源義経黄金伝説■第35回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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競技場は、頼朝、西行の2人流鏑馬対戦のため準備が
はじめられている。
観客の叫び、興奮は、もはや尋常ではない。
伝説ともなるべき試合が、今繰り広げられようとして
いるのだ。
夫々が、1町離れて、対面にたち、馬上から狩俣の矢を
つがえて突進する。
木製弓は、強靱だが弾力がない。弓がしならないために
、深く引き絞る事ができない。そして飛距離がでない。
お互い馬上であらえば、なおさら引きしばれない。
相手の至近距離で構える理由はこれである。
流鏑馬は、左横の的を射る。弓は左手に持ち、左横の目
標を撃つ。的が正面にあるうちにねらいをさだめ、流鏑
馬では走路さぐりから、わずか3尺5寸(約100
センチメートルで)で鏃がふれんがばかりに射る。
矢でねらうは、「最中」つまり体の腹部である。
頼朝にとって、西行は、京都王朝のシンボルだった。板
東王国をつくるべき今、自分、頼朝に将軍位を渡さないの
も、いわば、ご家人衆からもれば、京都におわす後白河
法皇の考えであるとし、西行の行動の後ろに、後白河法
皇が見え隠れする。
西行が、この不穏なる時期に、奥州平泉に行ったのは、
京都王朝と奥州平泉の協同作戦の話に相違あるまい。
そしてその作戦中心人物は、義経に相違あるまい
。西行の後ろに義経の陰を見るのだ、西行は義経にとっ
て、いわば育ての親代わり。
西行は、この板東の最初の独立国、平将門の王国の夢破
りし藤原秀郷の子孫、それゆえ、京都王朝の意志を感じ
るのだ、
ともかくも、西行は、これから頼朝が打ち倒すべき敵の
象徴であった。
いくら年齢の差があろうと、負けるわけにはいかぬ。
まだ、完全に、頼朝は板東地方を把握している訳ではな
い。平家という宿敵が南海に沈んだとしても、鎌倉が堅
固なる国家にはなっていない。
武家の象徴であるべき頼朝は、ここで、京都王国と武
家の象徴である、西行を、後家人衆前で、倒す意味がある。
逆に対手である西行は、考えている。
さてはて、十蔵どの、ご準備の方はよろしいかな。
山並みのいずかにいるはずの十蔵に、願いを送っている。
西行の動きは、天下静謐が、目的なのだ。
そして、あの
麗しき方への、人生をかけた約束をはらさねばならない。
崇徳上皇様との約束も、また、日本を敷島道でもって霊的に保護する企
てもなしてはいない。まだまだ、人生においての宿願が
、西行の胸にはあるのだ。
義経が、この鎌倉を打ち破る可能性もあるのだ
。この砂金が、重源に届き、京都後白河法皇が手助けの
方策をとるならば、、、
この源頼朝ひきいる板東王国も盤石ではない。
続く2010改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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