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続・横道世之介 吉田修一

前作を読んだのが2010年なので約9年振りに読む続編ということになる。若い主人公世之介の一年を追いながら、途中でかなり時間が経った後の話を織り込んで話が進むという全体構成は前作と同じ。前作の終盤で明かされる衝撃的な内容については、今回もただ数行だけ言及されている。もちろんその事実について前作のような衝撃はないが、それでもその数行が実に効果的だ。バブル崩壊など自分ではどうしようもない状況下、不運な出来事に苦労しながらもそれに自然体で向き合っていく主人公と、それによって何故か救われていく周りの仲間達。人の善意とは何かを問いながら、人にとって無駄な時間などないのだという明るい気持ちにさせてくれる。どれだけ待っても良いのでいつまでも続編を読み続けたいと思う。(「続・横道世之介」 吉田修一、中央公論新社)
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