「何者」
2023年09月08日 | 本
主な登場人物は5人。5人とも大学生で就職活動をしています。
主人公はその中の一人(男性)で、物語は一人称で語られます。
5人はSNSでさまざまなやり取りをしますが、主人公は、5人のうちの同棲している男女の就職活動の仕方やSNSの発信内容に、鬱陶しさとかいらだたしさを感じていきます。
おそらく多数の読者も、主人公と同じような感覚を持ち始めることと思います。
最初はちょっとした不愉快さですが、徐々に大きくなっていきます。
そして最後、読者自身に大きく跳ね返ってきます。それが鳥肌もの。
この作者の構成、感性、文章表現、どれも素晴らしく、別の作品も読んでみたいと思いました。
印象に残った文章を挙げます。
ほんとうにたいせつなことは、ツイッターにもフェイスブックにもメールにも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことは、そんなところで発信して返信をもらって、それで満足するようなことではない。
ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと。
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