福山・信号ありの交差路で右折の軽4と対向直進のフェラーリの衝突(フェラーリに大幅な速度超過の疑いあり)
この事故は6/18福山市・JR福山駅近くの片側3車線の交差点で、右折の軽4と対向直進のフェラーリが衝突し、軽4の後席乗者の小学生が車外に放出され死亡。運転車が重傷とのことである。フェラーリの運転車に怪我はない様だ。
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一般での右折車と直進車の事故では、直進車優先の原則があるため、7:3程度で右折車の責任が大きくなるという判例がある。ただし、今次の事故の場合、フェラーリの最終停止地点が衝突場所を起点として計測すると約55m先に停止しており、何らブレーキ制動していないならともかく、フェラーリも左廻りのスピンモードでこの55mを滑走しており、いわば横滑りした状態であるので、ほぼ限界制動したのと同等の制動効果を持つものと考えられる。となると、制動距離55mで停止するには速度と路面摩擦係数の式から計算すると105km/hという数式が導けるのであるが、これは衝突地点で衝突により減速した分および衝突以前に危険を感じて減速した分が加味されていない数値なのだ。
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となるとこのフェラーリは一体事故前に何キロで走行していたのかという問題が極めて重大な事故原因の要素となってくるだろう。なお、フェラーリは損傷状態から見て、いわゆるオフセットバリヤ試験の損傷状態に近い前部損傷状態を呈しているが、この衝突速度域であればエアバッグが作動しているだろう。エアバッグの装備されている車両ではEDR(イベントデータレコーダー)という機能が内蔵されており、衝突時、つまりエアバック作動時を起点として、その5秒前から10msec毎に速度変化が記録される様になっている。ただし、この5秒間の中でドライバーが危険を感じて急制動を行いABS装置が働いた場合、必ずしも制度の高い速度データが得られるかは保障できないのだが、どの時点でブレーキを踏んだから、別のEDRパラとして記録されているので、5秒内にブレーキを踏んでいない時点の速度値は、速度計の誤差はあるものの一定の精度を持つと思われる。当該事故では、死亡大事故であるので、福山県警は当然フェラーリのEDRデータ記録をさるべき機関で調査していることであろう。
ここではEDRデータは判らない前提で、ややラフとはなるが、フェラーリと軽4との衝突直前速度を推定してみたい。
先にも述べた通り、衝突場所~フェラーリの停止位置まで55mより衝突後速度は105km/hと計算できるが、軽4との衝突でどの程度の衝突速度が減じられたか(速度変化⊿V)を考慮し、それを加算すれば目的は達成できることになる。
ただし、衝突には衝突の心央が縦1列となる1次元衝突と両車の心央がずれていて、衝突後に偏心運動を起こす2次元衝突に分けることができる。1次元の場合はその重量比で速度変化を計算できるが、2次元では衝突中の速度変化に加えて、運動ベクトルの変化の要素が入って来るので単純計算が困難という問題がある。ここでは、フェラーリの概ねの損傷状態をJNCAPのオフセットバリヤテストの状態と比べ、損傷程度としてそれより小さいこともあり、また軽自動車との重量差が概ね1.5倍ほどあることも加味しつつ検討して見たい。
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JNCAPでのオフセットバリヤ試験は、固定バリヤに車幅の40%を時速64km/hでぶつける試験だ。今回のフェラーリだが、なにゆえ報道画像からのもので充分とはいえないが、左前輪が後退し、左前輪は拘束されて回転できない程度のボデー損傷しているが、オフセットバリアでの一般的な損傷程度より相当程度小さいことが伺える。
ここでは、オフセットバリヤの半分程度値の速度変化を使用することも考えたが、軽4との重量差が1.5倍となることより、67%(1/1.5)を使用し、64×0.67=42.9km/hを採用してみた。つまり、105+42.9=147.9km/hがフェラーリの衝突直前速度となる。なお、フェラーリ運転車は衝突以前に危険を感じ、それなりに制動を開始しているだろうから、これよりも事故前速度は高速ということになろう。
しかし、事故前の制動減速を除外しても約150km/hの速度とはこれは余りに異常だ。多分当該路の制限速度は50km/hであろうと想像するが、これの優に2倍を超え3倍にもなろうという速度だ。
昨今、従来の業過傷ではなく悪質性や故意性が高い場合の重大事故において、危険運転致傷罪というのが適用される場合がある。飲酒とか幾つか要件がある様だが、速度が制限速度の2倍を超えると云うのもあったはずだ。
