表面に凹凸が現れる丸太「天然絞り丸太」。
通常、丸太の表面はツルツルなのですが、写真のように自然と表面に凹凸が現れる丸太を「天然絞り丸太」と言います。
病気ではなく、奇形と言ったらいいのかな?
凹凸の溝が浅いもの、深いものもあれば、ボコッと凸が大きいものもあります。
なお、人工的に凹凸を作り出した丸太もあり、それは「人工絞り丸太」と言います。
天然絞り丸太は、床柱などに使用され、非常に高価な木材として重宝されていました。
この凹凸は、自然に出来るモノなので、挿し木や接ぎ木という方法でないと「天然絞り丸太」になる木を増殖することが出来ません。
そのため、苗木代は高いし、枝打ちといったミスが許されない施業だったので、天然絞り丸太は特に高価な木材です。
床柱に立派な天然絞り丸太が使われている家は、全体も立派な家が多かったです・・。
現在は、住宅様式も変わり、和室がなくなったことで、床柱の利用も減少し、それに伴い、天然絞り丸太の利用も減少しました。
時々、市場に通常の丸太の中に天然絞り丸太が混ざっている時があります。
そんなある日、自動車で街中を走行していると、意外な場所で天然絞り丸太と出会いました。
空き地の周囲を囲う木杭の中に天然絞り丸太が!
近づいてみると、やはり表面が凹凸していて、天然絞り丸太だなぁーと、悲しい気持ちになりました。
が、天然絞り丸太の存在をご存じない方にとっては、同じ丸太なんですよね。
むしろ、表面の凹凸を嫌がる方もいるかも。
天然絞り丸太を購入することで、ワクワクするとか、テンションが上がるとか、コレは買いたい!って思うような気持ちが湧く、気持ちが動く背景やストーリーがないと、買い手には、その良さが伝わりません。
育てる苦労は、本当に大変ですが、それは、あまり買い手に、関係ありません。
むしろ、育てる苦労を表に出されると、買い手に「大変なんだ。買ってあげないといけない。」という気持ちを与えてしまう可能性もあります。
僕自身、天然絞り丸太を見ると、「おぉー」っと思いますが、買うことはありません(^_^;)。
表面ツルツルの丸太の方が好きなので(^_^;)。
良い物は売れると言いますが、それは、生産者から見た良い物ではなく、買い手から見た良い物です。
そして、買い手は、良い物を買うのではなく、欲しいと思ったものを買います。
どんなに苦労して生産しても、買い手が欲しいという気持ちにならなければ、買ってもらうことが出来ないんだなーと、空き地の周囲を囲う天然絞り丸太を見て、そう思いました(T_T)。
『木の温もりがある家』とか言っても、張物や集成材ですから、無垢の良さ、ましてや天絞の貴重性なんかからないと思います。
失礼な話ですが、需要が少なくなり天絞も少しは安くなったので、面皮にして使っている方がいましたが、見事な笹杢が現れました!
わかって貰える方がいれば嬉しいです☺️