戦後まもなく、最もよく歌われた曲が『異国の丘』だろう。昭和23年(1948年)にNHKの「のど自慢」でシベリアからの復員兵が歌ってから知れ渡ったが、はじめは誰が作詞・作曲したのか分からなかった。
やがて、シベリアから帰還した吉田正が自身が作曲したと名乗り出た。作詞者も分かって多くの歌手が歌うようになり、同名の映画『異国の丘』も作られて国民的な曲になったのである。
シベリアやモンゴル、北朝鮮などに抑留された日本人は約65万人、いや一説には107万人とも言われ、劣悪な環境のもと、強制労働に従事させられて“望郷の念”を深めていたのだ。この曲を聴く時、その気持ちが痛切に伝わってくる。
異国の丘