水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

「動的平衡(福岡伸一)」3 第二段落後半

2020年11月02日 | 国語のお勉強(評論)
15 日本が太平洋戦争にまさに突入せんとしていたころ、ユダヤ人科学者シェーンハイマーはナチス・ドイツから逃れて米国に亡命した。英語はあまり得意ではなかったが、どうにかニューヨークのコロンビア大学に研究者としての職を得た。
16 彼は、当時ちょうど手に入れることができたアイソトープ(同位体)を使って、アミノ酸に標識をつけた。そして、これをマウスに三日間、食べさせてみた。アイソトープ標識は分子の行方をトレースするのに好都合な目印となるのである。
17 アミノ酸はマウスの体内で燃やされてエネルギーとなり、燃えカスは呼気や尿となって速やかに排泄されるだろうと彼は予想した。結果は〈 予想を鮮やかに裏切っていた 〉。
18 〈 標識アミノ酸 〉は瞬く間にマウスの全身に散らばり、その半分以上が、脳、筋肉、消化管、肝臓、膵臓、脾臓、血液などありとあらゆる臓器や組織を構成するタンパク質の一部となっていたのである。そして、三日の間、マウスの体重は増えていなかった。
19 〈 これはいったい何を意味しているのか 〉。マウスの身体を構成していたタンパク質は、三日間のうちに、食事由来のアミノ酸に置き換えられ、その分、身体を構成していたタンパク質は捨てられたということである。
20 〈 標識アミノ酸 〉は、ちょうどインクを川に垂らしたように、「流れ」の存在とその速さを目に見えるものにしてくれたのである。つまり、私たちの生命を構成している分子は、プラモデルのような静的なパーツではなく、例外なく絶え間ない分解と再構成のダイナミズムの中にあるという画期的な大発見がこのときなされたのだった。
21 全く比喩ではなく、生命は行く川のごとく流れの中にあり、私たちが〈 食べ続けなければならない 〉理由は、この流れを止めないためだったのだ。そして、さらに重要なのは、この分子の流れが、流れながらも全体として秩序を維持するため、相互に関係性を保っているということだった。
22 個体は、感覚としては外界と隔てられた実体として存在するように思える。しかし、ミクロのレベルでは、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」でしかないのである。


Q14 「予想を鮮やかに裏切っていた」とあるが、どう「予想」していたのか。50字程度で抜き出せ。
A14 アミノ酸はマウスの体内で燃やされてエネルギーとなり、燃えカスは 呼気や尿となって速やかに排泄されるだろう

Q15 「標識アミノ酸」のはたらきとは、どのようなものであったか。26字で抜き出せ。
A15 「流れ」の存在とその速さを目に見えるものにしてくれた

「これはいったい何を意味しているのか」について、

Q16「これ」が指す実験結果とはどのようなものだったのか、60字以内で説明せよ。
A16 標識アミノ酸がマウスの全身に散らばり、あらゆる組織を構成するタンパク質の一部になりながら、体重は全く増えなかった。

Q17「何を意味しているのか」を具体的に明らかにしている箇所を154頁から40字以内で抜き出し答えよ。
A17 身体のあらゆる組織や細胞の中身はこうして常に作り変えられ、更新され続けている

Q18 この実験の結果、生物の個体とはどのようなものであると筆者は言うのか。30字以内で抜き出せ。
A18 たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」

Q19 「私たちが食べ続けなければならない」のは、なぜか。
A19 生命を保つには、私たちの身体を形づくる分子の流れを止めてはいけないため。 


〈 シェーンハイマーの実験と発見 〉

 標識アミノ酸をマウスに食べさせる → 分子の行方をトレース

  予想 … アミノ酸は燃やされ、燃えカスが排泄される
       ↑
       ↓
  結果 … 標識アミノ酸がマウスの全身に拡がり、臓器・組織の一部になる 
      マウスの体重は増えない(=もとあった分子が排出された)

 生命を構成する分子
   ……静的なパーツ
        ↑ ではなく
        ↓ 
     絶え間ない分解と再構成のダイナミズムの中にある

 個体
   ……外界と隔てられた実体
       ↑ ではなく
       ↓ 
    たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい「淀み」

