ローマ法王の来日
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1 西日本 法王来日記念企画展続々と 長崎市の博物館や資料館New
長崎 6:00
日本のキリシタン弾圧や核問題に関心が高いローマ法王フランシスコが24日に長崎市を訪れるのを前に、市内の博物館や資料館は禁教や被爆の歴史、法王を紹介する企画展を開いている。...
ローマ法王のプロフィル
13億人の信者を擁するローマ・カトリック教会のトップ、法王フランシスコ(82)が24日、初めて長崎の爆心地に立つ。ローマ法王の来日は先々代以来、38年ぶり。現法王のこれまでの歩みや思考から、長崎を訪れる意味と影響を考える。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(下)発信力 メッセージ拡散で世論喚起
◇ ◇
上空500メートルで原子爆弾がさく裂した瞬間、7万人余の命が失われた。その直下、黒い石柱が天を指す長崎原爆の爆心地で、法王が核廃絶を唱える。
長崎への原爆投下から70年後の2015年8月9日。イタリア・ローマにあるバチカン市国のサンピエトロ広場は日曜の祈りをささげる信者であふれた。窓から姿を現したフランシスコはヒロシマとナガサキを口にして、続けた。「この悲劇的な出来事は、長い歳月を経てもなお、恐怖と嫌悪感をかき立てる」
歴代法王も核に言い及んできた。「地球全体で大惨事が引き起こされるかもしれない」(1943年、ピウス12世)、「核戦争に勝者などなく、すべての人が犠牲となる」(2006年、ベネディクト16世)。
17年、核兵器禁止条約の国連採択を受け、バチカンはすぐに条約を批准。地球上の核弾頭はピークだった1986年の2割に減ったが、なお1万3880発(今年6月現在)が存在する。
◇
フランシスコことホルヘ・ベルゴリオ氏はアルゼンチンに生まれた。中南米は域内での核の生産や保有を条約で禁じた初の非核兵器地帯。だが経済力が乏しい母国では軍事政権が台頭、民主化を求める国民への拷問や殺害が相次いだ。
所属する男子修道会「イエズス会」の神父らも反体制と目され犠牲になった。会の日本管区長デ・ルカ・レンゾ氏(56)は「法王は、軍事政権下で身近な平和の尊さを思い知らされた」と指摘する。
当時、フランシスコは会のトップ、ペドロ・アルペ神父に助言を求め何度もローマに足を運んだ。戦時下の広島で布教活動中に被爆しながらも負傷者を救護したアルペ氏の薫陶を受けたことが、今の揺るぎない姿勢を生んだのだろう。
法王就任後は積極外交に乗り出す。2015年にはキューバと米国の国交回復を支え、今年2月にはアラビア半島で初めてミサを行った。「複数の宗教が共存する中東で、対話、出会い、和解の機運が高まりますように」。今月5日、自身の公式ツイッターに、そう祈る動画を配信した。
アルゼンチンの神学校でフランシスコに学んだホアン・アイダル上智大教授(54)は「小さい(弱い立場の)人から学びなさい」と繰り返し教わったという。いかなる相違も恐れず、あらゆる人々に会うことを実践してきた法王。全ての被爆者の思いを携え、長崎の爆心地に立つことは必然でもある。
2 西日本 ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)思考 違い超え、...New
長崎社会 6:00
13億人の信者を擁するローマ・カトリック教会のトップ、法王フランシスコ(82)が24日、初めて
幼い弟の亡きがらを背負い、直立不動で火葬の順を待つ少年を捉えた「焼き場に立つ少年」。被爆間もない長崎での撮影とされ、悲しみをこらえる少年の姿が多くの人の心を揺さぶる。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)思考 違い超え、身近な平和求め
2017年末、この写真を広めるようローマ法王フランシスコ(82)が出した指示は教会を通じて広がった。日本国内では「戦争がもたらすもの」との法王のメッセージとサインを添えたカードが配られた。
被爆地の「外側」からの発信は、被爆者や信者ではない市民にも心を重ねさせる。去年も今年も8月9日の原爆の日が近づくと、インターネットには写真の投稿に「これを忘れたくない」「二度と起こしてはならない」と添える書き込みが相次いだ。法王のメッセージが“拡散”した結果だ。
実は、フランシスコはソーシャルメディアの使い手の顔も持つ。九つの言語で発する公式ツイッターのフォロワーは4900万人超。インスタグラムには信者の頭に触れて祝福し、ほほ笑みをたたえて手を握る姿が写る。親しみやすさが人気を支える。