今後の警察および検察の考え方もあるだろうが、このフェラーリの運転車は危険運転致死罪で起訴される可能性があり得るとは私の想像だ。
付記
このフェラーリだが、現行販売車で最新型の「F8トリブート」というV8ツインターボ700psもの高性能車で新車価格3200万円だそうだ。運転者は勤務医(精神科)の35才男性だという。開業医なら判らんでもないが、勤務医でここまで高級車が乗れるサラリーを得ているのか。概ね、親が資産家なのだろうと想像するが、今後の訴訟の成り行きによっては、過失割合は大きく逆転するだろうし、刑事罰として懲役刑になる可能性もあるだろう。
ついでに、どこの損保の保険に加入しているのか未知ながら、担当損害センターでは、支払備金(IBNR)に幾ら積むかセンター長辺りが悩んでいるかもしれない。当然、フェラーリは車両保険3200万円付保だろうが、全損にはならずでも、少なくとも1千万は軽く越えるだろう。ただし、このF8トリブートだが、CFRPのカーボンコンポジットボデーでなく、オールアルミボデーの様だ。つまり、360モデナの流れを継ぐ車体の様だ。もし、これがドライカーボンボデーなら、全損になる可能性があり得る。それと、過失割合が大きく逆転した上での小学生の死亡事故は、そこそこ損害額が自賠責の3千万を突き出すことだろう。
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軽自動車とフェラーリが衝突 小学生が死亡 広島・福山市(2022年6月19日)
テレ浅 2022/06/19
18日夜、広島県福山市の市道で軽自動車とスポーツカーが衝突し、軽自動車に乗っていた小学生が死亡する事故がありました。
午後8時25分ごろ、福山市のJR福山駅近くの交差点で右折していた軽自動車と対向車線を直進してきたスポーツカーが衝突する事故がありました。
この事故で、軽自動車に乗っていた小学生の松浦華梨さんが福山市内の病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。
軽自動車を運転していた祖父は重傷です。
また、歩道にいた60代の男性が事故のはずみで飛んできた道路の設置物に当たって軽いけがをしました。
スポーツカーの運転手にけがはありませんでした。
警察が事故の詳しい原因を調べています。
#福山 最新型フェラーリと軽4の事故 #フェラーリに大幅な速度超過の疑いあり
この事故は6/18福山市・JR福山駅近くの片側3車線の交差点で、右折の軽4と対向直進のフェラーリが衝突し、軽4の後席乗者の小学生が車外に放出され死亡。運転車が重傷とのことである。フェラーリの運転車に怪我はない様だ。
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一般での右折車と直進車の事故では、直進車優先の原則があるため、7:3程度で右折車の責任が大きくなるという判例がある。ただし、今次の事故の場合、フェラーリの最終停止地点が衝突場所を起点として計測すると約55m先に停止しており、何らブレーキ制動していないならともかく、フェラーリも左廻りのスピンモードでこの55mを滑走しており、いわば横滑りした状態であるので、ほぼ限界制動したのと同等の制動効果を持つものと考えられる。となると、制動距離55mで停止するには速度と路面摩擦係数の式から計算すると105km/hという数式が導けるのであるが、これは衝突地点で衝突により減速した分および衝突以前に危険を感じて減速した分が加味されていない数値なのだ。
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となるとこのフェラーリは一体事故前に何キロで走行していたのかという問題が極めて重大な事故原因の要素となってくるだろう。なお、フェラーリは損傷状態から見て、いわゆるオフセットバリヤ試験の損傷状態に近い前部損傷状態を呈しているが、この衝突速度域であればエアバッグが作動しているだろう。エアバッグの装備されている車両ではEDR(イベントデータレコーダー)という機能が内蔵されており、衝突時、つまりエアバック作動時を起点として、その5秒前から10msec毎に速度変化が記録される様になっている。ただし、この5秒間の中でドライバーが危険を感じて急制動を行いABS装置が働いた場合、必ずしも制度の高い速度データが得られるかは保障できないのだが、どの時点でブレーキを踏んだから、別のEDRパラとして記録されているので、5秒内にブレーキを踏んでいない時点の速度値は、速度計の誤差はあるものの一定の精度を持つと思われる。当該事故では、死亡大事故であるので、福山県警は当然フェラーリのEDRデータ記録をさるべき機関で調査していることであろう。
