした。「we are same and crazy…」



自家栽培のじゃがいもや名前の分からない野菜たちにチーズをたっぷりのせてくれる。



人生で一番美味しいと感じたオリジナルアップルパイ。



自然の力を利用して逞しくなった野菜や果物たちが、私の弱くなった身体を力強くしていくのが分かる。



KAZIさんがやってきて、話しながら相互に人の紹介や自分にできることを話した。

「来世の夢が、現世の夢に変化したよ」と嬉しいことを言ってくれる。

5年前に同じ事を言われたら、無理やほとんど不可能と思っていただろうに、今ではそうでもないと感じる。

これが成長なのかもしれない。

KAZAさんの夢が現実味を帯び始めた時、別れの時がやってきた。

身支度を整え、お金を支払おうとした。

しかし、頑なとして夫婦はお金を受け取ってくれない。

私はこのロッジが気に入り、たくさん飲んで食べたのに…

「お金は必要ない。ここによく来てくれた。話をしていて、こんなに幸せに興奮することはなかった。ありがとう!!」

支払うのを諦め、満面の笑みと硬い握手でロッジを後にした。

新たなリレーションシップが始まる予感がする。

空港まで15kmの道のり。

あっと言う間と思っていたのに、とても遠く感じる。

1kmの距離さえも長い。

ポーターの人々とたくさん出会う。1kg40ルピーで約20kmの道(登りor下り)を請け負う。人によってだが、30kg~80kgを担ぐ。



標高2900m~3400m、中にはサンダルの方もいる。

そして、身長167cm体重63kgの私よりも小柄だ。

人の能力は不思議だとつくづくシェルパの方を見ていて感じる。

エージェンシーから指定された宿で、明日の飛行機を聞くが「5時まで待て」の一言。

まあ、何とかなるし何とかするけど、もう少し何か言ってくれても…ちょっと残念な気持ちになる。

色々なロッジやガイドを見ていて、またリピートしたい!!と思うには共通項がある。

○特徴がある。(専門性の強さ など)

○人柄がいい。(ロッジのオーナーやガイド)

○気が利く。

この上記3点を兼ね備えていると、エベレスト街道沿いでは仕事が楽しく、充実してできそうだ。

ルクラのお土産屋をいくつか回る。

同じ物が置いてあって、「How much?」と聞くと、大抵値段が違う。

私の場合は、最初の言い値と店主の目を見てそのお店で購入するか決める。

とある店で色々と購入した後に、「私の妻は日本人です」と言ってくる。

大抵の場合は、それがジョークだったり、知り合いなのだけど、それをすぐに信じた。

色々な国を旅して、最初から日本人の○○さんと友達や知り合いですという方は怪しいケースが多い。

しかし、色々と話して相手の事が分かったうえで、自分の持っている資産(人脈)を話す方は信頼できると経験的に学んでいる。

そして、そこからつながるケースも少なくない。

私はロッジのお決まりの料理ではなく、ローカルな料理が食べたかった。

尋ねると、妹が料理屋を経営しているというので案内してもらった。ロッジの4分の1程度の料金で、ローカルフードは食べられる。





もちろん、言葉は通じなくても兄の紹介で来たので騙されることもない。

旅の秘訣の一つは自分の目を信じて、信頼できる人を見つけて紹介してもらうことだ。

もし、何らかで騙されても自分が悪かったと諦めがつく。

お土産屋の若旦那が今度日本に来るという。もし、日本に来たときには是非連絡してと名刺を渡した。

そして、標高5000mで泊まったロッジのおかみさんの弟(日本語OK)がルクラで宿をしているというので、飲みに行った。

おかみさんの紹介と久々の日本人ということで、日本の漬け物を出してもらったり、wi-fiを無料にしてもらったりと、柔軟な対応でサービスしてくれる。

個人的には、このような臨機応変な対応はとても嬉しい。

久々のブログを更新し、たくさんのアルコールでいつの間にかひどく酔っていた。

ありがとう・・・エベレスト・・・。
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エベレストBC6泊7日の旅 ⑦Go down

2014年06月21日 | 
 2014年5月9日

翌朝、トイレから動けなくなった。胃液に交じって、赤いのが出ている。口の中が苦々しく鉄の味がする。

トマトを食べたと思い込もう(笑)

一刻も早くこの標高から脱出せねば。

バックパックに荷物を適当に詰め込み、おかみさんに丁重にお礼を伝え、5000mのロッジを後にする。



「Go down Go down Go down」

一人でつぶやく。

ちょっと頭がおかしくなってきている!!

