石の民「君は星星の船」第16回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
「光二さんよ、我々におとなしく、ついてきてもらおうか」えらく背の高い奴ハーマンがいってい
た。
「くそっ。おまえ達は」光二の足元は、地上10mの空気なのだ。
「いわずとしれたVグループのキッズよ」
「Bグループのヘッド光二を捕まえたと、あっちゃあ、大手柄なわけさ。おっと、光二よ、
あまりあばれると、俺たちの手から、地面へ落ちるぜ。ちょうどおまえのアネキみたいに
な」にきび面のローレルがいう。
「くそう、おまえか有沙を殺したのは、」
「おいおい、人違いだぜ、俺はおまえのアネキなど、殺しちゃいない」
「じゃ、おまえか」高い奴ハーマンにいう。
「知らないぜ、光二、少なくとも、俺たちじゃないぜ」
「おい、ちょっと,だまらそうか、しめあげるか。これほど暴れられると、体をもちにくいからな」
ローレルがハーマンに同意を求めた。
「そうだな、連れて行きやすくするか」Vグループのキッズは話しあっていた。
「やめろ」
光二はさけんでいた。
ローレルは腰のベルトにはさんであった電撃銃を取り出す。光二の体に当てる。
「ぐう」光二は気絶していた。二人は光二を一度地上に降ろす。
ローレルとハーマンはホースの後ろに光二の体をしばりつけようとしていた。
その時、突然、目の前地上に一人の男が出現していた。
「だれだ、おまえは」ローレルが男にきずき、声をあげる。
「光二の味方か」ハーマンがわめく。
「Bグループのキッズじゃないな」
「それに平和チームの者でもないな」
「なんだ、こいつの格好は」
「仮装行列かい」
「ここは舞台じゃないんだ。関係のない奴はひっこんでろ」これだけ、ローレルとハーマ
ンがいっても男は無言だ
男は光二の様子を探って入る。
「ちっ、気持ちのは悪い奴だぜ。おい、速く。アジトまでかえろうぜ」
「そうだな、Bグループの邪魔がはいらないうちに」
二人は気を失っている光二をホー
スの後ろに乗せて飛び上がろうとしていた。
その時、静かにしていたその男が、目にもとまらむ早さで、Vグループのローレルとハ
ーマンの間に割り込んで、ホースの操縦管を持つ二人の手を、男は両手でおさえていた。
「何、何をしやがるんだ。てめえ」
「やはり、Bグループのキッズか、おまえは」男は何もいわない。
「そうかい、それじゃ、御相手しなきゃな」
「悪いことはいわない。私の相手になるな。私
はその光二に用があるんだ」男が初めて声をだした。男の顔の表情は、過去が尋常ではなかった
事をあらわしている。
「光二に用があるだと」Vグループの二人は顔をみあわす。
「ふふっ、残念ながら、我々もこの光二に用がある。俺達Vグループが先客だ。ものには順番がある。おっさん、そのくらいの事はわかっているだろうが」
「順番だよ、次には光二を渡してやるさ」
「ああ、もし光二が生きていればの話しだがな」二人は笑う。
「私はそんなに待つ訳にはいかん」
男の目は遠くを見るような眼だった。ローレルはこの男のマリーンブルーの眼を見て、ぞ
っとした。
「おまえはフッコウ・ドームへの来訪者だな」
「俺たちはこのフッコウ・ドームでは少しは知られた名前なんだ、Vグループといってな」
「我々にさからおうというのは、ここフッコウ・ドームの法律を破っているのと同じさ」
「残念ながら、私にも法律がある。そのわたしの法律にしたがって光二をもらっていく」
男は二人に言う。
「どうやら、このお客人は俺たちに、喧嘩をうっているようだぜ。どうするハーマン」
「それならば、歓待しないってほうはないな、ローレル」
「あとで泣いてもだめだぜ」二人は男にとびかかっていく。
石の民第16回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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