以下の記事は2011年9月24日に書いたものですが、復刻します。
<はじめに> 消費税論議が相変らず続いているが、今年1月に書いた記事を再び載せたくなった。消費税が引き上げられれば物価高になるのは当然で、われわれ消費者が困るのは誰もが分かっている。しかし、それよりもはるかに打撃をこうむるのは、全国に800万人いるという中小・零細企業の事業者たちである。たぶん、自殺者が増えることは間違いない。 その一方で、輸出大企業は「消費税還付金」の形で事実上、大儲けするのは明らかである。前の記事を一部修正しながら以下に再録してみたい。
☆ 消費税引き上げ論議が盛んになってきたが、私はある人から紹介されて、『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)という本を買って読んでみた。この本は斎藤貴男(たかお)さんというジャーナリストが著したものだが、一読して驚いた。
巨大な輸出企業がいわゆる“輸出戻し税”で、仕入れにかかった消費税分を還付してもらっていることは知っていた。これは、車でも電気製品でも輸出先の外国では消費税を取ることができないから、仕入れにかかった消費税5%分を国から戻してもらうというものだ。
一見、当たり前のように思えるが、ところが実態はとんでもないことになっている。誰もが想像がつくと思うが、車などを販売するメーカーは価格競争で少しでも安く輸出先に売り込もうとするから、部品などの仕入れ先である下請けの中小・零細企業に対して、徹底的にコスト削減などを求めるのだ。
そうすると、下請け企業は弱い立場にあるから、時には利益を度外視して、消費税分についても“自腹を切る”ことがしょっちゅうあるというのだ。本来は発注企業が消費税5%分を払うのだが、実態は下請け企業が被っているケースが極めて多いという。
それが事実なら、輸出大企業であるメーカーなどは、自分が実際には払っていない消費税5%分を後で国からもらえるので、大儲けになるという仕組みなのだ。
こういう実態があると知って私は驚いた。それなら、消費税が上がれば上がるほど、輸出大企業は“悪どく”儲けることができる。税率5%が10%になれば、単純計算で2倍の“不労所得”になるというわけだ。困るのは下請けの中小・零細企業である。いざ税金を納めようとする時、思ってもみないほど徴収される形になる。
これは、中小・零細企業の事業主も認識不足の点がある。発注大企業の言いなりになっているからそうなるのだ。ところが、下請け企業は極めて弱い立場にあるので、仕入れの段階などで大企業に強いことが言えないのが実態である。
この結果、年度末になると思わぬ赤字に直面して、中小・零細企業の事業者は“真っ青”になってしまうのだ。斎藤さんの本によれば、こうして経営に行き詰まり、自殺する事業者が後を絶たないという。
それで分かった! 日本経団連が消費税を段階的に17%へ引き上げよと言うのは、将来の社会保障制度のためなんかより、輸出大企業が大儲けするための提言なのだ!
2009年分の消費税還付金(輸出戻し税)は、トヨタ自動車を筆頭に輸出大企業10社で、総額8014億円に上るという。(以下に、参考記事をリンク・・・http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/101115-01/101115.html)
笑い話にもならないが、リンク先の記事にもあるように、還付金が多過ぎて消費税収入が“赤字”の税務署は、トヨタ本社のある愛知・豊田税務署、日産自動車の本社がある神奈川・神奈川税務署、マツダの本社がある広島・海田税務署、本田技研工業の本社がある東京・麻布税務署、パナソニックの本社がある大阪・門真税務署などとなっている。
要するに、消費税のお陰で、輸出大企業はウハウハの大儲けになっているのだ。消費税をどんどん上げろと言うのもよく分かる。しかし、それによって生活が苦しくなるのはわれわれ消費者であり、さらにそれ以上に、下請け企業の事業者たちが窮乏してくるのだ。
消費税が10%に引き上げられれば、中小・零細企業の自殺者がさらに増えるだろう。また、自営業が倒産すれば失業率はもっと上がる。詳しいことは斎藤氏の『消費税のカラクリ』を読んでもらえれば分かるが、これほど“弱肉強食”の税制は他にない。
ある専門家が消費税を「悪魔のような税だ」と言ったという。これは誰からも必ず取り立てることができ、法人税と違って、赤字企業からも必ず取ることができるからだ。消費税が引き上げられれば、赤字に苦しんでいる自営業者が滞納額だけ増えて、自殺するケースがさらに増えるだろう。また、そうした中小・零細企業に勤めている人たちは間違いなく失業する。 以上、消費税の“負”の部分を述べた。
ただ、小生にとっては、民主党がマニフェストになかった事をやったことに、最もショックを受けましたね。大変なショックでした。
あれから民主党政権に愛想が尽きました。
税の問題は消費者対事業者など、立場によってずいぶん違いますね。本来、益税も戻し税も問題だと思います。
もともとは消費税など無いのが一番ですが、そうはいきません。だから消費増税をするなら、ヨーロッパのように「インボイス方式」を徹底させて、事業者からの税の“とりっぱぐれ”を無くすとかいろいろ考えるべきです。
税の問題は非常に重要です。民主党政権はまさに消費税の問題で崩壊し、自民党政権が復活しました。外交や防衛など他の問題もありますが、マニフェストを裏切り消費増税を実施したことが、民主党政権崩壊の最大の要因だと思っています。
それほど、税の問題は重要です。国家の基本です。
私もまだまだ勉強不足ですので、これから税の問題を徹底的に学んでいくつもりです。
消費税は消費者と事業者では、立場がまったく違いますね。これに景気など経済問題が絡んできます。ますます大きな政治問題になっていくでしょう。自民党も公明党も必死ですから。
とにかくご指摘ありがとうございました。大いに勉強していくつもりです。