源義経黄金伝説■第40回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★
★you tube★
第4章 一一八六年 足利の荘・御矢山みさやま
■5 一一八六年文治2年 足利の荘・御矢山みさやま
足利の荘、御矢山は、1日前の御矢山祭りの喧噪がうそのようにしずまり
かえっている。
何人かの鎌倉の物見が、姿を見せずにいるようだが、
西行と十蔵は、御矢山祭に参加していたご家人衆が、領地に急いで帰るの
を、のんびりと見て、時間を過ごしていた。
すでに、西行は、伝説の人になってはいる、領地に帰る武士どもが尊敬
のまなざしでとうりすぎる、
「西行様、これからは私の出番もお作りくださせ」
「ふふ、十蔵殿、ワシははしゃぎすぎたかな」
「おひとりだけ、目立っておられましたぞ」
「困ったことに」
「何でございましょう」
「試合で体がほぐれた、今度は刀のさばきをみせたいものだ」
「いいかげんにされませ。私が重源様からおこられます」
「そうだのう、たまには、十蔵殿の見せ場もつくらなければのう」
「ふふ」
黒田悪党たちは、1つ手前の宿場で、待っている。
御矢山祭り騒動があった事は、街道を行く商人や武士の郎党たちの話から感
じていた。
「何やら、西行が鎌倉殿を相手の大立ち回りをしたようぞ。いかがか、
鳥海殿」
悪党首魁の太郎左が、そばにいる破戒僧、鳥海にたづねた。
「ふふつ、太郎左殿、お気の小さい事を。聞くには及ぶまい。たかが流鏑
馬。古式からの儀式。我らは、源平の戦を生きのびし歴戦の強者」
「そうだぞ、兄者、所詮は、京都後白河法王に気に入られし歌詠みの坊主。
まして、大江様からは何の指示もない」
「それよ、次郎左、そこが怪しいぞ」
「何を、兄じゃ、それは、約定とうり砂金を奪い取れという事であろうさ」
と次郎座が笑い飛ばした。
それを受け、他の者どもも
「ふふつ、70歳の歌詠坊主、左手一本でひねりつぶすわ」
「鎌倉殿も、我々の襲撃を見て見ぬ振りをするという約束ではなかったか」
「幸い、ここまでは、京の検非違使の手は回ってはいまい」
と、濁酒をはむ悪党は、あくまでも威勢のより集団であった
御矢山には、今、人影はない。
続く2010改訂
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
★漫画通信教育「マンガ家になる塾」★
最新の画像[もっと見る]
- 東京地下道1949第2回■アメリカ軍占領軍情報部(OSS)乾公介は窓下、東京分断壁を見ている。彼にMGB(在日占領軍ソ連保安省)のエージェントからの地図入手失敗の報告が。 3年前
- 消滅の光景 第9回地球に向かう調査船エクスの中で、情報省のチヒロや超能力少女ラミーに守られて、カド博士は、地球での行方不明者の共通因子を探ろうとするが、祖先霊が邪魔をする。 3年前
- 東京地下道1949■第1回1949年 日本は敗戦、分割占領。トウキョウ市アメリカ軍占領地区。浮浪児が、男たちの争いをみる。少年はカバンとトカレフ挙銃を手に入れ。「竜」のアジトヘ向かう。 3年前
- 源義経黄金伝説■第72回■最終回★源義経の存在が日本の統一を可能とした。 源頼朝は日本全国に守護地頭を置く。律法の世、貴族の世である日本を、革命においこんだ。 3年前
- 源義経黄金伝説■第71回京都神護寺にて 西行の宿敵、文覚は巨木に向かう。 「天下落居(てんからっきょ)」の時。師匠の彫像を、弟子の夢見、今は「明恵(みょうえ)」は微笑んで眺めている。 3年前
- 「支配者たち」短編(ハーモナイザーBIGIN)世界樹ハーモナイザーが支配する宇宙、2人の宇宙飛行士の物語。 3年前
- 源義経黄金伝説■第70回鎌倉、大江広元の前に静の母親、磯禅師が現れて、秘密を打ちあける。その秘密とは、源義経の遺児は。 3年前
- 封印惑星)第12回■最終回 地球意志は大球(地球)と結ぶ小球(月)に、星の武器を集め自爆にアーヘブンを 巻きこむ。アーヘブンは新地球の創造をユニコーン、北の詩人、ゴーストトレインが実体化。 3年前
- 封印惑星)第11回アーヘブンは、「天宮」と対峙。「天宮」は、ハーモナイザーと同化を拒み、地球・思想本図書館とイメージコーダーの合成体が 破壊された。地球思想書が、粉々に吹き飛ぶ。 3年前
- 源義経黄金伝説■第69回鬼一方眼との死闘のため、頭や顔は朱に染まり、足取りもおぼつかぬ文覚は、大江広元屋敷の元を訪れている。 3年前