私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画、乗り物系全般、事故の分析好きのエンジニアの放言ブログです。

ガソリンオクタン価を欧州並みにするべきではないか

2022-11-15 | コラム
ガソリンオクタン価を欧州並みにするべきではないか
ガソリンエンジンに求められる燃料に求められる特性としては、沸点が30~220℃の石油製品で、強い揮発性がある。一方、ディーゼルエンジンに使用される軽油は自己着火する温度は250℃に比べ、ガソリンは300℃と高い。(これは常温常圧でのこと)

 ガソリンエンジンにおいては、着火はスパークプラグによる点着火による火炎拡散による膨張(爆燃)により動力を得ているのだが、ここで点着火前とか点着火し火炎が拡散している最中にその圧力や温度増大により周辺で自己着火する現象をノッキングと云うが、これは極めて速い速度の超高速爆発(爆轟)であり、しかも燃焼温度も高いので、燃焼室を構成するエンジン内部部品に致命的な損傷を与えることがある。

 と云うことで、ガソリンにはよく燃えるのは当たり前のことだが、恣意的な点火信号以前や、点火後の火炎伝播拡散中に自己着火しない性能が求められる。この指標のことをアンチノック値と呼び、RON、MON、AKIという計測法による違いで表示される。世界で最もメジャーな指標はRON(Research Octane Number)だが、日本のレギューラーRON89以上、ハイオクRON96以上なのだが、欧米各地のレギュラーRON値は91~95以上、ハイオク95~98以上とやや日本のRON値は低めの設定の様だ。
 このことは、多くの輸入車が、本国レギュラー仕様にも関わらず、日本での使用はハイオク指定されていることでも頷けるところだ。しかし、ここで云いたいのは、総じて云えると思うのだが、アンチノックインデックスが高い(RON値が大きい)ことを前提にする程、エンジン圧縮比や点火進角をアドバンスすることができ、熱効率を高めることで燃費(=CO2減少)も性能を上げることは確かだろう。しかも、相手国で製造販売する場合はそれなりの適正圧縮比に変更している場合もあるんだろうが、日本からそのまま輸出する場合とかでも、高性能かつ競争力を高めることになる。いまや、自動車の各種仕様については、国際標準を睨んで、各種の法令が施行されているのだが、ガソリンについて、何故世界の標準からズレているのだろうかと不思議を感じる。そこには、既得権とか競争原理が働かないとか、何らかの不純なものがあるのではないかと疑ってしまう。

【wikiより転載】
1.測定方法
➀リサーチ・オクタン価(RON)
 オクタン価の中で世界中で最も広く用いられているのがリサーチ・オクタン価(Research Octane Number/RON)である。RONは可変圧縮比機構を持つテストエンジンにおける600rpm時での回転テストにおいて、イソオクタンとn-ヘプタンの混合比(%)という形で決定される。以上の事から、RONは比較的低回転域のアンチノック耐性を示す数値であるとされる。

②モーター・オクタン価(MON)
 オクタン価を示す別の表記法として、モーター・オクタン価(Motor Octane Number/MON)と呼ばれるものが存在する。これは別名航空リーンオクタン価とも呼ばれるもので、エンジンに負荷が掛かっている際の燃料の状態をより良く示すものであるとされる。RONの600rpmではなく900rpmで測定を行う。。またMONのテストエンジンの構造はRONと同じものであるが、149℃に予熱された混合気、高速なエンジン回転、可変点火時期などのよりノッキングが起こりやすい厳しい条件の下で測定される。燃料の組成にもよるが、近代的なガソリンではRONに対してMONの値は8-10程低くなるとされる。しかし、MONとRONの数値の間には直接的な因果関係はない。以上の事から、MONは比較的高回転域のアンチノック耐性を示す数値であるとされる。

