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この世界の片隅に(上・中・下) こうの史代

いつも読んでいる書評誌で「村上春樹の1Q84よりも衝撃的かも…」と書かれていたので読んでみた。原爆投下前後の広島・呉が舞台で、そこに住む北條すずという主人公の日常を描いた作品だ。客観的にはかなり悲惨な状況の中で、その困難を自然体で乗り切る主人公の姿がほんわりと描かれている。広島の原爆投下の瞬間の描き方もユニークだし、最後の2ページなどは言葉では説明できないほど素晴らしい。その他、非常に印象的なシーンがいくつもある。コミックということでなかなか人にお勧めしにくいのだが、この作品は永く残る傑作だと思う。作者の履歴には
は1968年広島生まれとある。戦争体験のない作者にこのような作品が描けたことが大いに驚きだが、広島では世代から世代への体験の伝承がここまでうまくいっているのだと思うと、それだけで救われる気がする。(「この世界の片隅に(上・中・下)」こうの史代、双葉社)
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