急ごうとするものの15kg超のリュックと2日間ほぼ絶食状態のふらふらの身体が動きをスローにする。

天気は快晴。



最高の景色だ。



この景色を味わいながら~

なんて考えている場合ではない。

一瞬でも油断すれば、倒れてヘリコプターを呼ばれて60万円かかってしまう。



何としてもそれは避けたいところだ。

下ってくるトレッカーが無口な理由が分かった。

多分、皆疲れているのだ。

2時間毎に地図でチェックポイントを作り、意図的に休むようにする。

高度が下がるとともに、嘔吐はしなくなってきた。

少しずつ身体の機能が動き出す。

あえて言うならば、昨日は身体の機能を止めて、魂を削って動いているようなものだった。

朝8時から動き始めて、5分の小休憩を4回、30分のお茶タイムを1回挟みながら、

目的地のロッジに向かう。

18時に軍隊の管理するチェックで、「おい、このままだと日が暮れるぞ!!」



「多分、大丈夫!!」と答える私。何が大丈夫か分からないけど(笑)

下り坂を急ごうにもすぐに転んでしまう。

がくがくと足が震え、生まれたての子羊のようだ。

沢沿いに歩くと暗闇が忍び寄る。過去に同じように沢で遭難した時の恐怖を思い出した。


約3日間何も食べてない身体にも関わらず、すごい勢いで走り出す。

一体どこにそんな力があったのだろう。これが、火事場のクソ力というやつかと我ながら感心する。

そして、7時ちょうどに暗くなったところで2700mのニルヴァナロッジに到着。



宿に入ると遅い時間にも関わらず、ロッジの夫婦は私を温かく迎え入れてくれた。
食堂での夕食は終わっていたために、厨房の中に招かれイスに座ると、
こちらの状態を察して胃腸に優しい食事を提供してくれる。



ロッジのオーナーKAZIさんは、なんと元柔道家で、ネパール代表だったこともある強者。



初対面にも関わらず、柔道話に花が咲いた。

得意な技は?
柔道のどこが好きなの?
柔道をやめた後はどんな気持ちで毎日を過ごしていたの?

KAZIさんは、生きていくために泣く泣く柔道をやめざる得なかった。
やめた2年間くらい頭がおかしくなったほど、本当に柔道を愛しているのが伝わってきた。

そんなKAZIさんは、もう柔道と離れて久しい。
「シェルパ族の子供たちに柔道を教えたい。しかし、畳がない。だから、私は来世ではここに柔道場を作って
 
 柔道を教えるよ!」(シェルパ族は基本的にチベット仏教の方々が多く輪廻転生の考えを持っている。)
KAZIさんの中では、柔道をするのが来世になっている。

「今世でやりましょう!」

畳の問題や様々な問題があるけど、なんだかきっと大丈夫な感じがした。
そして近い将来このような問題を大きな視点で解決に結びつける柔道関係者が出てくるような気がする。





ロッジでは色々な国の方々と会話するが、このロッジのように自家栽培の野菜等を打ち出したロッジに泊まる方々は、

国とか肌の色は関係なく、何となく似ている価値観が似ている。

インドのトレッカーともすぐに打ち解け、

お互いのそれぞれの国に対する明らかに間違っている双方のイメージで大爆笑した。

旅は年齢を重ねるとともに、物の見方や捉え方が変わってくる。

旅人にいい年齢などないのだと勝手に自分で納得して、言い聞かせて

久々の快適な夜を過ごす。
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エベレストBC6泊7日の旅 ⑥覚悟を決めて、魂を削る!

2014年06月21日 | 
 2014年5月8日

5時半。自然に目が覚めた。

頭痛はいささか減っている。

「さあ、下山しよう!!」

朝日が入る部屋の窓から小鳥たちが、

「天気もいいし、入っちゃいなよ!」と言ってくる。



昨日から食べても飲んでもすぐに嘔吐し、胃には何も入ってないし、エネルギーもあまりない。

もし、今日エベレストBCまで行くならば、それなりの覚悟を必要とする。

尊敬する人物たちならどうするか考えた。

江頭2:50さんならどうするか?

きっと、お構いなしに伝説を創りに行くだろう。寿命が縮んでもいいと言って。

ゴルゴ13はどうするだろうか?

プロは任務を淡々と遂行するだけと前に進むに違いない。

修羅の刻の陸奥雷ならどうするか?

自分の名前を思い出したと言って、前に進むに違いない。

千日回峰行に挑んだ人ならどうするか?