 生命……分子の流れの中にある・分子の流れ……相互に関係性を保つ
   ↓
 食べる=分子を流れさせる=生命を保つ
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「 動的平衡(福岡伸一)」2 第二段落前半

2020年11月01日 | 国語のお勉強(評論)

9 カルティジアンに対する新しいカウンター・フォースとして、私は次の可能性を考えている。それは生命が本来持っている動的な平衡、つまりイクイリブリアムの考え方を、生命と自然を捉える基本とすることである。
10 生命とは何か。
11 この永遠の問いに対して、過去さまざまな回答が試みられてきた。DNAの世紀だった二十世紀的な見方を採用すれば「生命とは自己複製可能なシステムである。」との答えが得られた。たしかに、これはとてもシンプルで機能的な定義であった。
12 しかし、〈 この定義 〉には、生命が持つ〈 もう一つの極めて重要な特性 〉がうまく反映されていない。それは、生命が「可変的でありながらサスティナブル(永続的)なシステムである。」という〈 古くて新しい視点 〉である。
13 二十一世紀、環境の世紀を迎えた今、生命と環境をめぐる思考の中にあって、この視点に再び光を当てることは、私たちにさまざまなヒントをもたらしてくれる。
14 生命が分子レベルにおいても(というよりもミクロなレベルではなおさら)、循環的でサスティナブルなシステムであることを、最初に「見た」のはルドルフ・シェーンハイマーだった。DNAの発見に先立つこと十年以上前(一九三〇年代後半から一九四〇年にかけて)のことだった。この、生命観のコペルニクス的転回は、今ではすっかり忘れ去られた研究成果である。

平衡……つりあっている・バランスがとれている状態
イクイリブリアム(equilibrium)……(力の)釣り合い、平衡、均衡、均勢、(心の)平静
ミクロ……微小 ←→ マクロ……巨大


Q9「この定義」とは何を指すか。抜き出せ。
A9 生命とは自己複製可能なシステムである

Q10「もう一つの極めて重要な特性」とは何か。本文の言葉を用いて25字程度で記せ。
A10 生命が、可変的でサスティナブルなシステムであること。

「古くて新しい視点」について

Q11 どのような「視点」か。
A11 生命を可変的でサスティナブルなシステムと捉える視点。

Q12「古くて新しい」と言うのはなぜか。
A12 現代では顧みられることのない過去の研究成果に基づく考えだが、 
   現在の私たちに新しい示唆をもたらす視点と考えるから。

Q13 いつごろの研究で明らかにされたものか。抜き出して答えよ。
A13 一九三〇年代後半から一九四〇年にかけて


 従来の定義「生命 … 自己複製可能なシステム」
    ↑
    ↓
 イクイリブリアム(動的な平衡)の考え方
    ∥
 古くて新しい視点
  「生命 … 可変的・サスティナブル(永続的)なシステム」
    ∥
 生命観のコペルニクス的展開
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「詩を考える―言葉が生まれる現場」(東大2020年)の授業(5)

2020年07月30日 | 国語のお勉強(評論)
⑫ 〈作品〉と〈文章〉の対比を、言語論的に記述する能力は私にはない。私はただ一種の貧しい体験談のような形で、たどたどしく書いてゆくしかないので、初めに述べた私のこういう文章を書くことへのためらいもそこにある。〈 エ作品を書くときには、ほとんど盲目的に信じている自己の発語の根を、文章を書くとき私は見失う。 〉作品を書くとき、私は他者にむしろ非論理的な深みで賭けざるを得ないが、文章を書くときには自分と他者を結ぶ論理を計算ずくでつかまなければならない、そういうふうに言うこともできる。
⑬ どんなに冷静にことばを綴っていても、作品をつくっている私の中には、何かしら呪術的な力が働いているように思う。インスピレーションというようなことばで呼ぶと、何か上のほうからひどく気まぐれに、しかも瞬間的に働く力のように受けとられるかもしれないが、この力は何と呼ぼうと、むしろ下のほうから持続的に私をとらえる。それは日本語という言語共同体の中に内在している力であり、私の根源性はそこに含まれていて、それが私の発語の根の土壌となっているのだ。


