ヨットの構造の見事さに私は深く魅了されました。ヨットは絶対に転覆しなく風に向かって走れる構造になっています。その構造は下の絵のように日本古来の帆舟とは非常に違います。実に巧妙な設計になっているのです。
(この絵の出典はGary Jobson著、AmericanSailing Association監修の「Sailing Fundamentals」という本から転写したものです。(出版社は、Simon & Shuster Inc.の1987年版です。)
この構造で一番重要な部分は船底から水中へ伸びている非常に重い鉄板です。それはキール(keel)と呼ばれています。
このキールのお蔭でヨットはほとんど絶対に転覆しないのです。強風で横倒しになってもキールが重いので自然に起き上ってくるのです。おもちゃに「起き上り小法師」というものがありますが、あれと同じ原理です。
このキールの有難味は実際に強風の中を帆走している時実感できるのです。
それが面白いのです。風上に登れる構造に魅了されたのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
===参考資料:ヨットの構造の説明==========
覚えたほうが良い部品名を10個にご紹介します。(1)マスト、(2)ヘッドステイ、(3)バックステイ、(4)ブーム、(5)ライフライン、(6)テイラー、(7)バウ、(8)スターン、(9)ジブとシブハリヤード、(10)メインセールとメインハリヤード。
これらの(1)から(8)までは上の図に示してあります。ステイは前後からマストを立てるために引っ張る鋼鉄製のワイヤーです。ライフラインは船から人が落水しないようにグルリと張り巡らせた鋼鉄製のワイヤーです。テイラーとは舵棒ですがどういう訳か舵棒と言わずに必ずテイラーと言います。バウは船首、スターンは船尾です。ジブはヘッドステイとマストの間に張る三角形の帆で、それを上に引き上げる鋼鉄製のワイヤーをジブ・ハリヤードと言います。
メインセールはマストと下のブームと言う水平の棒で固定する三角形の帆です。メインセールをマストにつけて引っ張りあげるワイヤーをメインハリヤードと言います。
@ヨットの部品の特殊性
特殊な名称が多くて困ります。まず鋼鉄製のワイヤー類や合成繊維製のロープ類はそれぞれ特殊な名前があり船上では絶対にワイヤーとかロープという一般名称を使いません。
それぞれハリヤードやシートと言います。ロープと言って良いのは係留に使う舫いロープとかアンカーロープという具合に船の外側で使う場合に限られます。メインセールの下についていてセールを左右に動かすためのロープはメインシートと言い、ジブの下後ろ端についているロープはジブシートと言います。
これはヨーロッパの帆船の伝統に従った呼び名です。
その他、重要なものして、スピネーカーとスピン・ポールがあります。スピネーカーは上の図のヘッドステイの右外へ大きな半球状に風で膨らませるセールで、その下端とマスト下部を繋ぐ棒をスピン・ポールといいます。
昔から帆船を岸につけるときは原則として左側を岸に舫います。それで船の左をポートサイドと言います。右はスターボードと言います。
余談ながら飛行機で大型旅客機は例外なく、左側のみに出入口があり、こちら側からのみ乗り降りします。これは昔からの西洋の帆船のころからの習慣です。(終わり)