私の思いと技術的覚え書き

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金属回収業で見る退色

2019-07-27 | 車両修理関連
 今日(7/27)に訪れた金属回収業(自動車解体業)で見た光景です。同型ライフ同色が二段重ねに。偶然でしょうが目につきました。

 そこで、このローズピンクって各社で売ってたけど退色が目立つ色なんだよなと・・・。ちょっと観察すると、案の定、水平面と垂直面で色差がはっきり表れています。つまり、日光の紫外線が主な要因だと思いますが、まともに光を受ける水平面は白っぽく、垂直面はオリジナルの色味を保っているという状態です。この様な、色あせを退色とも呼びますが、クルマの塗装に限らず、衣服でも洗濯を繰り返せば同様ですし、インクジェットプリンタの発色も、月日を経ればどんどん退色します。

 クルマの場合、そう簡単に退色してもらっては困る訳ですが、どうしてもオリジナルカラーの色味によって、退色が目立つ(生じ易い)色と、生じ難い色がある様です。

 塗装の経年劣化には、退色だけでなく、塗膜が粉を吹いた様に白っぽくなるチョーキングだとか、ヒビが入るクラッキングだとか、上塗りと下塗り間で層間密着が悪くはがれが起きるなんてものもあります。この密着不良では、最近、トヨタのアルファードなどで多発するとして、期間外保証が公表されたりしています。

 塗装を行う塗料の主成分を区分すると、顔料、樹脂、溶剤の3つになります。この内、溶剤は樹脂を溶かし、そこに顔料を分散させるためのものですから、塗装作業を行い乾燥し塗膜が硬化すると、空気中に放散しなくなります。残された樹脂は硬化して顔料を固定して発色させるということになります。

 先に記した、チョーキングは、塗膜表面の樹脂が紫外線で劣化して、ボロボロと粉状になるというもので、経年メタリック車の水平面に生じているのを見る機会は多いと感じます。なお、ヘッドライトも昔はガラス(シリカ)でそんな現象はおよそ見なかったのですが、昨今は樹脂(ポリカ)でクリアーコートされていますので、これまた劣化が進んでいるのを見る機会は多いです。

 今回の退色は、顔料が紫外線で劣化するというものです。人間も白人と黒人では、太陽光に対する耐性に順応するために変化したとものの本で読みますが、塗装も淡色と濃色では淡色の方が生じやすい様です。それと、顔料には有機と無機とに区分される様ですが、有機顔料のものの方が退色耐性が低い様です。一般に有機顔料は、赤、青、黄色などの彩度が高いものに使用される顔料だそうです。なお、このローズピンクですがパール色ですが、マイカ顔料に何らかのコーティングが施され、反射光をコントロールして発色を出している様ですが、そのコート剤にも要因はありそうに思えます。また、類似の退色として、新車塗装には滅多に使われることはないですが、キャンディカラーという凄く深みのある輝きを出す、主にカスタムカラーがありますが、これはものすごく退色が早い色です。

 今回のローズピンクは、ボデーの金属面では、クォータパネル上部からルーフに掛けて徐々に退色していますので境目は判りにくいですが、ここまで退色が進むと明白になります。一方、バンパーと金属面では、元来樹脂が、金属面ではアクリル熱硬化型、樹脂部はウレタンと異なりますから、新車から色差が目立つ場合もありますが、同顔料ですので色差が明確になっています。




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