今回はスギノアカネトラカミキリ(以下、アカネ)第3部の第2章「被害と林況」について。
要は、アカネの被害を受けやすい林分の状況(山の状況)というお話です。
前回の立地条件でもお話しましたが、枯れ枝のある林分なら良いというわけではありません。
アカネの被害は、立木密度が高く、密生した林分よりも、開けた林分の方が被害を受けやすいと言われています。
枯れ枝の多い林分は立木密度が高い「密生林」なので、イメージ的には、密生林の方が被害を受けやすいように思いますが、立木密度の低い開けた林分「疎開林」は、明るい環境なので、光を好むアカネにとって、生活環境は密生林よりも疎開林の方が適していると言えますね。
しかし、立木密度が高く、めっちゃ暗いヒノキ林でも激しい被害が確認されているので、被害発生と明るさの関係が必ずしも一致しているとは言い切れません。
被害と林況の関係を簡単にまとめると、こんな感じかなと。
立木密度が高いと林内が暗くなり、下枝が枯れやすくなります。
そして、枯れ枝が豊富な林況が整った段階で、間伐を行うと、林内が明るくなります。
その明るい林内にアカネが引き寄せられると、産卵に適した枯れ枝がウハウハです。
仮に間伐をせず、暗い林内のままでも激害になる場合もありますが、おそらく、かなりアカネの生息密度が高い現場ではないのかなと思います。
こうした林況に加え、前回の立地条件「西向き・西南向き斜面」、「尾根筋」、「乾燥した土壌」という条件も加わります。
単純に枯れ枝があればアカネがいるというわけではなく、アカネの生態・林況・立地条件が絡んできます。
多いところは本当に多いし、少ないところは本当に少ない。
そして、アカネがいそうな条件が十分に整っていても、いないこともあります。
というわけで、次回はアカネの「被害診断」について。
アカネの被害は、伐採してみないと分からない・・・だけど、診断する方法がないわけではない・・・というお話です。
でも、診断方法自体は、あまり期待しないで下さいね。
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