今回は座談会の続きです
プライマリケア医に必要なバイタルサインの考え方を?との問いに
自分が沖縄県立中部病院で研修をやっていた頃から、先輩レジデントからも指導医からも徹底的に「バイタルサインは重要である」と教え込まれました。それは入院中の患者だけではなく、救急、初診外来、ICUと、どんな場面でもとにかく重要であるということが、常に強調されました。そこでは、そういうカルチャーができあがっていました。
研修医と指導医、同僚同士など、いろいろなカンファレンスが病院中でありましたが、バイタルサインは常に必須項目でした。救急では必ず全員のバイタルサインのチェックを行っていて、それで救われた症例、早期診断につながった症例が多数ありました。それがカンファレンスで常に強調される。それで1年目、2年目から、バイタルサインがいかに重要かということが吸収されていく。それで助けられました。
それはプライマリケアの分野でも重要に?との問いに
そう思います。私は沖縄県立中部病院にずっといましたが、診療所へ応援に行くこともあって、その時は在宅医療もやっていました。「微熱があって、食欲が落ちていて、咳をしている。病院に連れて行ったほうがいいですか」という往診依頼があって、行くと脈拍が120/分ある。呼吸数は24/分でした。これは風邪ではないです。病院に連れて行ったら、肺炎でした。
徳田先生の連載では呼吸数30/分というのが重要か?との問いに
まず、なぜ呼吸数が見落とされるかと言いますと、1分間きちっと呼吸数が測定されていないという現場の事情があるようです。いろいろな研究があるのですが、医療従事者でも呼吸数をきちんと正確に測定していない。実際は24,25/分という呼吸数は多いのですが。そういう事情もあって、CURE-65などの肺炎の重症度スコアでは呼吸数が30/分以上になっているのです。肺炎の重症度判定スコアでは呼吸数は非常に重視されていて、判定項目にSpO2が入っていなくても呼吸数は入っています。今は、パルスオキシメーターが普及したために、SpO2のほうが正確なのではないかということで、呼吸数が軽視されるようになったように思います。確かにSpO2は非常に重要な臨床データですが、肺炎などではSpO2が下がってからではもうかなり重症になっています。呼吸数が速い状態で、SpO2がまだ保たれている場合には、肺炎が見過ごされる可能性があります。
また、慢性呼吸不全と急性呼吸不全の鑑別という問題があります。例えばもともと慢性的にCOPDがあって、最近急性憎悪が疑われ、SpO2が90%未満になった患者がいたとします。その時に呼吸数を調べると、呼吸数が正常で本人がケロッとしていたら慢性呼吸不全であることが多く、呼吸数が速い場合には慢性呼吸不全の急性憎悪ということになります。呼吸不全の場合でも呼吸数なしでSpO2の解釈はできないように思います。
今回は以上です、話変わって、沖縄本島の中部は北中城村に西日本でも一、二を争う規模のショッピングセンターができました、その土地は前は在日米軍のゴルフ倶楽部があったところでした、とても広くて一日では周りきれないほどです、では次回に。