「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

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「大河内山荘」(おおこうちさんそう)

2006年07月09日 22時56分06秒 | 古都逍遥「京都篇」
 トロッコ嵐山駅からほど近い小倉山の南面一帯の広大な敷地を占める山荘は、丹下左膳役で有名な昭和初期の銀幕スター、時代劇で一世を風靡した大河内傳次郎(1898~1962)が約30年かかって築き上げた回遊式庭園である。京都での撮影の際、傳次郎はこの山荘に滞在し、瞑想にふけったり念仏を唱えるなど、時を止めた日々を過ごしていたという。庭の周囲は、嵯峨野の竹林に囲まれ、皐月の植え込みのある瓦を敷き詰めたゆるやかな斜面を登っていくと、嵐山を背景に、最奥に比叡山を、そして手前に向かって大文字、双ケ丘(ならびがおか)と東山36峰が横たわり、西側には嵐山・保津川峡谷が望められ山紫水明の風景を漂わせている。

 小倉山の山裾の起伏を利用し、2万㎡の敷地を活かした回遊式の大庭園は広瀬利兵衛の作庭で、桜や楓、松、皐月などを植え込み四季の移ろいを借景を活かして調和させている。周辺の眺望もよく、園内の静雲亭でミニ懐石などの食事も楽しめる(要予約)。
 傳次郎が自ら設計し、数奇屋師・笛吹嘉一郎に作らせた大乗閣(能舞台がある)や、瞑想の日々を過ごした鎌倉様式の持仏堂など、数多くの遺財が残されており、中でも、寝殿造、書院造、数寄屋造を混交した大乗閣は、軒先に寺院でよく見られる宝鐸(ホウチャク)を吊り下げ、白い障子と桧皮葺の屋根が洗練された精神世界を強調している。

 入山料(2006年は1000円)にはお菓子と抹茶のサービスが含まれており、ゆったり園内を散策できる。山荘内の記念館には、大河内氏の写真が展示されており半生を偲ぶことができるほか、戦前から戦後間もなくにかけての日本映画の歴史も知ることもできる。

 所在地:京都市右京区嵯峨小倉山田渕町8。
 交通:市バス28・11・特69・93番で「野々宮」下車、徒歩5分。阪急嵐山線「嵐山」下車、徒歩25分。
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