 文章……貧しい体験談のような形で、たどたどしく書いてゆくしかない
        ∥
      ためらう理由

 作品を書く → 他者に非論理的な深みで賭ける
   ↑
   ↓
 文章を書く → 自分と他者を結ぶ論理を計算ずくでつかむ

 作品をつくっている私の中……呪術的な力が働いている
   ↓
  この力 
   ∥
 下のほうから持続的に私をとらえる
 日本語という言語共同体の中に内在している力
 私の根源性
 私の発語の根の土壌


Q11「作品を書くときには、ほとんど盲目的に信じている自己の発語の根を、文章を書くとき私は見失う」とあるが、なぜか。
A11 異なる現実を生きる他者に私的な言葉を伝えるには、
   自己に内在する言語共同体の力に頼ることができず、
   他者とつながる論理を外部に構築する必要があるから。


 最後の設問で、長めの記述問題を解くときは、冒頭の問題提起を一度確認する。
 筆者は、そもそも何をしようとしたのか。
 何を述べようとしたのか。
 編集者の「肉声」になんとか答えるために、どうしようと考えたのか。

 他者・異物とのコミュニケーションをどうすべきかという問題は、どの大学の先生も強く抱きながら模索しているのが現状。

 ただ解くのではなく、与えられた文章で提示された問題・課題を、今の世の中に広げて考えてみよう。そして今の自分にひきよせて考えてみよう。
 世の中を見るメガネ、自分を見直すメガネを手にいれるのが現代文の勉強。
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「詩を考える―言葉が生まれる現場」(東大2020年)の授業(4)

2020年07月28日 | 国語のお勉強(評論)
⑨ そこには無論のこと多量のひとりよがりがあるわけだが、そういう根源性から書いていると信ずることが、私にある安心感を与える。これは私がこういう文章を書いているときの不安感と対照的なものなのだ。自分の書きものに対する責任のとりかたというものが、作品の場合と、文章の場合とでははっきりちがう。
⑩ これは一般的な話ではなくて、あくまで私個人の話だが、〈 作品に関しては、そこに書かれている言語の正邪真偽に直接責任をとる必要はないと私は感じている。正邪真偽でないのなら、では美醜かとそう性急に問いつめる人もいるだろうが、美醜にさえ責任のとりようはなく、私が責任をとり得るのはせいぜい上手下手に関してくらいのものなのだ。 〉創作における言語とは本来そのようなものだと、個人的に私はそう思っている。もしそういうものとして読まぬならば、その責任は読者にあるので、私もまた創作者であって同時に読者であるという立場においてのみ、自分の作品に責任を負うことができる。
⑪ 逆に言えばそのような形で言語世界を成立させ得たとき、それは作品の名に値するので、( 現実には作家も詩人も、創作者としての一面のみでなく、ある時代、ある社会の一員である俗人としての面を持つものだから、彼の発言と作品とを区別することは、とくに同時代者の場合、困難だろうし、それを切り離して評価するのが正しいかどうか確言する自信もないけれど、 )離れた時代の優れた作品を見るとき、あらゆる社会的条件にもかかわらずその作品に時代を超えてある力を与えているひとつの契機として、〈 ウそのような作品の成り立ちかた 〉を発見することができよう。


 そういう根源性から書いていると信ずる → 安心感
   ↑
   ↓
 こういう文章を書いている → 不安感

 作品……言語の正邪真偽・美醜に責任をとる必要はない
        ↑
     創作における言語とは本来そのようなもの

 そのような形で言語世界を成立させ得たとき
     ↓
 作品の名に値する
     ↓
 時代を超えた力をもつ作品
     ∥
ウそのような作品の成り立ちかた

Q10「そのような作品の成り立ちかた」とはどういうことか、説明せよ。
A10 作品を構成する言語に対する責任をとる必要がないほどに作者自身は捨象され、
   純粋に作品世界が立ち上がってくる状態になること。
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「詩を考える―言葉が生まれる現場」(東大2020年)の授業(3)

