Willのあれこれ日誌

猫3(8才♂、3才♂、年齢不明♂)、人間(年齢不詳♀)でやっている17年目のWillどうぶつ病院です。

Willどうぶつ病院の尿検査 その七

2013年03月18日 | Oh!にょ~(尿について)
尿検査も最終段階に近づいてまいりました~

顕微鏡検査でどのようなものが観察できるのでしょうか

まずは、細胞成分の正常範囲とは・・・

赤血球 0~4/HPF(400倍)
白血球 0~5/HPF(400倍)
円柱 硝子円柱は正常範囲、猫で脂肪円柱は正常範囲
上皮細胞 細胞形態が重要

まず、無染色の状態。

白血球と細菌がみられます。


同じ個体の染色標本

染まっている細胞と染まっていない細胞があります。
これは、新しい細胞だとそまりにくく、古い細胞だと染まりやすい特徴があります。
これは、白血球が淡く染まるのと染まらないものが混在しているため、
現在でも細菌増殖があり、たえず、白血球が戦っていることがわかります。

もう少しアップにして写真をとってみました。

ちなみに細菌は桿菌の形をしているため、可能性としては大腸菌感染が疑われます。

小さい写真ですが、別のケースの尿沈渣染色所見です。
P6120696.JPG
白血球が濃く染まっているので、古い(死んでいる)白血球です。
細菌も観察されることから、経過が長いことがわかります。また、上部尿路系に異常がないかも懸念されます。

これを、グラム染色すると、さらにはっきりと細菌の形態と抗生剤の目安がつきます。
赤血球と白血球の染まる濃さによっても、下部や上部尿路系、新しい、古いがわかります。

ここにはよくあるほかの異常所見を載せました。

*ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結晶
 (3面~6面の無色プリズム型)
P6091763.JPG

PC071170.JPG

P2270489.JPG



*シュウ酸カルシウム結晶
 (無色の八面体がよくある形態) 
P6151773.JPG
ストルバイト結晶に比べるとかなり小さいサイズの結晶をつくることもあるので
見落とさないようにしなければいけません。

左上にみえるのがシュウ酸カルシウム塩一水和物結晶
右下に見えるのはシュウ酸カルシウム塩二水和物結晶。
散らばっているのは赤血球。

シュウ酸カルシウムは似ても似つかない形に結晶化するのがあるため要注意です。

*採尿時に見た目でわかる大量の結晶成分や結石







*ウサギの正常尿
 炭酸カルシウム結晶
 (小さな無色、卵型、球形、ダンベル型)
P3060501.JPG

いかがでしたでしょうか。尿検査はこれで最終号となります。
尿検査はセッティングしてスイッチ一つでできるようなオートマティックな検査でなく、
人の手がかかるマニュアル操作の多い検査なんですね~

一貫性のあるずれの少ない検査ができるように心がけています






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