昔 、秋という囲碁の名人がいた。
秋は二人の弟子をとった。だが、二人は性格が全く違っていた。秋が講義をしている時、一人は精神を集中させて学んでいた。しかしもう一人はというと、ぼうっと窓の外の林を眺めたり、木の上で鳴く鳥の声を聴いていたりしていた。頭の中ではいつ狩りに行けるかとか、いつ焼肉を食べに行こうかというようなことばかり考えていた。 くだらないことばかり考えていて、「心ここにあらず(心不在焉)」という状態だったので、先生の解説など少しも耳に入らなかった。
まじめに講義を聞いていた弟子はその後、めざましい進歩を遂げて、すぐに囲碁の名人となった。 一方、気持が定まらず迷ってばかりいた弟子は結局何の技術も身につけることはなかった。
師弟がもうすぐ分かれるという時になって、秋は二人の弟子をそばに呼び寄せて重々しい口調で言った。「何をする時も、専心致志(一意専心)でなければ、決して成功はないのだ。」
《中国故事成语“专心致志”》
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