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ん 山口謡史

本の帯の「日本語最大のミステリーを解く! 日本橋は何故Nihombashiと書かれているのか?」というキャッチにまず惹かれる。また、帯の裏には「『ん』にまつわる意外な話」として、西洋人は『んー』が大嫌い、『古事記』に「ん」はなかった、空海は創造主のひとり、といった好奇心をくすぐるフレーズがいくつも並んでいる。さらに題名も「ん」と意表をついている。興味津々で、早速読んでみた。
本書は、「ん」「ン」という文字とその発音にまつわるいろいろな話が満載で、読む前の期待に違わぬ面白さだ。西洋人は「んー」が大嫌いという話も初耳だったし、仏教に絡んで「ん」にこれほど深い考察の歴史があったとは本当に意外だった。日本人が次の音に移る前の保留、リズムを整えるために「ん」を活用してきたという歴史も「なるほど」と思わされる。本書の最大の収穫は「ん」に関する謎解きの過程で、昔の日本人が異国の文化や宗教を必死で我がものにしようとしたその葛藤をかいま見ることができたことだと思う。(「ん」山口謡史、新潮新書)
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