2020年07月24日 | 国語のお勉強(評論)
〈 記述答案(説明)を書く手順 〉

1 意味段落の確認 → ざっくり何について書くべきか
   その意味段落は筆者の主張Aの説明パートか
   対比Bの説明パートか
   A・Bの具体例がメインのパートか
   A・Bの「(+)」を述べているパートか、「(-)」を述べているパートか
  その意味段落を内容を読めているかどうかを調べるために、そこに傍線部が存在する

2 前後の確認 → 指示語、接続語

3 傍線部を分析 → 記述説明すべき要素・項目をチェックする

4 書くべき内容を箇条書きにする → 書き出してみて字数を数える

5 日本語としてまとめる
   論理的・文法的に大丈夫な日本語か
   他人が読んで、意味が通じるか
   ひとりよがりになってないか(予備校さんの解答にたまにある)
  結果として、次の基本構造になる
   SがVする、ということ
   SはCだ、ということ
    SとVCに間に、必要なものは1・2できまる
     理由 ~のためにで  限定条件 ~のときに  対比関係 ~ではなく


⑧ 真の媒介者となるためには、その言語を話す民族の経験の総体を自己のうちにとりこみ、なおかつその自己の一端がある超越者(それは神に限らないと思う。もしかすると人類の未来そのものかもしれない)に向かって予見的に開かれていることが必要で、私はそういう存在からはほど遠いが作品をつくっているときの自分の発語の根が、こういう文章ではとらえきれないアモルフな自己の根源性(オリジナリティ)に根ざしているということは言えて、〈 イそこで私が最も深く他者と結ばれている 〉と私は信じざるを得ないのだ。

(二)「そこで私が最も深く他者と結ばれている」(傍線部イ)とはどういうことか、説明せよ。

真の媒介者
 その言語を話す民族の経験の総体 → 自己のうち
 自己の一端 → 超越者に開かれている

作品をつくる
 自分の発語の根
   ↓
 アモルフな自己の根源性(オリジナリティ)
   ↓
 そこで私が最も深く他者と結ばれている


手順1 文章(B)ではなく、作品(A)をつくるとはどういうことか

手順2 「~ということは言えて」……順接

手順3 「そこ」「最も深く」「他者」

 a そこで → どこで? → 媒介者として作品をつくる場
 b 私が最も深く → 浅いのは何? →(作品は深い)文章は浅い・表面的
 c 他者と結ばれている → 誰?  → 同じ言語を話す民族
                     超越者 未来の人たち


Q9「そこで私が最も深く他者と結ばれている」とは、どういうことか。
A9 同じ言語を話す民族の経験に根ざし、
   媒介者として作品をつくるとき、
   過去から未来にわたる他者たちとの根源的なつながりを感じる
   ということ。
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「詩を考える―言葉が生まれる現場」(東大2020年)の授業(1)

2020年07月17日 | 国語のお勉強(評論)
谷川俊太郎「詩を考える―言葉が生まれる現場」

① 「あなたが何を考えているのか知りたい」小田久郎さんはそうおっしゃった。電話口を通してぼそぼそと響いてきた〈 その肉声だけ 〉が、私にとって〈 こんな文章 〉を綴ろうとする唯一の理由だと、そんなふうに私は感じている。
② 編集者である小田さんの背後に、無限定な読者を想定することは、今の私にはむずかしい。私の考えることが、その人たちにとってどれだけ意味のあることか、私には確信がない。私の書くことはみな、まったく私的なことで、それを公表する理由がどこにあるのか見当がつかない、それが私の正直な気持ちだ。が、それでも私は電話口で小田さんの肉声に〈 自分の肉声でためらいながらも答えた 〉のである。
③ 原稿を注文され、それをひきうけるという一種の商取引に私たち物書きは慣れ、その行為の意味を深く問いつめる余裕も持てないでいるけれど、〈 その源にそんな肉声の変換がある 〉とするならば、それを信じてみるのもいいだろう。


