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石の世界 山田英春

石の模様についてその凄い世界を垣間見させてくれる一冊。「はじめに」で述べられているが、本書は、石の分類とか組成とかではなく、ただひたすらにその模様だけに焦点を当てて、その素晴らしさを多くのカラー写真で見せてくれる。最初に登場するのは、なぜかまるで風景画をみているようなフィレンツェの石。これが自然の造形だとは信じられないような絵画のような模様。続いてアメリカで話題になったカラフルなモリソナイトという石。発見者モリソンの謎の生涯とともに著者の石への思いが熱く語られる。デンドリテックアゲートという石はまるで石に樹木そのものが閉じ込められたような造形。その他、まるで現代アートのような石、神秘的な模様、現代アートのような幾何学模様の石などが続く。見ていて本当に飽きない不思議な世界だ。読んでいてずっと感じるのは、地学的な知識がなかった昔の人々がこれらの石を見て何を思ったのかということだ。石の中の風景画と古生物の化石を見た時、一方が偶然の産物でもう一方が本当の生物の痕跡ということにどうして思い至れるだろうか? 読み終えて、なんだか石を集めてみたくなってしまった。(「石の世界」 山田英春、ちくま新書)
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