ロボサムライ駆ける■第41回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info
youtube manga_training
■第五章 機械城(4)
ロボサムライ、主水は愛剣ムラマサを片手に空母へとひた走る。
反乱ロボットの中である一群を見ている。
それは力士ロボットである。
空母甲板のうえ、主水は大音声でいいきかす。
「力士ロボットの皆様、申し上げる。拙者、早乙女主水でござる。左舷側に集まっていたたけぬか」
先刻の剣闘士試合で大樹山を屠った主水だから、力士ロボットはいうことを聴く。
「徳川公国直参旗旗本、早乙女主水様、集まりましたぞ。後はいかように」
「しこを踏んで下されい」
「しこですと、聞き間違いでは…」
力士たちは戸惑いを隠せない。
「さよう、しこです」
主水は念を押した。
「ご命令とあらば」
首をかしげながら、力士ロボットが一斉に、しこを踏んだ。
パランスが崩れている空母ライオンは、甲板上のロボット力士のしこの振動で、左舷側に重さが集中してくる。
続いて、舷側まで走り、主水は海面に向かって叫んでいた。
「サイ魚法師、私だ。主水だ。お主たちが海中におるのはわかっておる。助けを所望じゃ」
ぐらぐらと振動する空母ライオンの横に、小型の潜水艦が浮上する。サイ魚法師の新しい潜水艦だった。
「やはりおったか、法師殿。同じロボット同志、ここは助けてくれぬか」
「おう、生きておったか、主水。申しで断る、と言いたいところだが、先日ロセンデール卿の元から追い出されたわしじゃ。それゆえ、意趣返しじゃ。主水、協力してやろう」
サイ魚法師はつるりと顔をなで笑った。
「かたじけない、さすがはその名も高いサイ魚法師じゃ、有り難い」
「おい、主水、褒めるのもいいかげんにいたせ。早くしないとシュトルフの聖騎士団がやってこようぞ」
「わかった。右舷側からサイ魚法師殿の攻撃をお願いもうそう」
「あいわかった。まっておれ。特製のサイ魚軍団攻撃を加えてやるわ」
サイ魚法師の潜水艦の後には数万匹のサイボーグ魚の群れがひしめいている。
空母「ライオン」の右舷に水しぶきがあがる。
サイ魚の大群が魚雷のように空母を攻撃しはじめた。
このサイ魚は鉄を食う魚である。 バイオ空母「ライオン」の船底は食い尽くされる。
バイオ空母だけに、鑑底は柔らかいのだ。
加えて力士ロボットの働きぶりである。バイオ空母ライオンは沈み始めた。
「ロセンデール卿、ロセンデール卿はどこだ」
主水は叫んでいた。艦橋のラダーを駆け上がっていた。
「ロセンデール卿降りてこい。勝負じゃ」
そのとき、急速に降下してくるバイオコプターが一機ある。
「いかん、逃げろ」
主水は、反乱ロボットに向かい叫ぶ。
何体かの力士ロボットが被弾し、数体倒れる。
バイオコプターからの一連射が甲板上を縫った。
「これが私の挨拶状がわりです。主水くん、皆さん、それでは、機械城で待っておりますぞ。ふっふっ」
バイオコプターの窓から、ロセンデール卿の顔が浮かびあがって、笑った。
(続く)
ロボサムライ駆ける第五章 ■ロボサムライ駆ける■
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
http://9vae.com http://visitjapan.info
youtube manga_training