Q1「その肉声こそが」とあるが、「肉声」とはどのようなものか。
A1 直接伝えられた編集者の本当の思い

Q2「こんな文章」とはどんな文章か。
A2 詩がどのように生まれるのかを解説する文章

Q3「自分の肉声でためらいながらも答えた」とはどういうことか。
A3 伝えられるかどうか自信はないものの、小田さんの気持ちに応えたいと思ったということ。

 肉声……本音・心からの気持ちを直接伝える言葉
  ↑
  ↓
 人工音声・マイクごしの言葉・建前・商取引の言葉

   小田久郎さん 編集者
 注文↓肉声↑原稿     ……肉声の変換
 私   物書き

Q4「その源にそんな肉声の変換がある」とは、どういうことを述べているのか(80字以内)。
A4 原稿の注文をひきうけるという行為は、
   何らかのことを知りたいという編集者の切実な思いと、
   それに応えたいという物書きの真摯な姿勢が
   具現化したものであるということ。
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語彙力アップドリル2

2020年07月09日 | 国語のお勉強(評論)
問 空欄に、漢字、読み方、意味、反対語を記入しなさい。

信原幸弘「情動の哲学入門 価値・道徳・生きる意味」、鷲田清一「老い」(一橋2020年)

1( 情動 )じょうどう
2 嬉しい( うれ )しい
3( 尊敬 )そんけい
4( 褒 )めそやす ほめそやす ……しきりにほめること。
5 感情を( 抑 )える 感情をおさえる
6( 雇用 )こよう
7( 理不尽 )りふじん ……筋が通らないこと、無茶ぶり。
8( 聖職者 )せいしょくしゃ ……( 宗教 )上の仕事に携わる人。
9( 患者 )かんじゃ
10( 真摯 )しんし ……ひたすらまじめなこと。
11 適う( かな )う
12( 丁寧 )ていねい
13( 立派 )りっぱ
14( 湧 )き起こる わき起こる
15 毅然( きぜん )とした
16 相応しい( ふさわ )しい
18( 介護 )かいご
19 惨め( みじ )め
20 基軸……思想や組織などの根本・( 基準 )となるもの。
21 停滞 ←→( 進捗 )
22 衰退 ←→( 発展 )or繁栄
23 潜勢(せんせい)……( 内側 )にひそんでいて外に表れない勢い。
24 制度疲労……制度の本来の目的と現実の社会との間にズレが生じ、制度が( 機能 )しなくなった状況。
25( 対置 )たいち……二つの物事を相対するようにおくこと。
26 蓄える( たくわ )える
27 培う( つちか )う
28 メチエ……( 仕事 )・表現技巧・職人技。
29 ( 削 )ぐ そぐ
30 成熟 ←→( 未熟 )
31 観念……ものごとに対してもつ( 考え )。
32 マネージする……うまくやっていく、( 経営 )する。
33 慮る( おもんぱか )る……よくよく考える。
34 依存 ←→( 自立 )or独立
35( 排除 )はいじょ
36 産着( うぶぎ )
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語彙力アップドリル1

2020年07月08日 | 国語のお勉強(評論)
問 空欄に、漢字、読み方、意味、反対語を記入しなさい。

小坂井敏晶「近代の原罪」(東京2020年)

