松竹伸幸氏は、元日本共産党員だと、私は承知している。その彼がこんなYouTubeをあげている。「1丁目1番地は安保法制反対か、裏金問題か」と。彼の主張は、それは裏金問題であり、野党共闘の基軸に安保法制の是非を据えるのは、否だというのだ。
おかしなことを言う人だ。私は共産党内の論争に関わるつもりはないが、党内論争の枠を超える問題なので、一言述べておきたい。これは、2者択一で論じる話ではない。裏金の陰に安保問題が隠れていることを、彼は知らないのだろうか?! 自民党の裏金は、財界と大企業、特に軍事に関わる企業からの裏金・献金が大きいな部分を占めているだろう。また暗部に隠しておきたいからこそ、自民党は、「裏金」として処理したいのだろう。単に帳簿につけたか、つけなかったかの話ではない。自民党の政治家にとっても、軍事企業関係者にとっても、内緒が好都合なのだ。
安保法制とは、同盟国である米国の戦争に、日本国が攻撃されていない段階から、加担し共闘することだ。戦争を誘発し、加速する法制なのだ。松竹氏ともあろう方が、こうした関係を承知していないとは考えられない。なおかつこう言うのだとすれば、彼は、「戦争イエス」なんだと断じざるを得まい。
こう私が強調したいのは、沖縄の現実を見ていれば、安保問題は、単なる条約・法制の問題にとどまらないからだ。現実の軍用機の飛行ぶりや、事故が起きたときの対応、PFAS等の地下水汚染などを調べたくても米軍が許可しなかったり、米兵による性暴力事件が隠されたり、日々の現実問題だからだ。
さらにこの10年、日本政府も自衛隊の軍拡化を進めており、敵基地攻撃能力の強化に邁進している。松竹伸幸氏は、こうした現実を見て見ぬ振りをするつもりだろうか!
私は、戦争イエスのあらゆる言動に、反対する。2003年・4年時代の「周辺事態」は、今や、対中戦争などの事態にまで具体化されてきた。ことは沖縄だけの話ではない。私は、こんな愚劣な論争に騙されない明晰な視野をもちたいだけだ。