海と松林。
まさに白砂青松。
そんな素晴らしい景色を阻害するマツ枯れが目立つ・・・
マツ枯れとは、その名の通り、松林が枯れる森林被害をいいます。
マツ枯れは「マツ材線虫病」ともいい、これに「ニレ立枯病」、「クリ胴枯病」、「五葉マツ類発疹さび病」という世界三大樹木病害を加えた、”世界四大樹木病害”の1つです。
被害を受けたマツは、8月下旬から9月頃にかけて枯れ始めます。
枯れる原因は、「マツノザイセンチュウ」という体長1mmにも満たない小さな線虫が、マツの樹体内で増殖し、マツを枯らします。
そして、その病原体となる「マツノザイセンチュウ」を運び、被害を拡大させているのが「マツノマダラカミキリ」です。
これがマツマダラカミキリ。
オスは、体に対して触覚が長く、触覚の色も茶色一色。
メス。体に対して触覚が短く、触覚が縞々模様。
マツノマダラカミキリは、5月から7月にかけて、枯れたマツの幹から脱出して、動き出します。
脱出したカミキリは、生きたマツの新葉を食べます。
実は、マツの幹から出たばかりのマツノマダラカミキリは、体が未熟で、すぐに交尾・産卵することができません。
マツの新葉を食べて、はじめて体が成熟し、交尾・産卵が出来るようになります。
これを「後食(こうしょく)」といいます。
この新葉を食べたときに出来た傷口から、センチュウが侵入し、マツの中で増殖し、マツを枯らします。
そして、枯れたマツの幹にカミキリが産卵し、孵化→蛹化→羽化します。
センチュウは、カミキリが羽化して飛び立つまでに、体内に侵入します。
センチュウに侵入されても、カミキリは死にません。
マツ枯れの流れをイラストにまとめましたので、ご参考ください。
ちなみに、健康なマツであれば、カミキリに産卵されても、樹液を出して、対抗することができます。
しかし、写真のようにマツの樹皮の下でたくさんの木屑に出ていたら、順調にカミキリが成長していると考えられます。
マツノザイセンチュウによって枯れたマツからは、樹液が出てきません。
なので、枯れたマツや衰弱したマツから樹液が出てきたら、それは別の原因で枯れたと考えられます。
ただ、最近は、カミキリに後食されているにも関わらず、部分枯れしているマツに出会うことも。
マツも、「いつまでも、やられっぱなしではない!」と、少しずつ抵抗しているのかな?
※2015年5月の記事を再編
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