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「原液排水」 と 「希釈排水」

2024年03月30日 | ニュース
 「毒物」を海洋排水する場合、その毒物の毒性に「半減期」が有るのなら、その期間に応じた排水ならば「毒の総量」は増えません。

半減期;ある放射性同位体「A」が、放射性崩壊によってその内の半分が別の核種「A’」に変化するまでにかかる時間のことで、「A’」に放射性が無い場合は放射線量も半分になる。

 例えば、「毒T」の毒性の半減期が13年の場合は、排水開始から13年経過すると、排水された「毒T排水」の毒性は半分になり、同時に「毒T原液」の毒性も半分になるので、13年後に同量排水を継続しても、過去13年間で排水した「残存合計毒量」を超えることは有りません。

 当然ですが、13年以降も「排出済み毒T」と「貯蔵毒T」の毒性は減少し続けるので、「総排出毒性」も減少します。

 なので、13年間の「毒T」の合計排水量が自然界に負荷を与えないと言えるのならば、継続的に排出可能となり安全性は担保されます。

 逆に、毒性に半減期が無い場合は、例えそれが生物に必須な「食塩」を希釈して海洋排水した場合でも、塩分の排出総量は増え続けるので、海水の塩分濃度は増え続け、そのうち「毒性」が現れます。

 「福一」に貯蔵されている「ALPS処理水」は法律で定められた「排水基準」を満たしていないので「放射能汚染水」と言え、これをそのまま放出することは出来ません。

放射能汚染水⇒ALPS処理水(汚染水)⇒希釈処理水(汚染水)⇒海洋放出

 日本が放出するのは「ALPS処理水」ですが、その段階では排水基準(6万Bq/L)をクリアしていないので「汚染水」と言えます。これを100倍に薄めれば基準を法的にクリアできるのですが、「希釈した汚染水」は「希釈済の処理水」であり、「処理水」と言えるかどうかは微妙です。「海洋放出処分水」が精いっぱいのような気もします。

 それでも、半減期のある毒物の「希釈排水」は有効と言えます。

・福一放出基準  : 1500Bq/L
・EU飲料水基準 :10000Bq/L
・日本の排水基準 :60000Bq/L

・トリチウム半減期:13年

 
「共同通信」の記事によると、

 中国の原発が2022年に放出した排水に含まれる放射性物質トリチウムの量が、
東京電力福島第1原発処理水の年間放出計画量の上限と比べて最大9倍に上ることが9日、中国の公式資料で明らかになった。処理水を「核汚染水」と呼んで海洋放出を非難する中国が相当量のトリチウムを放出してきたことが改めて浮き彫りになった。

と書いてあり、中国で稼働中の22原発の内17原発で、「福一放出上限量」を超えているようです。

・福一に存在するとされる総トリチウム量 :3400兆Bq
・福一の計画年間放出トリチウム上限量  :  22兆Bq/年
・福一が実際に放出したトリチウム合計量 :  約5兆Bq
・秦山原発が1年間に放出したトリチウム量: 202兆Bq

 福一が実際に排水した放射線量は「計画上限基準の1/5」なので、秦山原発が1年間に放出した量の「1/40」となります。中国17原発は「福一上限量(22兆Bq」を超えているので、最低限でも374兆Bq/年の「原液排水」となり、9年以内に「福一に存在する総トリチウム量」を超えてしまいます。

 計算がムズイので、半減期を無視して福一が13年間で放出する合計トリチウム量を「286Bq」とした場合、これ以降、半減期を考慮するとトリチウムの実質排出総量(累積ではない)の最大値はこれを超えることは有りません。

 つまり、「福一が13年間かけて放出するトリチウムによる海洋汚染度」は、中国浙江省の「秦山原発が16ヶ月間に通常放出するトリチウムの海洋汚染度」とは、最悪でも同程度か、計算上はそれ以下と言えます。



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