③アンチノック・インデックス(AKI)
 殆どの国ではガソリンスタンドの給油機に示されるオクタン価はRONである。しかし、カナダやアメリカ合衆国、ブラジルなどではRONとMONの平均値が給油機に示される。この値をアンチノック・インデックス(Anti-Knock Index/AKI)と呼ぶ。AKIを採用する国の給油機には(R+M)/2の公式が書かれている場合があり、別の呼び名としてポンプ・オクタン価(Pump Octane Number/PON)が用いられる場合がある。採用される国はごく一部であるが、走行中のアンチノック耐性そのものをより合理的に示す数値であるともされる。

④RONとAKIの違い
 MONとRONの間には概ね8-10前後の差異が生じることは上記で述べたとおりである。よって、RONとAKIの間では米国の場合には概ね4-5前後低い値が表記される事が多い。比較の為には現状では英語版のen:Octane rating#Examples of octane ratingsの表を参照されたい。

⑤Observed Road Octane Number (RdON)
 あまりメジャーではない測定法であるが、最終的なオクタン価決定法としてObserved Road Octane Number (RdON)と呼ばれるものが存在する。これは世界の多気筒エンジンの開発で行われているもので、スロットルを全開状態で測定を行う。この方式は1920年代に提唱されたもので、今日でも高い信頼性を有しているとされる。当初は道路上を車両で走行しながら測定を行っていたが、より安定した測定環境を得る為に現在ではシャシダイナモ上で測定が行われる。

2.地域による差
 給油機から給油されるオクタン価の選択は、世界の地域ごとに大きく異なっている。

・オーストラリア:レギュラーはRON91。ハイオクはRON95が一般的であるが、98以上の製品も広く流通している。
・ドイツ: RON91とRON95の二種類のレギュラーと、RON98のハイオクを合わせた三種類が販売されているが、実際にはRON91の流通量は極めて少なく、自動車メーカーも殆どはRON95を想定してレギュラーガソリン仕様としている。
・イタリア:レギュラーはRON95である。ハイオクはRON98以上が条件とされている。
・イギリス:レギュラーはRON95である。ハイオクはRON97以上が条件とされている。
・アメリカ:AKI表記が原則であるが、地域により様々なものが販売されている。一般的にはレギュラーがAKI87(RON91)、プレミアム(ハイオク相当)がAKI93(RON98)で販売されており、レースに対応しているAKI93(RON98)クラスが街中のガソリンスタンドで手に入ることは特筆に値する。
・日本:レギュラーはRON89以上、ハイオクがRON96以上と、JIS規格における下限値は上記の諸外国に比べてやや低いオクタン価の設定となっている。詳細は後述。

【追記】
 本文にはあまり関係ない四方山話として記すのだが、第二次大戦中のレシプロエンジンの話しだ。
 第二次大戦中まではジェットエンジンは終戦末期にやっと姿を見せた程度で、ほとんどがガソリン空冷14気筒もしくは18気筒か水冷12気筒のエンジンだったが、それらエンジンの総排気量は35L~50Lという途方もない大排気量のエンジンで、シリンダー単室で2L~3Lにもなるというエンジンだった。つまり基本はロングストロークエンジンなのだが、それでもボア径は150mm程度にまで達するエンジンがあり、この広大な燃焼室面積に対してスパークプラグは2本配置のダブルイグニッション化されてはいた様だが、極めてノッキングとかデトネーションに弱いものだっただろう。
 圧縮は総じて8以下、最高回転数も3千がリミットであるから、大排気量故に2千馬力を出すが、L当り出力としては、現代車に比べ50ps/L以下と小さくなる。ガソリンの要求オクタン化は高いものが求められ、日本軍は当初100程度を前提にと中島飛行機らに云っていたのが、戦局の悪化でオクタン化は低下した様だ。ここで、日本軍はオクタン化低下を補うべく水アルコールを吸気管もしくは加給機の羽に当てる手法を取って切り抜けようとしていたらしい。
 戦後、疾風(はやて・誉エンジン搭載)など、米国に持ち帰り試験飛行した際、米国の最上級ガソリン(130オクタンとも記されている)で飛ぶと、疾風で設計値を超える690キロ近い速度が出たという。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。