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がん消滅の謎 岩木一麻
最新の『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作ということで、話題になっている作品。読み始めると、この部分は誰のことを言っているのか、よく判らないところがあったりで、少し読みにくいなぁと感じたのだが、やがてそんなことが全く気にならなくなるほど、話にぐいぐいと引き込まれてしまった。読んでいて一番すごいなぁと思ったのは、専門家でないと判らないような部分があり、今までそんなことを考えたこともなkったのにもかかわらず、何故か「その手があったのか」と思わされてしまったことだ。がんの仕組みも良く判らないのに、何故そのように思ってしまったのか、未だに不思議だ。最後の一行については、どう解釈したらよいのか実は良く判らないし、2つの解釈があるような気がするのだが、それでも何故かお見事と思ってしまった。話はストレートで判りやすいのだが、何だか違うところ、別の意味で不思議な作品だった。なお、いつものことだが、巻末の大賞審査員の「作品に対する悪口コメント」は何とかならないだろうか。読み終えて「面白かった」と思った次のページに「その作品を含む候補作の欠点」を色々読まされるのは興ざめだし、出版されているのは応募作品をかなり手直ししたものということであれば、その手直しをした後の作品を読んでからコメントしてほしい。(「がん消滅の謎」 岩木一麻、宝島社)
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