東京国立博物館で開催中の2つの特別展、「禅(心をかたちに)」と「平安の秘仏(櫟野寺の大観音とみほとけたち)」を観に行った。
禅と仏像にはもともと関心があり、特に後者は9月に行き損なった近江の観音巡りとしての意味もある。
加えて、ポッドキャストで愛聴している「いとうせいこう×みうらじゅんのザツダン」での宣伝に触発されたこともある。
まずは平成館に足を運んで「禅」を先に見る。
今回は臨済禅と黄檗禅に限定されている。
もちろん臨済禅は日本の禅文化の中心なので、見所は豊富。
有名な一休宗純や夢窓疎石の肖像画(頂相)の他に
鎌倉建長寺の秘蔵、蘭渓道隆の尊像や奥浜名湖にある方広寺の本尊・宝冠釈迦如来を拝めたのが嬉しかった。
黄檗宗万福寺の自分の胸の中に釈迦の頭部をあるのを開いて見せる像は、
同じ黄檗宗であったわが菩提寺・五百羅漢寺(目黒)にもある。
せっかくの展示なので、各頂相にある讚の漢文を理解したいのだが、
展示の解説は美術的な部分だけで、テキスト部分には触れられていない(いつもそう)。
カタログにも載っていなかったのが残念。
そうはいっても展示だけでも充実して、けっこう満腹感。
ミュージアムショップに足を運んだが、禅画ってインテリアには向かないなぁ。
立ちっ放しだったので、館内の革のソファに腰を沈めて一休みし、
本館1階の「櫟野(らくや)寺」の方に行く。
そうそう、両方の展示とも音声ガイドを利用した(各520円)。
「禅」の方は両耳ヘッドホンで、番号ボタンを押すだけで解説が始まるので使いやすい。
ところが、「櫟野寺」の方は片耳イヤホンで、ボタンを押した後再生ボタンをまた押さねばならない旧式(聴きづらく無駄な操作)。
だが、こちらは、いとうせいこうとみうらじゅんがガイドに加わっているのが楽しみ(正規のガイドとは別)。
正直、櫟野寺の仏像は重要文化財ながら美術的価値(美しさ)は少々下がる(一木造りという点はすごく、それが造形を制限している)。
楽しみにしていた2人の掛け合いももっとほしかったかな。
でも、その寺に足を運んでも拝めない秘仏を自宅近く(東博は自宅から山の手線3駅)で観れる特別展は実にありがたい。
「秘仏」だけだと物足りないので、どうせなら「禅」(11/27まで)と合せて見た方がいい。