新人類戦記 第三章 聖域 第21回
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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(アメリカとソビエトの冷戦時代の話です)
■ビサゴス共和国 アコンカグワ山 古代洞窟
アコソ=アコンカグワ山の神般の中で、彼デュ-ク島井は目ざめた。あたりを見渡十。石造りの荘厳な神殿である。
通路と思われる所を中心へ進んでいく。他に誰の姿もない。
透明なチューブが中央の祭壇上に設けられている。そのメタリックな惑じはまわりの押
殼の雰囲気にそぐわない。そのチューブの中には一人の男が眠っていた。
デュ-ク島井がそれに近づくと、それは口を開けた。ふたを開け、起き上がり、ゆっくりと蒔井の前に立った。身長は三m以上あるだろう。デュ-ク島井は思わず後ずさりした。
デュ-ク島井の前で、その巨人はしゃべり始めた。その声は人間のものではなく、何か人工的に
作られたような気がした。
『デュ-ク島井よ、我が同咆よ。汚れた旧人顛を或ぽせ。地球上から人類を抹殺せよ。我々、超人
類の理想郷をこの地球に現出させるのだ』
「何をいっているのだ」
デュ-ク島井は、この神殿の柱を念動力で劫かし、この巨人を打ち倒そうとした。が柱は勁かない。
「お前は何者だ」
『お前たち、超人碩の指導者だ。デュ-ク島井よ。私の言葉に耳をかたむけよ』
「わかったぞ。竜や、ジウかこのアコンカグワヘ向かったのはお前が呼び寄せたからだ
な。超人類だと、人類を滅ぼせだと、笑わせるな」
デュ-ク島井の前で、突然巨人の体が発光する。
デュ-ク島井は思わず目をつぶり、ひざをついた。島井の頭の中を電流が走り抜けたようだった。
苦痛のあまり、島井は神殴の石畳の上をころがった。太平洋戦後の戦争孤児時代や、ブラックウッド博士の超能力研究所の時代、CIAエージェントの時代、すべ手の時代が蘇って、そして消えていった。
やがて、痛みはやわらぎ、嵐が去ったようだった。
数分後、デュ-ク島井は立ち上がった。そして巨人に向かい言った。
「わかりました。浄化します。この世界を我々の支配におくために協力を誓います」デュ-ク島井は別人のように見えた。
■アコンカグワ山 上空
アコンカグワ山上空でソ連KGBシュチェフキン大尉はコイン機に気がついた。
「ついてこいルン、あのコイン機を攻撃するんだ」
アメリカのコイン機とフォーシャー戦闘機。勝敗は明らかであった。
シュチェフキン大尉はミサイルのスイッチをいれた。ミサイルはコイン磯を目ざす。
■アコンカグワ山 上空
瞬卵、アコンカグワ山が光った。同時に、ベトナム人
ルンの頭の中に強力な電流が走ったように感じられた。シュチェフキンのミサイルは消減していた。竜を始め、四人の新人類の力が合わせられていた。
「ルン、何をしている。お前の力を発揮しろ」
ルンのイソカムにシュチェフキン大尉の罵声が聞こえる。
しかし、峙遅く。すでにルンは新人類の意識を持っていた。ルンはシュチェフキソの機体
に向かい機銃のトリッガーを引きしばった。
「うわっ、何をするんだ。ルン、裏切ったな シュチェフキン機はかろうじて、被弾をさけ
た。
■ビサゴス共和国 首都ボグラ
ボグラ近くに移灼していた元PLOコマンド、ダレルはシュチェフキンの危機に気
づく。
彼は近くを移動中のPT戦車に乗り込む、乗員を皆、追い出す。自分自身のテレポート
能力は使えないが、部隊硫黄は可能なのだ。
彼は偵祭戦車を浮遊させ、アコンカグワ山ヘ向かった。
■ビサゴス共和国 アコンカグワ山 古代洞窟
ルンとシュチェフキンの機体がドッグファイトを行なっている。がシュチェフキンの機体が
急にエンジン不澗をおこし、落下し治めた。念助力である。コイン機の竜達の能力が助けたのだ。
ダレルにはシュチェフキンが落下するのが透視できた。
シュチェフキンは次の瞬間、ダレルのあやつる戦車の中にいた。
「PT戦車にようこそ、シュチェフキン中尉」
「ふざけている場合ではな。いぞ、ダレル、あいつらを何とかしろ」
アコンカグワ山がまた発光した。
が先刻のルンのようにダレルは変貌しなかった。
「ふん、アコンカグワ山か」
その後発した言葉はシュチェフキソには理屏できない言葉だった。
上天気だった空か、急速に糖ってきた。この地域で雲が発生ずるのは異状だった。突如
稲光りがした。その雷がダレルのPT戦車を包み込んだ。次の瞬間、その伐ぶは空中から
消えていた。
「どうしたんだ。ダレルは。我々の仲問新人類ではなかったのか」竜は思わず叫んでいた。
「一体どういう事だろう」
彼らの磯の前にうすぼんやりと新人類の指導者の姿か現われた。
「同胞よ!よく私の所まで辿り着いた、そこから見える我々の神毀へ着陸したまえ。そこですベー
てを話そう」新人類の指導者の巨人の姿は消えた。
竜のブロソコ機体と、ルンのフォーシャー機体は神殿前へ着痩した。
超能力部族イデア族の大々がひれふしていた。イデア族の族長工ビネがへ進み出た。
「私達はあなた方を数世紀に渡ってお待ちしていたのです。どうぞ神殷の方へお入り下さい」
ルン、竜、ジウ、陳そして秀麗が、神殿の中へ大っていく。
そこに三mを越す巨人がいた。その頑はまぎれもなく何度も彼らの前に出現した指導者
の顔であった。
その時、祭壇の滴から、男が現われた。デユーク=島井であった。
竜とジウは身纏え、殺人衝撃波を送ろうとする。が、巨人が言った。
「やめなさい。彼デユーク=島井も今は我々、新人類の同胞なのだ」
『聴け』その巨人の声は直接ヽ心にうったえかけていた。
『超古代、私はこの星に辿り着いた。私とはアコンカグワ山、そう山そのものなのだ。山
体が私であり、この声は私か支配するこの人の体を借りて出しているのだ。
私はこの地球ぶ球と呼れる星の上に新しい生命を誕生させた。
その生吻はこの巨人の体のコピーである。
私には最初から新生物を創造するという力はなかった。この巨人は私か途中の宇宙空
間で出会った生物達の中で設も効率的な形態のものであった。
私が作った生命怖はまたたく間に、全地球拡がり、地球の支記者となった。
そして、何世紀かたって、私は、私の作りているのに気がついた。
それゆえ、私は現在の人類より、進化した人、新人類を作りあげる事にした。それが、すなわち、お前達なのだ。
お前達は逍ばれた者なのだ。
残念ながら、超能力者イコール新人類ではない。お前達の力で旧人頑を地球上から抹殺し、新人類。の星とせよ。そして備えるのだ。
大宇宙の邪悪が、この星を包み込む、我が星を。その現象は起っている。その力を私は感じる。
その第一波がダレルだ。先刻、彼に異質なものを感じただろう。
急げ、急ぐんだ。新人顛達よ、我が希望の使徒たちよ 同胞よ』
新人類戦記 第三章 聖域 第20回
作 (1980年作品)飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
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