今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

横浜都筑区の歴史散歩:茅ヶ崎城趾

2019年03月24日 | 城巡り

春分も過ぎ、春めいてきた24日の日曜。
山城巡りとして、神奈川県の茅ヶ崎城趾に行くことにした
(ホントは山に行きたかったが、この歳でも早起きが苦手)。
茅ヶ崎城といっても、所在地は湘南茅ヶ崎でなく横浜市都筑(つづき)区。

私自身、横浜は桜木町や関内(中華街・山下公園)くらいしか知らず、
横浜市の内陸側はどこがどうなっているのか全くわからない。
茅ヶ崎城は、名前は聞き覚えのある「港北ニュータウン」の近くらしい。
その地はおおざっぱにいうと、横浜市の北側で川崎市寄り。
そこへは東横線の日吉(慶応大キャンパスがある)から、横浜市営地下鉄で行けることがわかった。 
日吉へは(渋谷で乗り換えなくても)家の最寄地下鉄駅から直通で行ける(実際には急行に乗り換えて早く着く)。 

横浜市営地下鉄(名古屋市営のと同じく狭めの車両)の「センター北」という駅で降りると、
いかにも新興のニュータウンという感じの賑わいで、駅の隣りに巨大ショッピングモールがある。
その中のフードコートのリンガーハットでチャンポンを食べようと館内に入ると
(ラーメンは選択肢から外しているが、野菜が豊富なチャンポンはOK)、
館内には食料品はもちろん、ユニクロもブックオフもダイソーもあり、子どもの遊び場もあって、
日曜など家族連れで買物ついでに館内だけで一日すごせそう。
ただ古い商店街が好きな私は、消費生活を1つのモールに依存したくはないなぁ。

さて最初に行くのは、モールの南にある横浜市歴史博物館(入館料400円)
史跡巡りをするなら、その前に地元の博物館で基礎知識を得てからの方がいいので、まさに好都合。

展示は広い1フロアに年代順に展開されており、展示物は多くはないが、
すべての説明ボタンを押して丁寧に見てまわる。
この地に博物館ができた理由の1つでもある、道路向いの大塚・歳勝土遺跡(弥生時代の住居跡)のジオラマも、
現地に行く前に見ておいた方がいい。

古代(律令時代)の展示を見ていたら、暇だったボランティア解説のおじさんがやってきて、発掘された都筑郡衙跡の説明を始める。
そう、ここ都筑の地は、吸収元の横浜よりも古く、古代から郡名としてその名があり、さらに弥生時代に100名を越す大きな集落があった。
もちろん、縄文遺跡もあれば、古墳もある。
郡衙があったということは、同じ武蔵国の国衙(東京の府中)への幹線道が通っていたわけだ。
そして中世の城もある。

駅から降り立った第一印象では、この地は歴史をまったく感じさせない建物も道路もすべて新しい人工的な街にしか映らなかったが、
実は数千年の歴史が重なっている地であることがわかった。

ついでに、都筑は武蔵国として、その南の久良(くらき:横浜中枢部)とともに西側で相模の国と境を接している。
武蔵の国がこんな南にまで伸びているのが前から疑問だったが、解説のおじさんによると、本来、武蔵の国は多摩川が南限だったが、
この地は武蔵の行田(埼玉県行田市:武蔵最大のサキタマ古墳群がある)にいた一族の支配地で、
一族間の争いに敗れたため、武蔵を支配していた一族に譲られたのだという。
なるほど。 

さらに横浜の現在の繁華街は近世初期になって新田として埋め立てられた入海の跡だということも知った。
かくも情報量が多かったため、博物館の1フロアだけで2時間も費やした。

さて実物の遺跡巡りとして、道路向い(東側)の高台にある遺跡公園に行く。
弥生時代の住居跡地である大塚遺跡には竪穴式住居が幾棟も復元されている(写真)。

住居外の墓地跡は歳勝土(さいかちど)跡になっている(いずれも国指定史跡)。
あと江戸時代の古民家(長沢家住宅)も公園内の都築民家園に移築されている。
これらを含んだ一帯は公園化されており、家族連れで賑わっている。 

これらを一通り見て、南に進み、交差点の大きなゴリラ像(地元のシンボルという)を見上げて、
向側の丘陵にある茅ヶ崎城趾に達する。

ここは文献史料に乏しく、城主も不明だが、4つの郭(くるわ)がほぼ完全な形で残っていて、
横浜市指定遺跡になっている。
そのうちの中郭には建物跡が発掘されている(住居ではなく倉庫であったよう)。
また関東管領の上杉氏にゆかりのある渦巻文様のかわらけが多数出土されているという。

この後、地下鉄に乗って、3キロほど先の小机城にも足を延ばそうと計画していたのだが、
博物館で思いのほか時間を使ってしまい、夜は、甥と姪の卒業祝いを兼ねた姪の誕生会を予定しているので、
ここらで切り上げて降りた駅の1つ先の「センター南」駅から帰途につくことにした。 

小机城は、鶴見川沿いにあるので、計画している「鶴見川歩き」の折りに立ち寄るとするか。 


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