谷中優の部屋(音楽教育・創作表現・文化・芸術・出版等)

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四つの無伴奏歌曲-続編

2017年09月07日 | 楽譜等音楽出版
<続編>「真間の手児奈」 詞/高橋虫麻呂(万葉集巻9-1808)

佐藤春夫の「野菊の墓」には「矢切の渡し」や「市川」が描かれている。「矢切の渡し」の一方は江戸川を挟んで筆者の住む松戸に在り、市川真間も松戸から40分ほどである。そこに何度か訪れたこともあって「真間の手児奈」の伝説には以前から興味を持っていた。

 中学生の頃から万葉集などに親しんでいたが、手児奈の歌に目を留めたのは大人になってからである。そこには山部赤人など手児奈を詠んだ歌が散見している。作曲にあたって唯一この反歌を採りあげることになった。当初、まず「手兒名」「手古奈」「手児奈」など複数存在する表記の確定から始めた。最終的に「手児奈」に落ち着いたが、特に学術的な根拠に基づいたものではない。演奏時間/約53“

 ちなみに「口訳万葉集(中)」折口信夫(岩波書店2017.4)では「手児名」となっている。また市川市立真間小学校そばに設置されている「万葉集の 真間の手児奈の歌」の案内板(中津敏子/監修、真間史蹟保存会・市川ユネスコ協会)には、高橋虫麻呂と山部赤人の反歌があり、前者は「手児奈」、後者は「手児名」となっている。



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