ここではEDRデータは判らない前提で、ややラフとはなるが、フェラーリと軽4との衝突直前速度を推定してみたい。
先にも述べた通り、衝突場所~フェラーリの停止位置まで55mより衝突後速度は105km/hと計算できるが、軽4との衝突でどの程度の衝突速度が減じられたか(速度変化⊿V)を考慮し、それを加算すれば目的は達成できることになる。
ただし、衝突には衝突の心央が縦1列となる1次元衝突と両車の心央がずれていて、衝突後に偏心運動を起こす2次元衝突に分けることができる。1次元の場合はその重量比で速度変化を計算できるが、2次元では衝突中の速度変化に加えて、運動ベクトルの変化の要素が入って来るので単純計算が困難という問題がある。ここでは、フェラーリの概ねの損傷状態をJNCAPのオフセットバリヤテストの状態と比べ、損傷程度としてそれより小さいこともあり、また軽自動車との重量差が概ね1.5倍ほどあることも加味しつつ検討して見たい。
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JNCAPでのオフセットバリヤ試験は、固定バリヤに車幅の40%を時速64km/hでぶつける試験だ。今回のフェラーリだが、なにゆえ報道画像からのもので充分とはいえないが、左前輪が後退し、左前輪は拘束されて回転できない程度のボデー損傷しているが、オフセットバリアでの一般的な損傷程度より相当程度小さいことが伺える。
ここでは、オフセットバリヤの半分程度値の速度変化を使用することも考えたが、軽4との重量差が1.5倍となることより、67%(1/1.5)を使用し、64×0.67=42.9km/hを採用してみた。つまり、105+42.9=147.9km/hがフェラーリの衝突直前速度となる。なお、フェラーリ運転車は衝突以前に危険を感じ、それなりに制動を開始しているだろうから、これよりも事故前速度は高速ということになろう。
しかし、事故前の制動減速を除外しても約150km/hの速度とはこれは余りに異常だ。多分当該路の制限速度は50km/hであろうと想像するが、これの優に2倍を超え3倍にもなろうという速度だ。
昨今、従来の業過傷ではなく悪質性や故意性が高い場合の重大事故において、危険運転致傷罪というのが適用される場合がある。飲酒とか幾つか要件がある様だが、速度が制限速度の2倍を超えると云うのもあったはずだ。
今後の警察および検察の考え方もあるだろうが、このフェラーリの運転車は危険運転致死罪で起訴される可能性があり得るとは私の想像だ。
付記
このフェラーリだが、現行販売車で最新型の「F8トリブート」というV8ツインターボ700psもの高性能車で新車価格3200万円だそうだ。運転者は勤務医(精神科)の35才男性だという。開業医なら判らんでもないが、勤務医でここまで高級車が乗れるサラリーを得ているのか。概ね、親が資産家なのだろうと想像するが、今後の訴訟の成り行きによっては、過失割合は大きく逆転するだろうし、刑事罰として懲役刑になる可能性もあるだろう。
ついでに、どこの損保の保険に加入しているのか未知ながら、担当損害センターでは、支払備金(IBNR)に幾ら積むかセンター長辺りが悩んでいるかもしれない。当然、フェラーリは車両保険3200万円付保だろうが、全損にはならずでも、少なくとも1千万は軽く越えるだろう。ただし、このF8トリブートだが、CFRPのカーボンコンポジットボデーでなく、オールアルミボデーの様だ。つまり、360モデナの流れを継ぐ車体の様だ。もし、これがドライカーボンボデーなら、全損になる可能性があり得る。それと、過失割合が大きく逆転した上での小学生の死亡事故は、そこそこ損害額が自賠責の3千万を突き出すことだろう。
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軽自動車とフェラーリが衝突 小学生が死亡 広島・福山市(2022年6月19日)
テレ浅 2022/06/19
18日夜、広島県福山市の市道で軽自動車とスポーツカーが衝突し、軽自動車に乗っていた小学生が死亡する事故がありました。
午後8時25分ごろ、福山市のJR福山駅近くの交差点で右折していた軽自動車と対向車線を直進してきたスポーツカーが衝突する事故がありました。
この事故で、軽自動車に乗っていた小学生の松浦華梨さんが福山市内の病院に搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。
軽自動車を運転していた祖父は重傷です。
また、歩道にいた60代の男性が事故のはずみで飛んできた道路の設置物に当たって軽いけがをしました。
スポーツカーの運転手にけがはありませんでした。
警察が事故の詳しい原因を調べています。
#福山 最新型フェラーリと軽4の事故 #フェラーリに大幅な速度超過の疑いあり