更新が遅くなりましたが、
前回の求道会館の一般公開~外観編~に続き、内部です。
※求道会館については前回の内容をご参照下さいね。
内部は吹き抜けの構造で、入場してすぐ目に入るのが祭壇ではなく、阿弥陀如来を安置した六角堂。
奥半分が壁に埋まっている造りになっています。
純日本式のヒノキの白木造り、銅板葺き屋根だそうです。
※銅板は帰宅後に知った。
1階は木製の長椅子、2階席は元々はゴザ敷きだったそうですが現在は3ステップの木製床のギャラリーです。
説法のため常観が入ってくると、人でいっぱいになった会堂内に歓声があがったそう。
前回も触れましたが、この日たくさんの興味深いエピソードやお話を聞かせて下さったのは、
求道会館を創設した近角常観のお孫さんで、求道会館・求道学舎の所有者であると同時に
修復工事の際の設計者でもある建築家の近角真一さんでした。
設計事務所の代表で、東京建築士会の会長でいらっしゃいます。
(あとで書きますが、大正時代に建てられた求道学舎を残すために尽力されています)
天井の造りは、詳しいことはわからないのですが、ハンマービーム形式のトラスだそうです。
今ではPCなどで簡単にできる時代ですが、当時このような高度なトラスをしっかり設計できたことは
ものすごいらしいです。
(サイトより抜粋)
寺院によく見られる格天井でなく、教会のような天井にしたのは、近代化と共に仏教も変わらなければいけないという
思いの表れだったのでは、というお話でした。
2階の手摺は鉄製のフラットバーを使用、卍をかたどっていますが
羽ばたいている鳥をイメージしてあるそうです。鳥が説法を聞きに集まっているイメージだそう。
上から見た様子。
六角堂の後ろにある半円状の浮き彫りはお釈迦様の後光です。
金色ではなく黄色で、後光の内側はピンク色(慈悲の色)だそう。外側はクリーム色の漆喰壁。
ところで、現在こちらではコンサート等も行なわれるということですが
とあるバイオリニストさんが、音がきちんと戻ってくることに感動したそうです。
教会建築と同じ様式で建てられているから、共鳴効果というのかな、音響効果に優れているのでしょうね~。
外から見えた半円窓の内側にはステンドグラス。
菩提樹をかたどった模様で、小鳥も説法を聞きに来ているのが表現されています。
2階にある小会堂も案内して下さいました。
こちらは畳敷で純日本式の床の間が。
照明も、現存していたものから型をとり復原したそうです。
資料に残っている近角常観と武田五一の、設計・施工に関するやりとりやエピソード、
お二人の建物への思いなど貴重なお話を聞くことが出来ました。
ちょっとボケちゃった。
2階から求道学舎がちょっと見えました。
最後にお孫さんで改修の施主・建築家の近角真一さんから聞いた求道学舎のお話を。
求道学舎は前回も書きましたが、仏教を学ぶ若者の下宿として近角常観がモダニズム建築家の武田五一に依頼し、大正15年に建てられました。
常観は学生たちと寝起きを共にしたそうです。
しかし昭和平成と老朽化が進み、紆余曲折ありながらも「定期借地権のコーポラティブ方式」を採用した集合住宅へと再生し、2004年~2006年の改修で日本で最も古いリノベーションマンションとして生まれ変わったということです。
改修設計はもちろんお孫さんの近角真一さん。
外観はほとんど変えることはなく、かつての求道会館の趣と歴史をつないだままの改修を実現。
現在一般の方々が住まわれています。
一時期は取り壊してマンション建設の案も出たようです。※情報サイトより
なんとか、建物を活かした運営ができないものかと悩まれたようです。
室内はおろか外からもわずかしか見えないけれど、ひとつの歴史的建造物がそれを建てた末裔の方が守ってくれた。
常観さんも武田五一さんも喜んでいらっしゃることと思います。
外観も素敵でしたが、内部はこんなにも魅力的だったとは!
素敵すぎです。
こちらは第四土曜日だけ内部公開しています。
内装も素敵ですが、僧侶のお孫さんで改修の施主・建築家の近角真一さんのお話がとても興味深く、引き込まれました。
撮影だけじゃなく、話を聞いた方がいい建物です^^