新人類戦記 第三章 聖域 第6回 改訂
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
「ビサゴス共和国の殺戮者」と呼ばれた
ミラーの体は、ミラージュ戦闘機の機体と共にパラパ
ラに吹き飛んでいた。
つかのまの出来事だった。ベテランパイロットのミラーにも何が
起こったのかわからなかっただろう。
トランザール輸送機は何事もかつたよう
にゆうゆうと西へ向かい飛び続けていた。
前方にアコンカグア山がそびえ立っているのが
見える。
ミラーのミラージュ戦闘機を精神波で撃破したの
は、デューク島井である。
トランザール輸送機は西側の友好国ガニタのラゴ
ス空港から飛んできたものだった。空挺軍装
備をしだカイザー部隊がのりこんでいた。
ポートモレスビーにいるCIAのエージェント
卜、アランが待ちわびていたアメリカの超能力部隊である。
隊長のデューク島井は、すでに竜とジウが
アコンカグア山に向かつているという報告を
受けていた。
またそこがビサゴス共和国ゴ戈のどんな部
族を行くの・をいヤがる魔境だと聞いていた・
島井は部下のカイザー部隊に。パラシュート
降下を命令した。
彼自身はテレポート能力があり、又他にも
テレポート能力を持つ隊員がいる。しかし島 一
井はそれを許さなかった。
カイザー部隊は超能力はもちろん、肉体的にも秀れていなけれ
ばたらなかった。
パラシュートが花のように開き、落下して
いった、あたりは一面の緑であった。
アメリカの新生超能力戦士カイザー部隊の誰もが、そこが地獄になることを知ら
がかった。予知能力を持つ者にもそれは不可能だった。
■イアテ族自体が恐るべき超能力種族である事を誰も気
づいていなかった。
アコンカグア山が一瞬間光ったようにカイ
ザな部隊の誰もが思った。
今の今まで彼らを載せていたトランザール
機がそれに同調して光り、機体が消滅した。
「いかん。攻撃だ」
島井は隊員たちにパラシュート降下をやめ、可能な場所にテレポート
卜するようにテレパシーで命令を下した。
一瞬、テレポートが遅れた者は飛行機同じ様に燃え
体が消滅した。
■香月茂はほこりっぽい英領南西アフリカ、ポートモレスビーの
空港に降り立った。
香月茂もビサゴス人ニエレレと同じ様に三日前にパリ
にいた。ヨーリッパ諸国の石油戦略の裏づけ調査を
おこなっていた。シテ島の小さなホテルにとまっ
ていた香月は、日本の山梨の翁から急な電話を受け
ていた。
至急にポートモレスビーに飛び、先行している桜木を
助けろという指令だった。
山梨の翁翁の命令は絶対だ。移動命令は
重要なものに違いない。翁にポートモレスビー
で桜木に連絡をとれといわれた。
恐らく日本政府エージェントのダミー会社、東洋商事の仕事
だろう。空港からホテル・ジャネイロに向かうタクシなの中で香
月は考え込んでいた。
ホテル・ジャネイロは、ポートモレスビーの市街中
心部にある建物だが、建物上部の一部分が黒
ずんでいるのが異様だ。警察車両も止まっている。
ホテル・フロン卜で桜木に会いたい旨を告げる。
「お気の毒ですが、香月さん。桜木さんにお
会いになる事はできません」
イギリス人のホテル・マネ-ジャが奥からでてきて
答えた。
「どういう事だ」
「昨晩の事です。ホテル・七階全部が爆弾で吹き飛ば
されたのです。警察の発表では隣のビサゴス共和国
解放戦線のしわざと、、、」 一
「七階フロア全部が吹きとばされただと」
「そうです。お友達桜木さんの遺体は現在、モレスビーの警察に保管されています」
敵のしわざだ。香月は思った。
仕事の交替で帰ろうとしていた電話オペレ
ターのスンダ嬢が日本人の訪問客
を見ていた。彼女はその足でリフの所へ電話
をかけた。
■これからは一層用心が必要だ。それも内と外にだ。
フランス人のルイ・トルワイユ。
裏の世界で長年生が続けてきたトルワイユはそう思った。
イデア号はジョバ川を突き進んでいた。も
うすぐ英領南西アフリカ、ポートモレスビー
とビサゴス共和国との国境線に近ずく。
無電でCIAのエージェント.アランがこ
のイデア号の乗組員の中に日本情報部の息が
かかった者がいると伝えてきた。
船員は、ヌノ、ラり、ファイ、マルコ、チャ・ウ、ヌ
、=ツセモれからトルワイユ。乗各は陳と秀麗。
それがイデア号に乗り込んでいるすべ
ての人間だった。
トルワイユは日本がやとった工作員はどう
でてくるだろうかと思う。
トルワイユはCIAのアランから彼ら、つ
まり現在は陳と秀麗と名のっている東郷竜と
ジウを無事にビサゴス共和国奥地におる秘境の魔山
アコンカグア山に送り届けろと厳命されてい
る。
CIAとしては今までのいきさつから、竜
とジウがそう簡単にかたづくとは思っていない。
デューク島井からも彼らに超能力者だという報告
がCIAにはいってきている。
船員の一人でも殺意を洽こし、ジウに近づこ
うものなら、イデア号はすぐさま死の船となるだろう。
ルイ・トルワイユとしてはイデア号の誰に
も陳と秀麗に対する殺意を洽こさせてはなら
ない。
しかし日本のエなエージェント桜井は、日本の
アクション・サービスの一員であり裏切者であ
る東郷竜こと陳を抹殺しようと測っているに
違いない。
この船に乗り込んでいる誰か、それが問題
だ。ドルワイユは腕時計を見た。すでに
夜中の12時をすぎている。
黒い影が秘かに陳と秀麗の客室に近づいてづ
い配。ドアの外で内の様子を押し測っている
ようだ。物音一つ中からは聞こえてこない。
新人類戦記 第三章 聖域 第6回
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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