核廃絶の署名を国連欧州本部に届ける高校生平和大使の内山洸士郎さん(16)=長崎市=は、インスタグラムで「ローマ法王」と検索した人を、署名を呼び掛ける動画に誘導できるようにした。今年6月には活動を知ってもらうためバチカンで謁見(えっけん)し、「悲惨な過去を忘れないで」と声を掛けられた。法王とつながっている、と実感する。
欧州での反核の高まりを背景に、38年前に来日した先々代のヨハネ・パウロ2世は広島で「戦争は人間のしわざ」と述べた。戦争の責任を国家や政治ではなく、人間の内にあると突き付けた言葉は共感を呼び、体験を語ることをためらっていた広島、長崎のカトリックの被爆者の心を開いた。
核兵器を巡る立場では法王の対岸にいるトランプ米大統領はツイッターで、核の脅威をちらつかせる北朝鮮を名指しし「私の核のボタンは、はるかに大きくて強力だ」と刺激的な言葉をつぶやく。フォロワー6600万人は法王を上回る。
核兵器を「是」とする超大国のトップに対抗するすべはあるのか。今回、爆心地に立つ法王の隣には「焼き場に立つ少年」のパネルが配される。撮影した米従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏の遺族も並ぶ場で、法王は核廃絶を訴える。法王のメッセージがより効果的に伝わることを狙った“演出”ともいえる。
長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の鈴木達治郎副センター長は、報道やソーシャルメディアを通じて、長崎の爆心地から世界の数億、数十億の人々に広がるであろう法王の姿に期待する。「きっと、核廃絶に向けた大きな力になる」
(野村大輔と華山哲幸が担当しました)
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長崎社会 6:00
幼い弟の亡きがらを背負い、直立不動で火葬の順を待つ少年を捉えた「焼き場に立つ少年」。被爆間
日本のキリシタン弾圧や核問題に関心が高いローマ法王フランシスコが24日に長崎市を訪れるのを前に、市内の博物館や資料館は禁教や被爆の歴史、法王を紹介する企画展を開いている。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)
江戸時代、約250年に及ぶ禁教政策に耐え、人々は信仰を守り抜いた。長崎歴史文化博物館「日本の聖母マリア像展」は、絵画やメダルに表現され、信仰の支えとなった聖母像に光を当てる。目玉は長崎奉行所が没収した品々。その一つ「聖母像(親指のマリア)」は、18世紀に屋久島に上陸して幕府に捕まったイタリア人宣教師シドッチの持ち物で、青い衣の聖母が悲哀の表情を浮かべる。
法王は、米軍の元従軍カメラマンが被爆後の長崎で撮影したとされる写真「焼き場に立つ少年」に関心を寄せる。長崎原爆資料館「ローマ法王からの平和のメッセージ」展では、原爆で壊された旧浦上天主堂など、このカメラマンの写真を中心に、原爆被害が大きかった浦上の歴史をたどる。
大浦天主堂キリシタン博物館は今月、常設展の一部を刷新。38年前に法王ヨハネ・パウロ2世が長崎を訪れた際の夕食会で使われた食器や、フランシスコの紋章入りの十字架などを並べた。禁教下の17世紀に島原の信徒が当時の法王パウルス5世に送った書状の写真を展示、日本と法王との古くからの関係も紹介する。
一方、浦上キリシタン資料館の「二人の教皇展」では、同市のアマチュア写真家の小川忠義さん(75)が撮影したヨハネ・パウロ2世の写真を展示する。法王が西坂の殉教地で市民に囲まれ、当時の歓迎ぶりを伝える。小川さんは「法王フランシスコの来日の様子も記録に残す」と話し、今年の写真も追加展示する考えだ。(野村大輔)
◇ ◇
展覧会の開催概要
◆長崎歴史文化博物館(立山1丁目)の「日本の聖母マリア像展」は12月7日まで。無料。電話095(818)8366。
◆長崎原爆資料館(平野町)の「ローマ法王からの平和のメッセージ」は3月まで。無料。長崎市被爆継承課095(844)3913。
◆大浦天主堂キリシタン博物館(南山手町)の入館は天主堂拝観料(大人1000円など)が必要。電話095(801)0707。
◆浦上キリシタン資料館(平和町)の「二人の教皇展」は来年1月中旬まで。無料。電話095(807)5646。
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長崎 6:00
日本のキリシタン弾圧や核問題に関心が高いローマ法王フランシスコが24日に長崎市を訪れるのを前に、市内の博物館や資料館は禁教や被爆の歴史、法王を紹介する企画展を開いている。...
