妊娠期間は気が気ではなく。
喜ぶこともなかなか出来ず。
また同じことになるのではないか、また悲しい思いをするのではないか、と検診の度に不安で不安で仕方なかった。
安定期を迎えた頃、ほんの少しだけ安心したけどそれ以外はずっと心の隅でサイアクのことを考えていた。それは分娩台にあがるまでずっと。
高齢出産の初産にしてはかなり安産だったんだと思う。
陣痛から3時間、分娩台にあがって15分、私は第一子を出産した。
世のお母さんはみんなこんな経験をしてきたんだ。これを早い人はみんな二十歳やそこらで経験するんだもんな。
女ってすごいな。
やっと。私もその経験が出来た。
ありがとう息子よ。
これから私が母になるけど大丈夫かい。
不安なことばかりだけどどうぞ宜しく。
分娩台の上で、天使になった我が子と、大好きだったおばあちゃんが一緒に見ていた。
見守ってくれてありがとう。
君がいなければ私はこの子のことを授かることはなかった。
一生忘れないよ。ありがとう。