1 ( 媒介 )ばいかい ……なかだち。
2 パラドクス ……( 逆説 )。矛盾。
3 出来レース ……はじめから( 勝敗 )が決まっているレース。
4 矛先( ほこさき ) ……( 攻撃 )の方向。
5 ( 是正 )ぜせい
6 ( 顕著 )けんちょ
7 社会主義 …… ( 生産 )手段を共有化し富の平等分配を目指す思想。
8 つちかう( 培 )う ……時間をかけて育てる。
9 桎梏( しっこく ) ……手かせと足かせ。自由を( 束縛 )するもの。
10 メカニズム ……装置、( 仕組み )。
11 イデオロギー ……( 思想 )。
12 袋小路 ……( 行き止まり )。
13 未曾有( みぞう ) ……これまでに一度もなかったこと。
14 表象(ひょうしょう) ……( イメージ )。
15 峻別( しゅんべつ ) ……きびしく区別すること。
16 虚構 ←→( 事実 )
17 ( 沈殿 )ちんでん
18 遡及( そきゅう ) ……( 過去 )にさかのぼる。
19 分析 ←→( 総合 )
20 定立(ていりつ) ……肯定的な判断を表すこと。( 命題 )を立てる。
21 所与(しょよ) ……与えられたもの。( 前提 )。
22 自業自得 ……自分の行いの( 報い )を自分が受けること。
23 ( 封建 )制度 ほうけん制度 ……主君と家臣の土地を媒介する( 主従 )関係に基づく支配構造。
24 ( 投影 )とうえい ……像が映し出されること。
25 ヒエラルキー ……( 階層 )構造。
26 ( 既存 )きそん ←→( 新規 )
27 秩序 ←→( 混沌 )
28 ( 恭順 )きょうじゅん ……つつしんで従うこと。 
29 ユートピア ……( 理想 )郷。
30 建設 ←→( 破壊 )
31 強制 ←→( 任意 )
32 ( 摂理 )せつり ……自然界を支配する法則。
33 詭弁( きべん ) ……間違ったことを正しいと思わせる議論。
34 瑕疵( かし ) ……きず。( 欠点 )。
35 ( 欠陥 )けっかん
36 緩和 ←→( 強化 )
37 ( 糾弾 )きゅうだん ……罪や責任を問いただすこと。
38 謀る( はか )る
39 ( 隠蔽 )いんぺい ……意図的に覆い隠すこと。
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評論文読解の超基本(3.5)

2020年05月13日 | 国語のお勉強(評論)
評論文読解の超基本(3.5)

 実際に読んでいくときには、キーワードを囲んだり、大事そうな箇所に線をひいたりして、本文を視覚的に立体化します。

1 キーワードを囲む(線をひく)
 筆者の主張を表すキーワードを丸で囲む(傍線をひく)
 反対の意味の語を四角で囲む(二重線をひく)
                のように対比がわかるとなおよい。

2 大事そうな部分(次のような箇所)に線を引く。

 ① キーワードにかかっていく一続きの部分

 ② 定義・テーマを表す文
  「~とはどういうことだろうか」・「~とは~である」

 ③ 大事なことは繰り返される
  「つまり」の後
  「たとえば」の前・「このように」の後
  「このことは」「これが」「それは」の前or後

 ④ 大事なことは対比される
  「ではなく」「しかし」「むしろ」「よりも」の後

 ⑤ 大事なことは理由が述べられる
  「なぜなら」の前・「だから」の後
  「~だからである」と終わる文の前

 ⑥ 大事なことは大事だと言う
  「~が大切である」「~にほかならない」「~ばならない」

 ⑦ 大事なことは遠慮がちに言う
  「~ではないだろうか」「~と考えられるかもしれない」
  「~と私には思われる」

 ⑧ マイナス表現をチェック(波線をひく)する
  例 衰退 減少 転倒 倒錯 病 依存 事態 模倣 破壊
    ~てしまう ~なるものは  ~ですら・ さえ  ~でしかない

 あくまでも原則なので、あとは実際に問題を解きなれる必要があると思います。
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評論文読解の超基本(5)

