私の思いと技術的覚え書き

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事故車の修理費の話

2015-01-09 | 車と乗り物、販売・整備・板金・保険
 事故したクルマの修理費っていうのは、高額だなと思うのは誰しもかと思います。例えば車検整備(というか単なる継続車検の取得)であれば、重量税や自賠責保険も入れてせいぜい10万そこそこで済むのが、事故による損傷の大小にもよりますが、余程軽微な事故でない限り数十万から上は数百万円までの修理見積書にビックリするユーザーも多いのではないでしょうか。そしてこれが相手側からの賠償保険金や自己加入の車両保険で支払われるならともかく、自己負担となると修理着手の決定にすら困惑するということになるでしょう。

 では、何故に事故修理費が高額となるのかについて、若干触れてみたいと思います。まず、事故損傷によりそれぞれの事例で大きなバラツキはあるのですが、統計的に大まかに集約すれば事故修理費の50%は部品代となります。(この問題は後に触れます。)そして残りの50%が工賃(塗装費込み)となり、さらにその半分(つまり全体の25%)が塗装費となるのです。ということで、工賃の内、塗装を除いたものが、各種部品の取替費や板金作業代となる訳です。 

 さて、世に色々な商品がありますが、板金塗装というサービス商品ほど、その金額と出来映え(品質)に相関性が薄いものはないと個人的には思っています。つまり高額な板金塗装代だから、高品質な修理がなされるとは限らないということです。だからこそ、大変難しいことですが板金修理工場の選択は難しい問題を内在していると思っています。

 例えばディーラーに出せば値段は高くても品質は高いだろうと思われがちですが、それは単なるブランド神話であって、ディーラーは外注先の板金工場へ出して修理を実施したり、自社工場で実施する場合であっても、設備は水準以上を保持しているものの、それを行う作業者の能力が特別高い訳でもありません。

 また、事故修理において数多くの部品を替えるほど修理品質が向上するかと云えば、決してそんなことはあり得ません。そこを突き詰めていくと、ボディ全体(ホワイトボディ)を交換するしかなくなりますし、仮にホワイトボディを交換したとしても、シーリングだとか塗装の問題において修復前の品質に復元することは不可能でしょう。

 ところで、修理費の50%を占める部品代ですが、このクルマの部品代ですが、だいたいメーカーで決めた希望小売価格で販売されておりほとんど値引きはなされていないという特有な商品となります。それは、その車種の特有の部品であり、他メーカーとの競争原理が働かないからに他なりません。しかし、現実にはメーカーでは自社でクルマの組立を行っている訳ですが、個別部品は系列の協力会社(下請け)に常に原価低減と品質向上を求めつつ、市販の小売価格に比べれば驚愕すべき低額で仕入れているはずです。そうでなければ、現実の車両販売価格は成立しません。ということで、新品部品は高過ぎるので、中古部品を入手することは懸命な手段といえます。しかも最近は、コンピューターネットワーク等によって同色の中古部品を入手することも可能な場合があり、ボルトオンパーツ等、板金修理および塗装するより品質が良い場合すらあります。

 最期に、どうしたらなるべく妥当で品質の良い(つまりコストパフォーマンスの良い)工場を見つけることができるかについて述べてみます。
・やたらに部品交換の主張をしない工場であること。
・中古部品の使用について、そのメリットなどの説明が得られる工場であること。
・設備は過剰でないが、一定水準以上を保持している工場であること。
・工場建屋の新旧や立派さは無関係であるが、例えば作業中の他車両を見て、室内に埃が入らないように養生されるなど、気配りがなされている工場であること。
・経営者もしくはフロント対応者の説明がしっかりしており納得できること。(高額となる理由ばかりを説明するのは問題外である。)
・板金および塗装技能者の技術力が高いこと。(これは見極めが難しいことですが。)


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