不退転の覚悟に命を賭けているため、前に進むしかない。

体調3割。食べればすぐに吐く。

今日、行かなければ、もう2度とエベレストBCに行けない気がした。

私に欠落していたのは、登るという「覚悟」。

もし、たら、れば、などという考えは、今回は捨ててしまおう。

6時にロッジを出た。通常のトレッカーは8時くらいだ。まだ、太陽の光が身体を照らす前に、

急がずに、ゆっくり速く歩く。



9時に4950m地点のロブチェに着いた。心臓が飛び出そうなほど驚いている。
水分補給をしても身体が受け付けない。

エネルギーとかカロリーとかいう概念はこの際捨ててしまおう。

食べなくても、飲まなくても、動けるモードに身体をチェンジした。

ロブチェのロッジでたまたま立ち寄った宿のおかみさんは日本語が話せた。

「このペースならエベレストBCまで行って、ここまで戻ってくるのはぎりぎり大丈夫!!」

異国の地で聞く日本語は本当に心をホッとさせ、私の身体に力をくれる。

考え抜いた末に、荷物を半分以上置いて上に出掛けた。

だいぶ軽くなったリュックのおかげで足が前に進むようになった。


12時に5140mのゴラクシップに到着。

ちょっとでも寝転んで休もうものなら、もうこのままでいいやと立ち上がることをやめてしまうような状態。

エベレストBCまで、残り2時間30分。このまま突き進むしかない。

思考が停止して、ただひたすらに前に進む。

ヌプチェというエベレストの前にある壮大な山が姿を見せている。

「That’s everest」
どこからか声が聞こえた。



ヌプチェの横からひょっこりエベレストが顔を見せた。写真を撮影後に、ガスがかかり恥ずかしさのあまり姿を隠してしまった。本当に一瞬の出来事だった。







そして、14時30分エベレストBCに到着。

荷物を置いて倒れ込んでしまう。
今回のミッションを思い出し、行動する。
ダルマ先生を通して旅の相談に乗ってくれた方、その他亡くなられた方々にGOOD 輪廻転生。





束の間の休息と放心状態・・・

その横では、香港の若者たちが腕立て伏せをして、服を脱ぎ去り、上半身裸で身体にメッセージを書いて、
撮影している。

どっかで見たことのある風景だ。

全裸にならないだけまだましか。

3時に身体にムチ打って出発。

途中、吐き気を催すが出てくるのは胃液ばかり。口の中が苦々しい。

たまに水を飲んでみても、すぐに吐き出してしまう。

ドンマイ身体^^

飲まず、食わず、横にならず、9日間修行して生きている日本人もいる。
4,5日目から死臭がすると書いてあったような。

私の5日間シャワーも浴びていない身体からは、異臭がする。

まだ大丈夫!!

17時にエベレストBC最寄りのゴラクシップのロッジに到着する。

このまま突き進むとぎりぎりで暗くなってしまう。
私はぎりぎりが好きだ。ほとんど回転しない頭と常に襲ってくる吐き気、疲れ切った身体でほぼ無意識に進む。

歩いている私を、上から眺めている私がいる。この不思議な感覚は人生で4度目だ。

ごく稀に経験できる限界の先にある世界。約8年ぶりにその世界に足を踏み入れた。

18時頃、偶然にも2日前に宿泊したロッジ(4000m付近)のオーナーと遭遇。ヤク十数頭を引き連れて、エベレストBCに向かっているとのこと。

このまま行くと暗くなりますよね?私が言うと、「No problem」

エベレスト4度登頂者に質問した私が馬鹿だった。

宿ではほとんど話すことはなかったが、私のスケジュールを聞かれ伝えると、

「おータフガイ!!」と満面の笑みで握手をしてくれた。



予想の日没まで残り45分。

すれ違った青年にロッジまでの時間を聞くと、

「急げば20分。ゆっくりで45分」
もう速く動ける体力も残っていない。

20分が経過して、また青年に出会い時間を聞く。

「急げば20分。ゆっくりで45分」

同じことを言われがっかりする。

暗闇が辺りを包み込み始めた時にロッジの明かりが遠くに見えた。

暗くなってもあの明かりを頼りに進めばいい。

思考も、体力も、全てを使い果たして座り込んでしまう。


「何を食べる?」

エベレスト周辺のロッジでは宿泊費が安い反面、宿で食事をするルールがある。

しかし、私は何も食べたくないが、思い切ってチョコレートパンケーキを注文する。

食べてすぐに強烈な吐き気でトイレに直行。申し訳ないが、あえなく断念した。

受け付けないのもはしょうがない。

この日記を書きながらもボーっとしている。

おかみさんの日本語での対応がせめてもの救いだった。

激しい頭痛と嘔吐と疲れ切った身体を受け入れて、部屋に入り苦しみと戦う一夜を過ごした。
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