私の中の彼へー青き騎士ー第13回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
Manga Agency山田企画事務所
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アイスパレスは、連邦軍を、まねき入れる大きなワナだったのだ。
私たちは助っていた。
「トラップドア」ヘの突入が少しばかり遅れていたのだ。
前にいた装甲機群までは、完全に消滅していた。
「翔、これは」
「いかん、零、後ろへさがれ」
荒廃した氷原の一角に、私達は生き残っていた。
連邦軍のわずかの生き残りとして。
「他の人達はどうなったのかしら、翔」
「いうまでもないだろっ。我々はおくれをとりたのだ」
翔の言葉は怒りを含んでいた。それも行き場のない怒りだ。
「どういう意味」
「連邦軍の集団自決さ。いや地球人のな」
「じゃ、あれは」
「いわば、レミング行動だよ。壊滅するのがわかってていて同時に仲間と自殺したわけさ」
「最後のおむかえが来たぞ」
零がいう
アイスの飛行端子が、私たちの目の前にあらわれていた。
しかし、そのアイスの飛行端子は、急に攻撃せず、私たちに意識で話しかけてきた。
「沙織をわたしてもらおうか」
「なぜだ」翔が尋ねた。
「君達にはもう、選択の余地などない。我々に対抗できる勢力など地球に残っていない。
我々アイスの前にひざまづき、アイスブレッドをうけいれることだ。我々に頭をたれよ」
アイスの飛行端子、いわゆる円盤機は、我々の目の前10メートルの距離で、
2本の触覚をブラブラと、あたしにむけながら、発声していた。
「何をいうの」
私は怒っていた。
「くっ、沙織、ここは」翔は言う。
「おとなしくするんだ」
「そういう事だ。それがお互いのためだ。それに翔とやら、沙織を渡せ」
「沙織を? なぜ」
「沙織は、人類で選ばれし個体だからだ」
「どういう事」私は尋ねる。
「アイスが君を必要としている。つれてこいという指令だ。アイスパレスへ来てもらおう」
「翔」私はおもわず、翔の体をつかんでいた。
「げせないなあ、なぜ沙織だけを」
「わからぬ奴だ。疑問、反問など、君たち人類にはもう存在しない。あるのはただアイスの命令だけなのだ」
「沙織、逃げろ」
急に翔が叫び、上空から零が舞い降りてきた。
「「戦場の狼」部隊の最後の死に花をみせてやるぜ」
「無用なことを。人間の生き残りめ」
「それほどまでなら、俺を倒してから、沙織を連れてゆけ」
「ふふっ、そうか、わかったぞ。お前が、、沙織の伝説の「青い騎士」、、というわけか。これはお笑い草だ」
「お笑い草だと。どういう意味だ」
「いずれわかる。まあ、お前はその時には死んでいるだろうがな」
「くそ」
零の反撃砲が、アイスの端子に向けて発射されていた。
「わからんか。もう無用だぞ、翔とやら。我々にはそんな物理的な攻撃など役にたたんのだ」
「くそっ、いったいどうすれば」
「翔ーつ」
翔は零に言う。
「零、わるいが、沙織を連れて早く逃げてくれ」
「どこへ」
「地球意思をさがせ。探してくれ。その地球意思中に彼女をうずめろ。そうすれば彼女は助かる」
「わかった、翔。君をほおっておくぞ」
「そうしてくれ。私はここで、やつらをむかえうち、食い止める」
「翔、教えて。やはり、やはり、あなたは、、私の、、「青き騎士」なのね」
「いまだに俺にもわからん。が、地球意思が昔、そう言っていた。、、で、沙織、1つお願いだ。
「、、何」
「沙織、覚えておいてくれ、君をまもるために死んだ1人の男がいたことをな」
「翔ーつ」
「沙織、早く逃げるのだ。翔の力ではそう長時間ささえきれん」
「でも、零」
「君が生きのびろ。そして、君が私と共に、翔のかたきをうつのだ」
零は冷静に言った。
「一緒にきて、翔、お願いよ、私は、翔あなたがいなければ生きてはいけないわ」私は声を限りに叫んでいた。
その時、急に目の前の氷原地から液体が沸いて来る。
「これは」
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所20090701改訂
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