オメガねこ

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「フリードマン」 と 「ケインズ」

2019年11月29日 | 経済
 ピノチェト政権時のチリに訪問した「ミルトン・フリードマン(チリの経済顧問)」はチリ国民から抗議デモを受けました。また、ノーベル賞受賞時にスウェーデン・ストックホルムでも抗議を受け、フリードマンは抗議デモ参加者たちを「ごろつき」と非難し「ナチズムの匂いが漂っており、鼻が腐りそうだ。言論の自由において、都合の悪い発言を抑え込むようなやり方は許されない」と言ったそうです。

 チリは16世紀にスペインの植民地になって以降、幾度も混乱が起きていて、1970年に世界で初めて民主的選挙で選ばれた社会主義政権(社共統一戦線)であるアジェンデ政権を、1974年に(アメリカの支援を受けた)ピノチェトがクーデターによって倒し、独裁政権を樹立しました。ピノチェト政権時には自国民約3万人が殺され、数十万人が収容所に送られ、百万人が国外逃亡をしました。

 ピノチェトは、フリードマンの新自由主義的な手法を教科書にして経済運営をし、これをフリードマンは「チリの奇跡」と称賛しましたが、その実態は「国家の富の切り売り」に過ぎず、一時的な経済発展は期待出来ますが、売るモノが無くなれば終わります。経済理論とは何の関係も有りません。

元々はケインジアンであったフリードマンは、現実の経済状況を見て、
「ケインズ政策の実行」→「景気拡大」→「失業率の低下」→「インフレ期待の上昇」→「賃金の上昇」→「物価の上昇」→「実質GDP成長率の低下」→「失業率の再上昇」
、というメカニズムでスタグフレーションに繋がり、結果的に物価だけが上昇すると主張し、「ケインズ経済理論」の批判派に転向しました。

【ケインズ経済理論: 総需要管理政策の元に、不景気の時は金利の低下を誘導し、需要意欲を増加させる】、と云うものですが、「MMT]とは違い財政規律は守るべきとされています。

 しかし、この連鎖は「風が吹けば桶屋が儲かる」式の批判で、「→」の前後では殆ど関連性が無い事は「日本の失われた20~30年」で証明済みです。
 例えば、「金利の低下」→「景気拡大」、「失業率の低下」→「インフレ期待の上昇」、「インフレ期待の上昇」→「賃金の上昇」、「実質GDP成長率の低下」→「失業率の再上昇」は、失われた20年で見ると相関関係は有りません。また、「景気が低迷」していても「失業率」は改善していますし、「物価が上昇」しなくても「成長率は低下」し「失業率の再上昇」も起きていません。二重にも三重にも「デタラメ」です。

 「ケインズ」も「フリードマン」も、限定した経済状況では正しい場合も有りますが、ノーベル経済学賞を受賞した「フリードマンの経済論」を解説した本を推奨する人もチラホラ出て来ました。日本をチリにしたいのでしょうか?

【フリードマン経済論: 経済に与える貨幣供給量の役割を重視し、それが短期の景気変動および長期のインフレーションに決定的な影響を与えるとし、貨幣供給量の変動は、長期的には物価にだけ影響して実物経済には影響は与えないとする。また、連邦準備銀行がマネーサプライを一定の割合で機械的に増やせば、インフレなしで安定的な経済成長が見込めると述べており、コンピュータに任せてもよいとした。】



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