ローマ法王のプロフィル
13億人の信者を擁するローマ・カトリック教会のトップ、法王フランシスコ(82)が24日、初めて長崎の爆心地に立つ。ローマ法王の来日は先々代以来、38年ぶり。現法王のこれまでの歩みや思考から、長崎を訪れる意味と影響を考える。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(下)発信力 メッセージ拡散で世論喚起
◇ ◇
上空500メートルで原子爆弾がさく裂した瞬間、7万人余の命が失われた。その直下、黒い石柱が天を指す長崎原爆の爆心地で、法王が核廃絶を唱える。
長崎への原爆投下から70年後の2015年8月9日。イタリア・ローマにあるバチカン市国のサンピエトロ広場は日曜の祈りをささげる信者であふれた。窓から姿を現したフランシスコはヒロシマとナガサキを口にして、続けた。「この悲劇的な出来事は、長い歳月を経てもなお、恐怖と嫌悪感をかき立てる」
歴代法王も核に言い及んできた。「地球全体で大惨事が引き起こされるかもしれない」(1943年、ピウス12世)、「核戦争に勝者などなく、すべての人が犠牲となる」(2006年、ベネディクト16世)。
17年、核兵器禁止条約の国連採択を受け、バチカンはすぐに条約を批准。地球上の核弾頭はピークだった1986年の2割に減ったが、なお1万3880発(今年6月現在)が存在する。
◇
フランシスコことホルヘ・ベルゴリオ氏はアルゼンチンに生まれた。中南米は域内での核の生産や保有を条約で禁じた初の非核兵器地帯。だが経済力が乏しい母国では軍事政権が台頭、民主化を求める国民への拷問や殺害が相次いだ。
所属する男子修道会「イエズス会」の神父らも反体制と目され犠牲になった。会の日本管区長デ・ルカ・レンゾ氏(56)は「法王は、軍事政権下で身近な平和の尊さを思い知らされた」と指摘する。
当時、フランシスコは会のトップ、ペドロ・アルペ神父に助言を求め何度もローマに足を運んだ。戦時下の広島で布教活動中に被爆しながらも負傷者を救護したアルペ氏の薫陶を受けたことが、今の揺るぎない姿勢を生んだのだろう。
法王就任後は積極外交に乗り出す。2015年にはキューバと米国の国交回復を支え、今年2月にはアラビア半島で初めてミサを行った。「複数の宗教が共存する中東で、対話、出会い、和解の機運が高まりますように」。今月5日、自身の公式ツイッターに、そう祈る動画を配信した。
アルゼンチンの神学校でフランシスコに学んだホアン・アイダル上智大教授(54)は「小さい(弱い立場の)人から学びなさい」と繰り返し教わったという。いかなる相違も恐れず、あらゆる人々に会うことを実践してきた法王。全ての被爆者の思いを携え、長崎の爆心地に立つことは必然でもある。
2 西日本 ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)思考 違い超え、...New
長崎社会 6:00
13億人の信者を擁するローマ・カトリック教会のトップ、法王フランシスコ(82)が24日、初めて
幼い弟の亡きがらを背負い、直立不動で火葬の順を待つ少年を捉えた「焼き場に立つ少年」。被爆間もない長崎での撮影とされ、悲しみをこらえる少年の姿が多くの人の心を揺さぶる。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)思考 違い超え、身近な平和求め
2017年末、この写真を広めるようローマ法王フランシスコ(82)が出した指示は教会を通じて広がった。日本国内では「戦争がもたらすもの」との法王のメッセージとサインを添えたカードが配られた。
被爆地の「外側」からの発信は、被爆者や信者ではない市民にも心を重ねさせる。去年も今年も8月9日の原爆の日が近づくと、インターネットには写真の投稿に「これを忘れたくない」「二度と起こしてはならない」と添える書き込みが相次いだ。法王のメッセージが“拡散”した結果だ。
実は、フランシスコはソーシャルメディアの使い手の顔も持つ。九つの言語で発する公式ツイッターのフォロワーは4900万人超。インスタグラムには信者の頭に触れて祝福し、ほほ笑みをたたえて手を握る姿が写る。親しみやすさが人気を支える。
