シャオさんのつれづれ思う故に(BLOG版)

私、シャオが日々の移ろいの中で、感じたこと、思ったことを書きためていく所です。

TRPG版無限のファンタジア~倒せ、グドンを! 守れ、海を!!

2005年10月22日 23時47分19秒 | 日常のつれづれ
1.悩める村
 グドンの出現に、悩んでいた一つの村がありました。その村の名はキサガチ。
 村の漁師たちは、長老・トハリに請願していた。
「長老、このままじゃ、ダメだ。俺たち、食えなくなっちまうだ~。」
 漁師たちの声を聞いた長老は、その後、ある人物を呼んだ。
 キサガチに住む霊査士・タクワである。
「タクワさん、実はお願いがありまして、最近、村の近くにある岩礁にグドンが出没したそうです。その退治のために必要な冒険者を集めて欲しいのです。必要な物があれば、もちろん、冒険者の皆さんにお貸しします。」
「そうなのねぇ~。依頼のことは、分かったのねぇ~。それと、どんなグドンなのか分からないから、ちょっと霊視をしてみたいのね~。」
 タクワがこう言うと、トハリは「分かりました。先日、何者かに切り取られた網がありますので、それを用意します。そんなに時間はかからないと思いますので、少々お待ち下さい。」と言って、いずこかへと出かけていった。
 それからしばらくして、トハリは、強い力で引きちぎられた網を持ってきた。
「タクワさん、これは先日、グドンに引きちぎられたという網です。」
 こう言って、トハリはタクワに、網を手渡した。
「分かったのね~。ちょっと見てみるのね~。」
 そういって、腕に霊査の腕輪をはめた男は、カランと音を鳴らし、目を閉じて、その網を手に取った。
 まぶたを閉じた霊査士には、シャチグドンが銛を使って網を引きちぎっていく様が見えてきた。そして、魚を捕った後は、岩礁へ上陸し、大宴会と言う光景までもが目に見えてきた。
「うむ~。」
 タクワはそういうと、目を開き、こう告げた。
「長老、これは冒険者に頼んだ方が良いかもしれません。数が数なだけに、やっかいなことになりそうです。」
「分かりました。この村に滞在中の旅団はありましたっけ?」
 トハリが尋ねると、タクワがこう答えた。
「今は、駆け出しの冒険者旅団がおりますし、今日か明日には、収穫祭に招待した楽団が到着するでしょう。」
「楽団が、冒険者旅団…。どうしてまた?」
 トハリが不思議そうな表情をして言う。
「ええ、彼らは、各地で実績を上げている冒険者の旅団です。
 駆け出しの旅団で何とかなると思いますが、念には念で、彼らにもサポートを求めようと思います。」
「分かりました。そのようにしましょう。」
 トハリがこう言うと、タクワはこう言って、長老とともに、冒険者の酒場へと向かった。
「ありがとうございます。早速依頼をかけましょう。」

2.at Warl Wind
 時間を2週間ほど前に戻そう。
 キサガチ村の収穫祭に参加することになったある楽団があった。その名は「移動楽団ワールウインド」
 団長・ジーク=リーディアを筆頭に、多くの著名な演奏家たちがこの楽団に参加している。そして、冒険者としても第一線で活躍する旅団である。
 そんな中、8月に入団したばかりの2人に、ジークが声をかけた。
マイト、イオ、ちょっと来てくれないか?」
 舞の練習と、フルートの練習を行っていたヒトの青年とドリアッドの青年は手を止めて、彼の下へ向かう。
「ジークさん、何か?」
 マイトと呼ばれた青年がこう尋ねると、ジークは開口一番こう告げた。
「今回、2人にキサガチで開かれるの収穫祭の公演で、俺たちのトリを勤めて貰いたいんだ。
 マイトの舞は、他の団員から聞いているし、友好からも独特な舞で、心と体が吸い寄せられるって、話題になってるんだ。
 それから、イオは色々な楽器が扱えるんだよな?
 得物のフルートでマイトと一緒にやってみないか?」
「僕がトリですか…。ジークさん、僕の様な新人が、トリを勤めて良いんですか?」
 イオと呼ばれた青年が不安そうな表情を浮かべながら、尋ねる。
「ああ、二人なら、急度出来るだろ。他の団員から聞いたけど、二人の演奏と舞は凄く息が合っていて、何か、こう心が体から離れていく…。そんな感じがしたんだと。」
 ボディーランゲージを用いつつ、話をするジーク団長に、「そうですか…。」とイオはマイトの表情を見つめ続ける。マイトも、いきなりのトリを勤めると言うことで、不安の色が隠せないでいる。
「イオさん、受けましょうか…。楽団の皆さんの総意みたいですし…。
 私たちが出来ることを精一杯やれば、急度行けますから。」
 マイトは、ポツリとイオに言いつつも、何か決意を秘めた声色で話した。
「マイトさん、本気ですか?」
「ええ…。せっかくの機会ですし、やってみましょう。」
「分かりました。マイトさん、よろしくお願いします。この前の様に素敵な舞を見せてください。」
「こちらこそ、この前のように素敵な笛の音を聞かせてくださいね。」
 マイトがこう言うと、二人は意を決したように、団長に告げる。
「「ジークさん、この話、喜んで引き受けます!」」
「おいおい、何も二人で、一斉に言わなくていいだろう。
 分かったよ。二人とも、頑張ってくれよ!」
 ジークは、こう言うと笑みを浮かべて、その場から立ち去っていった。
「あいつら、いいコンビだな。」とポツリと呟きつつ…。
 その数日後、ワールウィンドの一行は、本拠地からキサガチの村へ向かうこととなる。
 髪の毛先に百合の花を付けた青年が「マイトさん、今回もよろしくお願いします。」と出立する前に、こう挨拶をするとマイトからも、「こちらこそ、よろしくお願いしますね。」と笑みを浮かべながら、挨拶が返ってきた。
「みんな、キサガチの村へ出発するぞ!」とジークの声とともに、一行はキサガチへと出発した。
 トリを勤める人物が、依頼に巻き込まれるとは、このとき誰も知らずにいた。

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