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「手紙」劇場にて 罪滅ぼしとはなんなのか

2006年11月12日 | cinema-japan

今日はもともと映画を見に行くつもりはなかったのですが、昨日会社の同僚に誘われたので、シアター大都会で『手紙』を観てきました。


人が罪を犯すとはどんなことなのか考えされられる作品でした。

人である以上過ちを犯してしまうことはだれにでもあることでしょう。ただそれが法の一線を越えることで罪を犯したことになるのが現代です。おりしも飲酒運転が大問題となっている昨今、いつわが身に降りかかるかわからない時代を私たちは生きています。罪を犯すことということはどういうことなのなのか、自分ひとりで罪を償うもものだと勘違いしていたことをこの作品は教えてくれました。
罪を犯したものが家族にいるだけで差別を受けてしまうということは、これまで何度でもメディアで目にしてきました。家族がその町を離れる、離散してしまうということはそれだけ差別を受けた結果なのでしょう。罪を犯そうとしているとき(飲酒運転もそう)、その結果がどうなるかこの作品は教えてくれています。
数年前、少年裁判で「さだまさし」の『償い』が取り上げられたことを思い出しました。機会があれば皆さんも一度聞いてみてほしいと思います。
エンディング、途中まで「小田和正」の『言葉にできない』が流れていることを感じないくらいこの曲は作品にはまっていました。古い曲とはいえ曲自身の持つ魅力は時代を超えるといったことでしょうか。


題名にもなっている『手紙』、て最近いつ書きました?

私はもう十年以上書いた記憶がないですね。携帯メールやeメールが主流になった現代だからこそ、手紙の持つ力が一層強まった時代になった気がします。手紙を書くということはその間相手のことを思いながら進める作業と言われています。身近な人にただ一言書いてあげるだけでも今までとは違う関係を築くことのできる力を持っている気がします。


物語の展開としては目新しさを感じさせるものははありません。監督の確かな演出が一流の作品に仕上げていると感じました。ただ残念なところがひとつありました。回想シーンであることを観客にわからせるためにあえて画質を落として撮影されていましたがその絵がデジタルで処理されていたことです。ノイズがデジタルならではだったので、かえって新しさを感じ違和感を覚えてしまいました。


俳優(とくに女優)には大きく三つのタイプがあると思います。
一つはどの役柄を演じるときでもその俳優の個の魅力があふれてしまう俳優。主役を張ることのできる俳優ともいえると思います。ただしその魅力が衰えたとき銀幕からフェードアウトせざるを得ない対応ともいえます。
二つ目は個を殺しあくまでその役柄を作り上げていくタイプ。実力派とも云われそういったものが脇を固めることにより作品の質を幾重にも広げていく俳優。そしてまれにですがその二つを併せ持つ俳優。
本作の本当の主役とも言える『由美子』を演じた「沢尻エリカ」は今のところ紛れもなく一つ目の女優であると断言できます。
「生野滋朗」監督がインタビューなどで「沢尻エリカ」は大失敗だった。」と語っていたのはある意味納得のできることです(良い意味でですけど)。原作の中での設定では(たとえば今公開中の『ただ君を愛してる』の主人公のように)野暮ったくて不細工なイメージがあったということなのですが、「沢尻エリカ」は眼鏡をかけさせてもいくらメイクを工夫してもその魅力を消すことはできなかったそうです。その為『直貴』との愛のつながりの中で美しくなっていくということを演出し切れなかった、ということを「失敗だった。」と語っていたのでしょう。
その「沢尻エリカ」は『直貴』への愛を貫く『由美子』という役柄にあっていたと思います。芯の強い女性というキャラが彼女自身の魅力と重なっていたことが良かったのだと思います。

お笑い芸人を目指す『直貴』と愛を育むお嬢様『(吹石一恵)』は『由美子』との対比のために設定された役柄なのでしょう。理想ともいえる恋愛感はまさに箱入り娘そのままの台詞でした。彼女自身の雰囲気が合うのでしょうか。うまくはまっていたと感じました。

私的には『電車男』のイメージが強い「山田孝之」ですが、本作でもそれに近いイメージでした。ただひとつ意外だったのがはだけたシャツの間からのぞいて見えた胸毛。まるで外人さんのような胸毛でした。


今年は本当に邦画の当たり年ですね。うれしいかぎりです。


評価 星 よんてん ご


公式サイト


手紙@映画生活

手紙 - goo 映画


P.S.
元電気屋としてはケーズデンキさんとは商売敵でした。
物流倉庫なんかはなんとなく懐かしい感じで見てました。



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