核廃絶の署名を国連欧州本部に届ける高校生平和大使の内山洸士郎さん(16)=長崎市=は、インスタグラムで「ローマ法王」と検索した人を、署名を呼び掛ける動画に誘導できるようにした。今年6月には活動を知ってもらうためバチカンで謁見(えっけん)し、「悲惨な過去を忘れないで」と声を掛けられた。法王とつながっている、と実感する。
欧州での反核の高まりを背景に、38年前に来日した先々代のヨハネ・パウロ2世は広島で「戦争は人間のしわざ」と述べた。戦争の責任を国家や政治ではなく、人間の内にあると突き付けた言葉は共感を呼び、体験を語ることをためらっていた広島、長崎のカトリックの被爆者の心を開いた。
核兵器を巡る立場では法王の対岸にいるトランプ米大統領はツイッターで、核の脅威をちらつかせる北朝鮮を名指しし「私の核のボタンは、はるかに大きくて強力だ」と刺激的な言葉をつぶやく。フォロワー6600万人は法王を上回る。
核兵器を「是」とする超大国のトップに対抗するすべはあるのか。今回、爆心地に立つ法王の隣には「焼き場に立つ少年」のパネルが配される。撮影した米従軍カメラマン、ジョー・オダネル氏の遺族も並ぶ場で、法王は核廃絶を訴える。法王のメッセージがより効果的に伝わることを狙った“演出”ともいえる。
長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の鈴木達治郎副センター長は、報道やソーシャルメディアを通じて、長崎の爆心地から世界の数億、数十億の人々に広がるであろう法王の姿に期待する。「きっと、核廃絶に向けた大きな力になる」
(野村大輔と華山哲幸が担当しました)
3 西日本 ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(下)発信力 メッセー...New
長崎社会 6:00
幼い弟の亡きがらを背負い、直立不動で火葬の順を待つ少年を捉えた「焼き場に立つ少年」。被爆間
日本のキリシタン弾圧や核問題に関心が高いローマ法王フランシスコが24日に長崎市を訪れるのを前に、市内の博物館や資料館は禁教や被爆の歴史、法王を紹介する企画展を開いている。
【関連】ローマ法王爆心地へ 38年ぶり来日を前に(上)
江戸時代、約250年に及ぶ禁教政策に耐え、人々は信仰を守り抜いた。長崎歴史文化博物館「日本の聖母マリア像展」は、絵画やメダルに表現され、信仰の支えとなった聖母像に光を当てる。目玉は長崎奉行所が没収した品々。その一つ「聖母像(親指のマリア)」は、18世紀に屋久島に上陸して幕府に捕まったイタリア人宣教師シドッチの持ち物で、青い衣の聖母が悲哀の表情を浮かべる。
法王は、米軍の元従軍カメラマンが被爆後の長崎で撮影したとされる写真「焼き場に立つ少年」に関心を寄せる。長崎原爆資料館「ローマ法王からの平和のメッセージ」展では、原爆で壊された旧浦上天主堂など、このカメラマンの写真を中心に、原爆被害が大きかった浦上の歴史をたどる。
大浦天主堂キリシタン博物館は今月、常設展の一部を刷新。38年前に法王ヨハネ・パウロ2世が長崎を訪れた際の夕食会で使われた食器や、フランシスコの紋章入りの十字架などを並べた。禁教下の17世紀に島原の信徒が当時の法王パウルス5世に送った書状の写真を展示、日本と法王との古くからの関係も紹介する。
一方、浦上キリシタン資料館の「二人の教皇展」では、同市のアマチュア写真家の小川忠義さん(75)が撮影したヨハネ・パウロ2世の写真を展示する。法王が西坂の殉教地で市民に囲まれ、当時の歓迎ぶりを伝える。小川さんは「法王フランシスコの来日の様子も記録に残す」と話し、今年の写真も追加展示する考えだ。(野村大輔)
◇ ◇
展覧会の開催概要
◆長崎歴史文化博物館(立山1丁目)の「日本の聖母マリア像展」は12月7日まで。無料。電話095(818)8366。
◆長崎原爆資料館(平野町)の「ローマ法王からの平和のメッセージ」は3月まで。無料。長崎市被爆継承課095(844)3913。
◆大浦天主堂キリシタン博物館(南山手町)の入館は天主堂拝観料(大人1000円など)が必要。電話095(801)0707。
◆浦上キリシタン資料館(平和町)の「二人の教皇展」は来年1月中旬まで。無料。電話095(807)5646。