「染み入れ、我が涙、巌にーなみだ石の伝説」第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所第4回人々の悲しみの涙を集めた涙岩が、粉粉になる。その涙岩のかけら、「なみだ石」が、緑色、瑠璃色の光を放ちながら、漆黒の闇の中へ、消えていくはずなのだ。今日がその日だ。「君も芝居がうまいね、日待クン。いや本当の名前は何というのかな」ふっと滝は鼻で笑いながらいう。しみじみと、僕を馬鹿にしている。でも僕は理解でき . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第21回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 ◎「これは、これは有り難きご教示、有り難うございました。もう夜も白んで参りました」鎌倉の酉が鬨の声を告げていた。頼朝と西行二人は一晩中語り合ったのであった。 西行はわれにかえっている。まだ鎌倉にいて、頼朝の前なのだ。「西行殿、この鎌倉にお止まりいただけぬか」唐突な頼朝の提案であった。「いや、無論、平泉から帰られた後でよいのです」 . . . 本文を読む