源義経黄金伝説■第12回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所大江広元おおえひろもとは、これから奥州平泉を攻めようとする頼朝にとっては勝利を確約する、いわば勝利の女神であった。なぜなら、大江広元の曾祖父は、奥州攻略を成功させた八幡太郎はちまんたろうの知恵袋だった。占いの専門職。占いはこの時期の総合科学である。しかし、今、その広元は恐怖を感じて、青ざめていた。このままでは、会場の武士を味方にして . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第11回(第10回欠番)作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所あの女、手に入れたい。頼朝は思った。たとえ、義経の思いものであったとしても…。 文治二年(1186)四月八日。 鎌倉八幡宮の境内。目の前には、京一番の舞い手義経が愛妾が舞をまっている。義経の女の趣味は良い。誉めてやりたいぐらいだった。頼朝は今でも心のうちは、京都人である。京都の女が好きなのであった。この . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第9回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所 平泉に、東西の軍書を読んでいる牛若はいた。 その顔は真っ黒にやけ、元気そうに見える。基本的体力は、鞍馬山にて鍛えられ、この奥州の地でその体力がぐんぐんと伸びていた。また馬も、この地の馬にすぐ慣れ、新しい馬術を学んでいる。「牛若殿、ご勉強、精が出ますな」 奥州平泉の帝王、秀衡であった。「これは秀衡様」 牛若は姿勢を正し、挨拶をした。「 . . . 本文を読む
フレデリック・L・ショットさんの講演会『手塚治虫物語』の英語訳出版記念
【世界に日本マンガを紹介して40年 フレデリック・L・ショット講演会】
■日程:2017年2月8日(水)19:00~20:30 (受付開始18:30)■場所:国際交流基金 本部2階ホール[さくら]■使用言語:日本語■参加費:無料■主催:国際交流基金
■当日の会場へのアクセス :国際交流基金本部 本部2階ホール[さくら]h . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第8回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所Manga Agency山田企画事務所 弁慶は鬼一から 牛若の氏素性を話され、守り役に徹すると決めた。牛若がいう。「弁慶、私の味方になりたいのかどうだ?返答はいかがか」「いや、それはもう、、」悪僧、弁慶の答えは微妙である。「先刻の五条の橋で暴言をはかなったか。いや、で、ものは相談。お主が味方かどうか、こころたい。私のゆうこと . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第7回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所言うが早いか、弁慶は、背中から引き抜いた薙刀を一閃していた。普通の人間ならば、真っ二つである。が、弁慶の薙刀には、手ごたえがない。目の前にあるはずの、血まみれの体も残ってはいない。「はて、面妖な」「ふふっ、ここだ、ここだ」 弁慶の後ろから声が聞こえて来る。すばやく、背後を見返すと、橋げたのうえにふわりと牛若が乗っている。まるで、重さ . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第6回 京都・鞍馬堂宇で鬼一法眼が、西行を待っていた。「おお、ここだ、西行殿」「おお鬼一法眼殿、息災であられるか」「西行殿も、歌名ますます上がられる。うれしい限りだ。それにあの遮那王、教えがいがある。よい弟子を送り込んでくれたものだ」「牛若、いや遮那王はそれほどまでに」「そうじゃ、仏法など、とんと興味がないわ。俺が教える武法のみ。さすがは源氏の頭領、源義朝殿が和子だな」「いや、やは . . . 本文を読む
義経黄金伝説■第5回★作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency(株)山田企画事務所この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n1703dc/
十五年後。永暦元年(一一六〇)
今年57歳になった法師が、山道を登っている。
京都、鞍馬山僧正ヶ谷である。山肌に木の根が血管のようにごつごつと現れている。 激しく武者修行をする牛若の前に、法師が一人現れていた . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第4回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency(株)山田企画事務所この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n1703dc/
第1章
永暦元年(一一六〇)今年42歳となった西行は、北面の武士当時、同僚であった平清盛を訪れている。京都六波羅かいわいは、まるで平家の城塞都市である。平家親戚一同が甍を並べ、藤原氏をはじめとしての貴族を睥睨して . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第3回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency(株)山田企画事務所この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n1703dc/第1章 一一八六年 鎌倉八幡宮 1 文治二年(1186)四月八日のことである。 鎌倉八幡宮の境内、音曲が響いてくる。「京一番の舞い手じゃそうじゃ」そこに向かう雑色ぞうしきが仲間と声高に話していた。相方がこれも声 . . . 本文を読む
源義経黄金伝説■第2回作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・Manga Agency山田企画事務所
この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n1703dc/
明治元年(1868年)よりさかのぼる事、690年前1180年(治承4年)四国白峰。老僧が荒れ果てた神社の鳥居の前に佇んでいる。鳥居から見える四国瀬戸の荒海はひゅひゅうと音を立てて荒れすさんでいる。「ようやく参りました . . . 本文を読む