「堤未果のショックドクトリン」読んだ
この本の中で、ショックドクトリンは、P63
①まずショックな事件(災害、クーデター、戦争など)が起きる
②ショック状態で国民が思考停止する
③緊急事態を理由に憲法や法律を無視して新自由主義(規制緩和政策、民営化、社会保障切り捨て)政策をどんどん入れる
④政府とお友達企業がダイナミックに儲ける
としていて、この③と④が同じ人になっているケースを紹介している。
(③の場合、政府にいて政策を実行し、④の場合民間にきて儲ける。
なので③と④が同じ人の場合、政府から民間に移る必要があり、
これを「回転ドア」と呼んでいる)
だけど、今の世の中、③と④の人は違う場合が多く、もっと巧妙になっていると思う。実際には今は
③’ショックで国民が思考停止しているので、冷静に考えればおかしいんだけど、正しそうに聞こえる意識高い主張をして(主張をしている人は、まさか自分が④の人たちの加担をしていると思わない人もいる)、④の人が儲かるような行動をみんなに起こさせる
④政府とお友達企業がダイナミックに儲ける
という構造だと思う。この③’の構造に、「堤未果のショックドクトリン」がはまっていると思うので、そこを以下にシェア。
「堤未果のショックドクトリン」の話が正しいならば、マスコミはショックドクトリンに反対するような報道は避けるはずだ。
ところが、NHKは、100分de名著で「ショックドクトリン」を取り上げているし、本屋さんでも、この本はかなり売れている・・・ということは、この本(「堤未果のショックドクトリン」)は、ショックドクトリンを行う日本のシカゴボーイにとって、すっごい利益になる本ということになる。
・・・その通りだと思うのだが、その例について、まず軽いジョブ。
「堤未果のショックドクトリン」のP144
「マイナンバーカードを作りたくない人はどうすればいい?」
これの答えが、
・保険証の切れる前に発行先に連絡し、「資格確認書」を申請してください
今までの保険証と違って郵送してくれないので、期限が切れる前に忘れず
に更新手続きをしてください
となっているが、これをみんながやったら、どうなるか・・・
想像つきますか?
「発行先」とごまかしているからわかりにくいけど、発行先は、
「保険者」です。
国民健康保険の場合は、地方自治体。
企業の場合は、大きい企業の場合は組合健保
中小企業の多くは「協会けんぽ」になります。
ここで問題なのは、組合健保。
組合健保は十分に人がいて、暇している・・・というわけではありません。
また、国民健康保険を発行する地方自治体も暇・・?というわけではありません。そこに、この「資格確認書」発行作業が入ったら・・・
・・・申請の時期はまちまち、発行は申請された人だけだから、
いままでのように一律にはできません。一律なら、どっかの会社に委託すればいいけど、申請だと、どれだけ申請されるかわからず・・・
とりあえず、仕事は増えることは確実なので、人を増やさないといけません。でも、人を増やす人件費はないし、そもそも、人を増やすって、何人か分かりません。こういう場合、すぐに首を切れる派遣を頼むしかないです。
つまり、上記「これをみんながやったら、どうなるか・・・」の答えは
「マイナンバーカードを使わない=保険者発行の資格確認書必要」
→「保険者の事務増加」
→「事務員の派遣社員が必要」
ってなりますよね。
派遣会社の経営者って、儲かりそうな気がしません。
派遣会社の経営者・・・!
日本の(シカゴ大学ではなくハーバード大だけど。今は違うけど、たぶんこの政策を考えた時はそうだった)シカゴボーイの・・・おっと誰か来たようだ・・・
(別の記事につづく・・・かも)
※P.S
そのあとの「堤未果のショックドクトリン」の一言(P145)
マイナ保険証を作らなければ、マイナンバーと保険証を紐づけられることはありません
って、これ、保険者に裏とったのかなあ、ちゃんと聞いたのかなあ?
マイナ保険証と、マイナンバーと保険証に記載されている被保険者番号の紐付けは関係なく、
・保険者は、社会保険事業においては、「個人番号利用事務実施者 」として、マイナンバーの利用は認められています(健保組合の場合、事業者などからマイナンバーを集めるので、本人が聞かれた覚えがなくても、健保組合はマイナンバーを知っています。国保、公費の生保の場合などは、地方自治体が保険者ですが、これは、市役所とかのことになります。市役所は住民票にマイナンバーを書いているので、知ってます)。
・だから、国がその気になって保険者に「マイナンバーと被保険者番号を紐付けて」といえば、「はいはい」と紐づけられます(社会保障の範囲内の利用ですから・・・)
・てか、そもそも、今の時点で、厚生労働省は
「健康保険の加入手続きには マイナンバーの記載が必要です」
って、脅しています↓。