2020年04月29日 | 国語のお勉強(評論)
石井洋二郎「芸術作品に客観的価値はあるのか」(埼玉県高校入試2017年)⑤~⑧段落


⑤ 〈 となると 〉、〈 彼らの作品に高い価値が付与される社会的なメカニズム 〉がどこかで作用したと考えざるをえない。ここでピエール・ブルデューの議論を参照してみよう。彼は、次のように述べている。
⑥   芸術作品の価値の生産者は芸術家なのではなく、〈 信仰の圏域としての生産の場 〉である。それが〈 芸術家の創造的な力への信仰 〉を生産することで、フェティッシュとしての芸術作品の価値を生産するのだ。
⑦ 文脈ぬきでいきなり読むと若干わかりにくいかもしれないが、「信仰の圏域としての生産の場」とは要するに、作品の作り手が組み込まれている人間関係や社会的制度の総体のことである。ブルデューによれば、芸術家自身がみずからの意志と能力だけで独自に価値を創造するわけではない。そうではなく、彼(女)が身を置いている「生産の場」の〈 さまざまな力学作用 〉の結果として、その芸術家が「創造的な力」に恵まれた特殊な存在であるという共通の認識(客観的な根拠をもたないがゆえに、ブルデューはこれを「信仰」と呼んでいる)が形成され、その作品が一種の「フェティッシュ」(無条件の崇拝対象)として〈 価値を付与される 〉というのである。
⑧ 絵画についていえば、この「生産の場」は画家以外に美術評論家、ジャーナリズム、絵画愛好家、画商、美術館、一般観衆、等々によって構成されている。たとえばゴッホは生前はまったく無名であったが、死後、一部の美術評論家たちがその作品を再評価しはじめると、絵画愛好家たちはこれを入手したいという欲求を抱く。すると画商たちが需要の増大に応じて彼の作品の値段をつりあげ、裕福な個人や権威ある美術館がこれを高額で買い取るようになる。その結果、ゴッホはそれだけの評価に値する偉大な芸術家であるという共通了解(信仰)が、一般観衆のあいだに形作られていく。そしていったん名声が確立すると、以上のような価値創造のサイクルが加速度的に拡大し、彼の絵は世界的な有名画家の貴重な作品(フェティッシュ)として認知されるに至る。もしかすると数万円でしか取引きされなかったかもしれない作品が数十億円で売買されるという手品のような現象は、このようにして可能になるのである。


Q14「となると」との「と」はどういうことを指しているか。60字以内で記せ。
A14 数十億円で売買される絵画だからといって、数十億円に換算できる客観的な価値が内在しているのではないと考えられること。

「彼らの作品に高い価値が付与される社会的なメカニズム」について
Q15「彼ら」とは誰か。5字で抜き出せ。
A15 著名な画家

Q16「メカニズム」の意味を記せ。
A16 仕組み

Q17 この「メカニズム」を、具体例を用いて述べている段落(形式段落)はどの段落か。その最初の五字を書き抜きなさい。
A17 絵画につい

Q18 このことを、筆者は比喩的にどう表現しているか。8字で抜き出せ。
A18 手品のような現象

Q19「信仰の圏域としての生産の場」とは、端的にいって何のことか。二文字で抜き出せ。
A19 社会

Q20「芸術家の創造的な力への信仰」と同じ内容を次の7段落から30字以上35字以内で抜き出せ。
A20 その芸術家が「創造的な力」に恵まれた特殊な存在であるという共通の認識

Q21「さまざまな力学作用」をもたらす主体とは、具体的にどのような人たちか。該当する部分を抜き出せ。
A21 美術評論家、ジャーナリズム、絵画愛好家、画商、美術館、一般観衆

「価値を付与される」について
Q22 その元になるものは端的にいって何か。7字で記せ。
A22 芸術家への信仰

Q23 価値が付与される一連の流れを筆者は何となづけているか。9字で抜き出せ。
A23 価値創造のサイクル



⑤彼らの作品に高い価値が付与される社会的なメカニズム

⑥芸術作品の価値の生産者

  芸術家ではなく
    ↑
    ↓
  信仰の圏域としての生産の場
    ↓
芸術家の創造的な力への信仰を生産
    ↓
  フェティッシュとしての芸術作品の価値を生産
      ∥
⑦ 芸術家自身がみずからの意志と能力
    ↑
    ↓
  作品の作り手が組み込まれている人間関係や社会的制度の総体
     ↓
  その芸術家が「創造的な力」に恵まれた特殊な存在であるという
  共通の認識
     ↓
 「フェティッシュ」(無条件の崇拝対象)として価値を付与される

⑧絵画について
  ゴッホは偉大という共通了解(信仰)
     ↓
  貴重な作品(フェティッシュ)として認知
     ↓
  数十億円
    ∥
  価値創造のサイクル
    ∥
  手品のような現象
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